内職と瞑想は一緒
「町の門強化するってどうやるんだ?」
「儂も知らん!!」
取り敢えず見に行ってみよう。
なるほど、下から上に引き上げるタイプか。
木材の板を並べて鉄の板固定している。
これだけでも丈夫そうだけどな。
まあ破城槌とか出てきたら丈夫そうに見えてもヤバイのかも知れない。
敵が来たらどうするのか聞いてみたら、破られないように木材で後ろから押さえるんだと。
どうしたら良いもんかね?
俺だったら砂利ドバドバで終了だけど、後の掃除がめんどくさいしな。
いっそ門の前の地面ガタガタにしておくか?
そうすれば槌もなんも意味ないだろ。
俺は門の前の地面をショベルカーで掘り起こし、庭作りで取ってきた大きな石を半分埋めて土で固めた。
それをいっぱい作っていく。
ついでに鉄のポールもいくつか埋めて、門の周りを有刺鉄線で囲った。
でそれをフェンスで囲った。
カオスの出来上がり。
それをすべての門に施していく。
石が無くなればポールを増やし。
造形が気にくわなければクリスマスツリーを埋める。
最終的に反対側の門は周りが森になりました。
「こんなもんだろ」
「現代アートの醜さじゃな」
街に入り、不安そうにしている人たちに酒とお菓子を分け与え、城から高そうな物をかっぱらって元を取る。
おかげで子供たちには大人気だ。
ギブミーチョコレート。
街で遊んでいると、追い出したデブが使者として戻ってきた。
喧嘩買うからよろしくってことらしい。
どうしたデブよ?
ブクブク太りやがってカ○ゴンかテメーは!!
捕虜なんていらねーから帰れ!!
ふぅ。
どうやら2日後に大群で攻めてくるようだ。
やっと事がすすむ。
最近は暇すぎてみんなと壊れた石畳の補修とかやってた。
気を付けないと事故るぞ。
明日1日で準備終わらせないとな。
一番地味な作業が残ってる。
ガガガガガガガ。
シャコッ。
ガガガガガガガ。
シャコッ。
5対いっぱい。
そりゃあ大量のマガジンが必要になりますよ。
今マガジンに弾を込める内職に励んでいる。
何発必要になるかも分からないしな。
最低でも1万発は準備したい。
箱に催涙弾を詰める作業も忘れない。
パンパンに詰めて収納に。
それを何箱も準備する。
横ではトロス君がせっせと火炎瓶を製作している。
激しいアクションシーンには地味なバックグラウンドがあるもんさ。
臭いな。ダサいし。
もうずっと同じ作業を続けていると下らないことが頭に浮かんできてしまう。
戦うとしたら車からだよな。
飛んでいかないように座席に固定するようにしとこう。
明日、運転はジェイソンにさせるとして、助手席はグスタフがいいな。
その後ろに俺は絶対置いとかないとマガジンの供給できないし。一番後ろは倒してシード座らせるのがいいな。
そのまま後部座席開ければ寝ながら撃てるし。
………長さが足りないな。
いっそシート全部外すか?
そうすればシートを固定する部品に体も固定できそうだ。
シードがうつ伏せになりながら撃つこともできるし、弾薬を置くスペースもできるはずだ。
「車の座席外してくる………」
「あぁ、とうとう同じ作業でイカれおったか」
「明日動きやすいようにだよ!!」
グスタフを連れて下に降り、車の後部座席を外していく。
結構広いな。
後部座席を固定していた金具にカラビナを付け、明日はハーネスとカラビナをくっつけよう。
ついでに箱も付けておいて、明日マガジンなんかをここにしまっていこう。
箱ごと車外に放り出されたら内職が水の泡だ。
天井からも撃てるようにカラビナ付けとこう。
部屋に戻って内職を続ける。
ガガガガガガガ。
シャコッ。
「いよいよ明日ですな。本当に5人だけで行くので? 兵士も必要ありませんか?」
「大勢相手にここの兵士が出ていっても多勢に無勢です。少人数高火力で叩いたほうが自由に動けるし良いでしょう」
「しかし、いつもそんなに食材を収納に入れてるので? うちの食糧庫よりも食材を持ってましたよ?」
「心配性なんです」
「なるほど………」
疑うな!!
「明日の戦場はここから3kmほど行った平地になるでしょう。ここには来ないと思いますが、念のため見張りは置いておいてください」
「かしこまりました。そのように致します。セバスチャンも生きて帰ってきなさい」
「ホッホッホ。問題は勝ち方だけでございます。それに、失敗したとしても負けはございません。旦那様1人生きていれば国とも戦えますので」
「さすがに国は………行けるか?」
「行けるじゃろ。重機でぐちゃぐちゃにすればええ」
「それはやりたくないな。でも城壁ぐらいなら壊せるかもな」
「そんなもんはショベルカーでも十分じゃな」
そんなことを言いながらその日は早めに就寝し、翌日の朝まだ日が暗いうちから城を出る。
門の辺りで一回車を収納。
門を出て、有刺鉄線を越え、フェンスを越えてからまた車を出す。
ええい面倒臭い!!
車に乗り込み、戦場へ向かうのだが、3kmなので遠くにうっすら見えているあれかもしれない。
まじで5人相手にそんなに連れてきたの?
ダッサ!!
取り敢えず200mほど離れた場所に車を停める。
まずは口上を述べる必要があるらしい。
めんどくさいがバイクを出して、中央の方まで行って話を聞いてあげる。
何やらデブの横のガリガリが大きな声で何かを喋っているようだ。
「であるからして………するべきであり……は明らかで………べきである!!」
どうやら終わったようだ。
こちらも何か言わないとな。
腰から下げるメガホンスピーカーを通して喋りかけてみた。
意志疎通が取れるか確認しないとな。
「アーアー。ミヤジマ支国の国王、ケン・ミヤジマだ。本日は我ら"5人"のために、わざわざこの"大勢"でのお迎え心より感謝する」
ここで向こう勢がざわざわし始める。
5人だもん。
そりゃあビックリするよね?
「そちらで喋っていた痩せている方、大丈夫ですか? ちゃんと食事取れてますか? なんだったら食糧ぐらい融通しますよー?」
今度は横のデブが何かを喚いている。
セバスチャンにメガホンを渡して、言ったことを伝えてもらうようお願いする。
「申し訳ありません!! 陛下はオークの言葉はまだ勉強したこと無いそうでございます!! 今度オークの雌を紹介するから許してほしいとの仰せでございます!!」
そのあとも何やら喚いていたようだが、俺らは無視して車に向かっていく。
全員車に乗り込むが、シードだけは外でうつ伏せの状態で対物ライフルを構えている。
どうやらデブも自陣に戻ったようだ。
「シード。全弾叩き込め」
「かしこまりました」
バァァァァァァン!!
バァァァァァァン!!
バァァァァァァン!!
………
……
…
向こうが進み始めたぐらいで、デブが消えた辺りに10発撃ち込み、シードを車に乗せる。
M82A1対物ライフルを収納してAR556を渡して出発。
対物ライフルなんてどこかに当たったら体が千切れる代物だ。
デブの周りを掃除でもできれば十分だろう。
「ジェイソン!! 出発だ。右から敵の前5mを走り続けろ。全員は右の窓から射撃用意!!」
祭りの2回戦が始まるよ!!




