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今さらの魔法


その日の夜もいきなりいっぱいとはいかないが、ちょくちょく客が入り、ダニエルの強面も雰囲気と合っていたのかすんなりと客に受け入れられた。


一泊30fという値段もあり、客の中には宿を移そうか迷っている人間もいた。


そして何より客がみんな双子にデレデレだ。俺もその1人だが。



「ありがとう。いっぱいとはいかないが、こんなに客が来たのは久しぶりだ」


「明日は料理も少し変えますよ、おやっさんの飯はウマイが、スープとパンだけじゃあ酒が進まないです」


「お前料理もできるのか!」


「むしろそっちが専門です」



新しい料理が作れるとおやっさんも嬉しそうだ。元々料理が好きなんだろう。

先に今ある食材を見せてもらい、作る料理を考える。ワインは店には無いが物自体はあるようだし、煮込み系もいけるだろう。


基本的に塩とハーブが調味料としては一般的らしくトマトなどもなかったが、ワインだけでもある程度形にはなるだろう。

他にも魚は塩とワイン味を着けて干物にして焼き魚に、貝類はワインで酒蒸しに、野菜は蒸して塩漬けの魚とニンニクで作ったバーニャカウダにする。



生魚は食べないので置いといて、他にも何か作れないか市場にも行ってみよう。



翌朝、朝食を食べてからこれら料理を作っていく。



「ワイン蒸しは、おやっさんスープとワイン、塩だけでいい」


「簡単なんだな」



バーニャカウダソースは衝撃だったようで、ウマイウマイ言いながらモリモリ食べてる。夜の分無くなるぞ。

煮込みに関してはもう少し時間がかかるが、味見した感じでは問題ない。


おやっさんがランチの仕込みをする間に、市場に向かう。




「いらっしゃい! あんちゃんこの人参どうだい? 今なら安いよ!」



活気がある市場で、港があるから魚介も豊富にある。基本的にヨーロッパに近いような食材が多く、昔食べたイタリアンやスペイン料理から作れそうなものを探す。



アヒージョは作れる、アクアパッツァはトマトがない、ピザ、パスタも行けそうだけど、どうしようか。

なんて考えてると、なんか前の方が騒がしい。喧嘩のようだ。



まだ他人の戦いをみたことない俺は、ついでだから野次馬に混ざることにする。

どうやら冒険者のカップルが、男の方の浮気で揉めているらしい。



「あんたなんか、死んじゃえ! ウォーターボール!」


女の方がそう唱えると、女の手かたソフトボールぐらいの水の玉が男の方に飛んでいき、顔面にクリーンヒット、男はそのままぶっ倒れて気絶した。




「やべっ、MPあんのに魔法忘れてた」



魔法についておやっさんに聞くため、アヒージョに使うためエビとなんかわからないキノコを買って宿に帰った。


レベルも上げないといけないし、頼んでもいないのに勝手に忙しくなっている。自業自得である。



ランチタイムが始まったくらいの時間に戻ると、そこそこお客さんが入っていて、おやっさんも忙しそうだ。



「おう、戻って直ぐにわりぃがちょっと手伝ってくれ」



おやっさんから声をかけられ、直ぐに手伝いに入る。昨日の今日でこんなに忙しくなるものなんだろうか。

手伝いながらお客さんにそれとなく聞いてみる。



「冒険者は直ぐに話が広がるからな、俺も昨日飲み屋で聞いて来てみたんだ」



なるほど、冒険者は情報が直ぐにまわるらしい。安くて、量も多い。おやっさんが冒険者相手に商売したいと言っていたが、図らずもそうなってきているようだ。



「おやっさん! また来るよ!」


「あいよ!」



おやっさんの強面キャラも板についてきてる。というか元々これが素なんだろう。初めて見たときのビクビクしていた感じがない。


ランチが終わり、煮込みと追加で作ったアヒージョも一緒に双子も加えて試食する。



「うまいな、パンにも合うし酒にも合いそうだ」


「おいしい!」

「ふがふが!」



双子にも気に入られたようだ。

おやっさんが厨房に戻ったと思ったら、バーニャカウダを持ってきた。双子もバーニャカウダを気に入ったようで、3人でモリモリ食べ始めた。まあ野菜いっぱい食べるのはいいと思うけど…。



俺は邪魔しないようにキッチンに入り、魚を開く。鍋に白ワイン、塩、ハーブを入れてワインからアルコールを飛ばして干物用のソミュール液を作る。

冷めた所に魚を浸けて、30分ほど置いておく。つけ終わったら、木の棒を開いた両目に差し入れ、風通しの良いところに干しておく。一晩干せば完成だ。保存性を高めるなら長い時間干せばいいし、燻製してもうまい。



干したところでおやっさんに魔法について聞く。



「魔法?多少ならわかるが…」



この世界には魔力持っている人間もスキルを持っている人間も居るようだ。

おやっさんは魔力は無いが14歳の時に筋力強化のスキルが芽生えたらしい。

魔力については、基本的に光水風火土の五種類で、適性はないが得意不得意があり、1級でファイア、ウォーターなどその物を出し、2級でファイアボールになり、3級でアロー、4級でウォール、5級でストームとなるようだ。

魔法学院で特殊な魔法勉強できるようだが、基本はこんな感じ。

唯一光属性だけがライトに始まり、ヒール、ハイヒール、エクストラヒールとなっている。



今の俺のMPは65となっており、レベルが1つ上がるごとにHPもMPも5上がっていく仕様だ。

それをおやっさんに聞いてみるとHPもMPも知らないと言う。

一般的にステータスは教会で調べてもらい、出てくるのは名前、種族、年齢、スキル、魔法適性のみらしい。

今までHPが減ったことがないのでわからないが、例えば右腕ばっかり攻撃された場合、HPは0になるのだろうか?HPを1減らす攻撃を65回食らったら死ぬのだろうか?

だとしたら俺は凸ピン65回で死んでしまうかもしれない。



旅人亭が落ち着いたらまたレベル上げを頑張ろう。せめてレベル10まで上げてスキルのレベルアップをしたい。



おやっさんもこのまま行けば俺に給料が払えそうだと言っているが、俺は冒険者なので、それで誰か雇ってほしいと伝えた。もしやるとしてもまだ先になると。



おやっさんは人に当てがあるらしく、明日ランチ終わりで聞きに行ってみるそうだ。


明日はおとなしく留守番でもしていよう。

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