とんでもない魔物がやって来た
今日は朝から忙しいこともないので、パーチュに将棋を教えている。
セバスチャンは見回りに出ている。
グスタフはワイト本部長に柔道を教えている。
「のどかでいいですね」
「祭り以外の時はこんな感じですよ(大嘘」
「ここなら引退した冒険者ものんびりできると思います。本当に冒険者が楽しそうだ」
「まあ俺も一応冒険者登録してるんで」
「そうなんですね!! 名前は聞いたことありませんが、位はいかほどで?」
「下級ですよ。依頼も数回しか受けたこと無いんでね」
「………それでどうやったらあんなに冒険者を手懐けられるのか不思議でしょうがないです」
今日は森のキャンプ場も見せてあげよう。
俺の後ろにパーチュ、グスタフにはバギーを出して後ろに本部長だ。
ゆっくりしたスピードで走っていても40分で着く。
今、冒険者はいないのでゆっくり回れる。
といってもそんなに広さはないが。
「ここから北に進むと魔物が強くなっていきます。ここは最終中継地点ですね」
「なるほど、柵に囲まれていて野営もできると。それに組合に卸している道具も置いてあるんですね。盗まれませんか?」
「今のところ大丈夫ですね。使ったら本人が新しいものに替えてるようです。自分が助かった分冒険者仲間に迷惑をかけたくないんでしょう」
「いい制度ですね。湖に帰ると時間がかかりますが、これなら助かる可能性も上がる」
「おーい!! 旦那、なんか来るぞ!!」
魔物か?
冒険者はこっちまで来ないだろ。
収納からAR556をだす。
「誰だ!!」
「ガァァァァァァ!!」
熊さんでしたか。
バスン!!………バスン!! バスン!!。
ズガァン!!
グスタフのショットガンでダウン。
「………あー怖かった」
「ガハハハハ!! 中々の冗談じゃ!!」
本部の2人が唖然としているが、突っ込まれても困るので放置して熊さんを回収。
「で、この野営地なんですけど、この柵が実は結構頑丈でして………」
「今のブラックベアーですよね?」
「俺も昔倒したことあるが、ブラックベアーだったな」
「小熊じゃから気にせんかったわい。食ったら旨いのか?」
「小熊? 一応胆嚢とか薬になりますが、味は………どうなんです?」
「旨かったぞ………。確か」
「じゃあみんなで食べましょうか。冒険者にも魔物グランプリに気合いが入るでしょうし」
「………いただきます。でいいのか?」
よし!! 銃には触れられなかったな。
グスタフのウィンクが初めてカッコいいと思いました!! 3年2組ミヤジマケン
湖に戻り、正気に戻ってきたので酒を飲ませる。
飲んでいろいろと整理が着いたのだろう。
「戦争も、とはこのことでしたか。突っ込むなということですね?」
などと意味不明なことを供述しており、心神喪失しているものと考えます。
熊さんは組合で捌いてくれるそうだ。
焼き肉にしよう。
普通に塩コショウで食べてから、タレで味付けするのがいいだろう。
夕食時、ステージに大きな熊さんの毛皮が吊るされる。
どうやら本部長の差し金らしい。
「今日はお前らのために国王がブラックベアーを取ってきてくれた。取引額で7000fだ。その肉を今日の食事でタダで振る舞ってくれるそうだ。お前らも冒険者だったらこれを超える魔物を取ってこい!!」
「「おぉ!!」」
「でもあれヤバくね?」
「俺自信無くなってきた」
「ばか!! あれはケンさんだから取れんだよ!!」
「ケンさんすげぇ」
まあ仕留めたのグスタフだけどな。
結果は2人目の冒険者が優勝。
賞金1万fと探索大会優勝のバッジを胸に付けられて喜んでいたが、飲み放題カードでもっと喜んでいた。
他の冒険者も羨ましそうにしない。
後フル装備返して。
ちゃんと後でギリースーツはあげるから。
その格好で酒飲んでるとトレントと間違われて狩られるぞ?
熊さんはすごい旨かった。
厚い脂肪はスープに入れたらめっちゃ旨味が強かった。
肉も油がとろけて塩コショウでも普通に旨い。
熊さんの素材は毛皮も含めて素材は組合にあげた。
友好の証として本部に飾るらしい。
だったら蛇さんも残しとけばよかった。
本部一周できるかも知れないし。
翌日から魔物グランプリが始まるが、猫車が足りないので森の各所にまとめて置いてある。
全員分買えるけど後で困る。
これも各支部欲しいらしい。
売るから!!
今日から、屋台もいくつか奥のキャンプ場にお引っ越しする。
酒売り場も引っ越しだ。
飲んで狩り行って危なくないの?
逆に無いとみんな行かない?
じゃあしょうがないか。
ちなみに探索大会の優勝者はこの大会に参加しないで飲み続けるようだ。
優勝した探索能力を生かせよ。
引っ越しする屋台を回収。
俺は先にバイクでキャンプ場に向かう。
パンパンじゃないか。
まあ10m×10mじゃあそうだよな。
急いで忠犬を呼び出し、柵を拡大していく。
まあフェンスだからポールに針金で絞っていくだけなんだけど。
なんとかみんなが余裕が持てるくらいの大きさに変えて、中の柵を撤去。
イベント用テントを並べていく。
お前ら興味深そうに見るんだったら手伝えよ。
ついでに猫車も入り口付近に6台ぐらい設置した。
4時間ほどかけてみんな到着。
酒は多めに置いといた。
あまり来られないしね。
料理人や組合員のためにテントも建てておく。
「大きくなってませんか?」
「人が入り切らなかったんで大きくしました」
「理由じゃなくて方法を聞いてるんですが………」
取り敢えず毎日2回来るので順番でキャンプ場の護衛をする。
最初はシードにお願いした。
夜は家族が待ってるしね。
バイクで一回で湖に戻る。
ポアソンが焦った顔で近寄ってきた。
何か問題が有ったようだ。
「たった今、スハウェ帝国から使者が参りまして、ケン様にお会いしたいと。今旅人亭の部屋を空けてそこにご案内しております」
「分かった。着替えてすぐに向かう。グスタフ、ポアソン、後の段取りは任せる。食材と酒は明日まで持つはずだ。シードに連絡、交代まで待機だ。ジェイソンは使者をガゼボに案内。セバスチャン、着替えて向かうぞ」
「すげぇ。指示が様になってる………」
「本部長も見習ってください」
急いでセバスチャンと正装に着替え、ガゼボに向かう。
祭りで忙しい時に来やがって。
しかも事前連絡無しだ。
舐めてるとしか言えないな。
「それで? 連絡も無しにいきなり国王を呼びつけるとはどういう用件だ? さぞかし急ぎなんだろうな?」
「お初にお目にかかります陛下。私――」
「名前などどうでもいい。用件を言え」
「は、はい。実は陛下に本国の皇帝暗殺の疑いがかかっていまして。それでスハウェ帝国に出頭願いが出ています。断られると立場的に不利になる可能性がございますので、どうか1度スハウェ帝国にいらっしゃっていただけませんか?」
「もし俺が暗殺したとしたら? どうする? 戦争でもするか? 買うぞ?」
「なっ、それはお認めになったと見てよろしいですか!? これは重大な問題ですぞ!!」
「もしと言っただろう?………まぁいいだろう。祭りが終わったら遊びに行ってやる。こっちは5人だ。5人で遊びに行ってやる。セバスチャン、お帰りだ。ちょうど今祭りで部屋は空いてないんだ。そのまま帰ってくれ」
「こちらはこの国の何百倍もある国ですぞ!! その使者をこのような扱い――」
「こっちは客を招いて祭りをやっている。客に部屋が無いなんて言えるわけが無いだろう? お前らは予約も何もしていない。変な名前の国の使者なんかに部屋なんて準備しているわけが無いだろう」
「貴様!! スハウェ帝国を愚弄するか!!」
「………殺すぞ」
今日も決まってますねセバスチャン!!
そこに痺れる憧れる!!
「後悔するぞ!!」
帝国の使者が帰っていった。
戦争かぁ………。
王都でのイタズラも効かなかったみたいだ。
「ケン様、いいんですか?」
「まあなんとかするしかないでしょう。組合の皆さんも今は祭りを成功させましょう。話はそれからです」
取り敢えず飲もう!!
ジェイソンはシードと交代な。




