プロレス道場
次の日から、森に道場を建てる場所開きにかかるのだが、これはハーベスタを使えば1時間もかからない。
次にショベルカーを使って根を掘り出していきながら、穴を掘っていく。
土台は一緒だが、その後はグスタフの設計次第だ。
一応大きさだけは18m×15mで長方形にお願いしている。
コンクリートの土台が完成したところで、次はそこに続く道を作っていく。
基本は砂利道だが、飛び石を並べて和風にした。
森が木以外に何も無さすぎるので、苔を買って敷いたり、お地蔵様擬きを置いたりして雰囲気を出していく。
目標はもののけ。
高くなっているところは石で階段を作り、邪魔な枝は高枝切りバサミできれいにしていく。
岩を森のいろんな所に置いていきたいが、ホームデポで売っているのは中が空洞の偽物だ。
置いてみたが、色が不自然で気持ち悪い。
そのうちどこかから持ってこよう。
グスタフの設計を見に行こう。
玄関から入って直ぐ両脇にトイレとシャワールーム。
それを抜けると道場なのだが、横13mの縦15mに設定されている。
両脇は縁側にするようだ。
道場内で柱は設置しないが大丈夫なのだろうか?
売っている一番長い木材でも6mしかない。
どうやらシードに木から作ってもらうようだ。
それでも15mだ。
まっすぐな柱なんて大変だろう。
どうやらそこは考えているようだ。
縦に2本長い梁を通して、横にはそれより細い梁を多めに渡すらしい。
梁同士も支えるように柱で支え、屋根の梁で支える構造にするようだ。
「旦那の国は木の使い方が上手いの。絵を見ているだけで勉強になるわい。庭の作り方もこちらとは違ってキレイじゃ」
「たしか一番古い木造建築で1300年の物だったはずだ。直したりしながら1300年」
「そこまで行くと狂気じゃな」
取り敢えずそうと決まれば先に柱などの骨組みを作っていく。
曲がらないよう一番太い木材を立てていくのだが、足回りだけは溝を彫って梁を渡し、金具で固定した。
これを2段作って、ぐらつきに強くしていく。
上の太い2本の柱は、シードに頼んで皮を剥いだだけの木材上下で太さを揃えたものを用意。
他の柱は真っ直ぐで丈夫な物をお願いした。
こんなに重い木材でも収納で出せるのだが、慎重にやらないと反対側の柱とうまく合わない。
横の梁を先に渡して、その上から縦の太い梁を2本渡す。
金具で固定するのだが、目立たないように色をつけた。
屋根はできてから載せるので、先に床を作る。
これは金具で固定するのだが、中心に柱が無いので、歪まないように地面から木材で高さを固定している。
床板を渡していき、ジャンプしたり走ったりして慎重に確認していく。
屋根はどうしても木材の長さが足りないので、2段にして、瓦の代わりに黒いパネルでそれっぽくした。
もう一段斜めに屋根を作り、段差の壁は漆喰で塗って和風にした。
壁はあまり張らずに木材に溝を彫っていって障子を貼っていく。
道場の入り口もスライド式のドアにして、玄関から道場に入るときも襖だ。
この村で一番頑丈な建物が完成した。
それでも総工期間は2週間ほどなのだが。
「どうだ? 映画に出てくる建物っぽいだろ?」
「そうでございますね。中の道場も雰囲気があってよろしいかと」
「こんな建物作ったのは初めてじゃわい。中に柱を立てんから余計に強く作ってある。そうそう壊れることもないじゃろう」
「ここで練習するのが楽しみです!!」
奥の壁には、日の丸と魚拓が並んで貼ってある。
掛け軸でもかけとこうか迷ったが、道場って国旗が飾られてるイメージ。
国旗の横には、木刀や杖なんかが立て掛けられていて、道場っぽい。
縁側に腰掛けてみんなで茶を啜る。
庭がなぁ。
せめて枯山水だったらなぁ。
セバスチャンにジャパニーズガーデンと書かれた写真集を見せて、庭を指差す。
「ホッホッホ。庭作りですか。趣味に丁度いいですな。ついでにここに来る道も弄ってみましょう」
「俺は岩を取ってくる。ロビン君や子供たちに戦闘なんかも教えといてくれ。今日から師範な」
「師範!! よろしくお願いします!!」
そこからグスタフは自然破壊に向かい、俺は石拾いに川を探索する。
川底なんかで大きな石を見つけては収納したり、いい感じの流木を収納したり、気分はアーティストだ。
………むむっ!! これは!!
審美眼なんてないのだけど。
道場に帰ってはセバスチャンと相談してどこに配置するか決める。
道の脇に配置したり、庭に配置してみたり。
木が高過ぎる気がするな。
奥行きがたりない。
取り敢えず木は収納できないので後回しにして、今は木を切って枯山水を作る。
縁側から円を描くように木を切っていくが、低い木は残しておく。
そして地面は奥の方を高く盛って手前を低くする。
丘をいくつか作って岩を置いていき、白い玉砂利を撒いていく。
「どうだ?」
「あの岩の場所は良くないですね。そこの丘にくっ付けるように置いた方がいいかと」
「確かにあれじゃあ邪魔か。そしたらあの岩ももう少し左だな」
取り敢えず岩の配置を終えて、後はセバスチャンに任せる。
朝顔なんかも売っていたから後で相談してみよう。
魔王の森で1人で庭いじりしているジジイとか完全に裏ボスだな。
家に帰って、ポアソンと先日売れた分の酒と建材の利益を計算する。
大工組合で5万f、ドワーフ王国で12万f、冒険者組合で2万f、商店で1万f。
今回の建築で買った建材やなんかもろもろ計算して残金130万f。
一回ぱぁっと使うか。
「ジェイソン、リベンジだ」
「待ってました!!」
「ポアソンとセバスチャン、グスタフの独身全員連れてくぞ!!」
「いいっすね!!」
全員でナビゲーターに乗り込む。
留守番の男連中には伝えたが、女性たちには大工組合との飲み会だと伝えてある。
久しぶりの風俗だ。
1000万円ぐらい使ってやる。
16歳なのに勃ちが悪いのはきっと若い女性に触れてないからだ。
ジェイソンに町で一番高級な場所を聞いて乗り込んできた。
セバスチャンもグスタフもジジイながらにいい格好してきている。
お前らもノリノリではないか。
スケベジジイめ。
取り敢えず席について女の子と一緒に酒を飲むのだが、みんなすごいべっぴんさんだ。
今から元気になってどうする。
取り敢えず酒を飲んで静める。
「ジェイソンは体が大きくて力の強い女性が好みだ。つけてあげてくれないか」
「待って!! それはないから!! そんな目で見ないで!!」
「店の酒が美味しくないな………。ここ持ち込みは大丈夫か?」
金はかかるが大丈夫ということなので日本酒やウイスキーなんかを出して女の子と飲んでいく。
いや、飲ませていく。
「すごい美味しいですー!! このお酒なんですか?」
「うちが卸してる酒だ。いっぱい飲んでいいぞ!!」
「やだーもう!!」
デヘヘ。
「そういえばうちに来てる冒険者ってこういう処理はどうしてんだ?」
「みんな馬車で戻ってるみたいっす。湖に作るのも難しいですし」
「それもそうか………。下の村に作ったりはできないのか?」
「それならいいんじゃないっすか? あそこは冒険者も素通りしてるみたいですし、何か冒険者の恩恵があってもいいと思います」
「帰りに村に寄って帰るか。取り敢えず俺はもう我慢ならん!! 先に暴れてくる」
「さすがは陛下じゃ!! 男を見せてこい!!」
おっさん5人集まれば大体こんなもんよ。
その夜のプロレスはデスマッチの様相だった。
ナメるな。
walmartにはオモチャも売っているのだ。
もちろん全員にはちゃんと夜のプロレス用極薄プロテクターも渡してある。
後で店から懇願されて卸すことになったが。
「みんな酒を飲んできたにしては綺麗すぎる。多少酒の匂いをつけて髪もボサボサにして帰るぞ」
「確かにその方がよろしいかと思います!!」
「村に寄って話してから帰るぞ。あそこの村にも金を稼がせないとな」
帰りにタイター村に寄って村長に事情を説明する。
「一応税金ではないが、村の使用料として相応の金は村に渡すつもりだ。それは村で貰ってしまって構わない」
「いいお話じゃが、治安が悪くならないか不安なんです」
「大丈夫だ。問題を起こしたら2度と使わせないようにするつもりだ。それに無理にとは言わない。一回村で話し合ってくれ」
「分かりましたですじゃ」
家に帰ってきたが、ちゃんとばれていないようだ。
一応浮気でもなんでもないのでいいのだが、こういうのはバレたくないよな。
春のプロレス大会はこれにて閉会。




