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大工連中と魔石


今日はみんな忙しいので、俺とセバスチャンの2人で組合の工事を手伝いに来た。



「もうお前、大工組合に入っちまえよ!!」


「バーカ!! 俺は国王だぞ!! 偉いんだぞ!!」



そう言いながら俺は、ショベルカーを使って砂利を埋める穴を掘っていく。



「説得力ねぇよ!!」


「ウワァァァァァン!! お前なんか死刑だぁ!!」



穴を掘ったら、一度ショベルカーで全体を走って固め、砂利を敷いてもう一度固める。

そこにコンクリートの土台を敷き、柱を立てていき梁を渡す。

今回は素材を洗うための水槽を設置するので、煉瓦とセメントでバスタブの2倍ほどの大きさの水槽を設置した。



梁には滑車をいくつか設置し魔物を吊り上げられるようにする。

土台は緩い坂になっていて、土台にも水を流せるようにした。

土台には、ちゃんと防水ペイントを塗っているので真っ白になっている。



次は組合内部だが宿直室はそのまま事務所に改装、倉庫は壁を取ってカウンターを付けた。

前の受付分だけのスペースを拡張。

壁にはコルクボードを設置して、壁が釘の打ち過ぎで傷まないようにした。



宿舎と商店に関しては、土台を設置した後にトイレとシャワールームの場所を空けておくよう指示をだし、必要な建材を提供しておいた。



俺は冒険者たちになにか困っていることや作ってほしい設備がないか聞いて回る。



「酒を安くしてほしいな!! 町よりも!!」


「寝言は寝て言え。他には?」


「毛皮なんかは高く売れるんだが、魔石の売値が昔より大分安いな。儲けがすくねぇ」


「そういえば魔石って何に使うんだ?」


「この国じゃああまり見ないが、魔道具に使ったり、杖の触媒に使うらしいぞ」


「なんでこの国じゃあ出回らないんだ?」


「そりゃあ作れるのがツーリス魔法国だけで、他の国には法外な値段で卸してるからよ。だけど魔石はほかの国じゃあ使わないからな。値段も勝手に安くされてるんだ」


「いくらなんだ?」


「ゴブリンで5fぐらいだな」


「ゴブリンはたしか20fだから………。ちょっと組合に聞いてくる」



組合では魔石を魔法国に10fで卸すらしい。

じゃあ俺が15fで全部買い、ついでに他の魔石も買うことを伝える。

組合にしては願ったり叶ったりの話なので、そのまま他の魔物の魔石も半額で卸されていたので、全部1.5倍の値段での取引が成立した。



俺は魔石を右から左に流すだけで25%の手数料が入る。

ウハウハだな。

他の町からも持ってこい。

まだ見ぬ魔法国とそのうちエネルギー問題で戦争になるかもしれんな。



とりあえず今ある魔石すべて購入。

売値の×0.75で買ってやる。

2000fほど儲けた。

組合は儲けずに冒険者の収入アップをするようだ。



ついでに組合から魔道具を仕入れられないか聞いてみる。

明かりの魔道具ならなんとか王都から持ってこられるかもしれないらしい。

値段が5万fほどで、スライムの魔石を使っても3時間、蝋燭程度の明かりしか付かないらしい。

皆さんは500万円で蝋燭買いますか?



こっちでも油を使った明りはあるので、オイルランタンを1つ渡し、商店に卸すことを伝える。

1つ7fで買えたので40fも取っておけば十分だろう。



「あの………ここの明かりも魔道具なのでは?」


「すべて技術ですね。例えばこれなんか、分かりやすいです」



昔サバイバルで使ったライトを取り出し、電池を抜いてハンドルを回して光らせてみる。



「すごい技術ですね………」


「まあ面倒なんで魔道具って言ってますけどね」


「たしかに技術だと説明が難しいですね」



取り敢えず魔石の取引を終了し、工事の様子を見に行く。



もう屋根までは設置し終わったようだ。

もう今日は終わりのようなので、湖のそばで一緒に晩御飯に誘った。

家族も呼び出して、バーベキューにする。



今日は中国の新疆ウイグルのバーベキューだ。

中東と中国の間にあるここバーベキューはサテとも違って独特で美味しい。

まずスパイスはクミンに唐辛子、塩、旨味調味料、あと少しの砂糖。

唐辛子は後で調節できるように少なめにして、別で用意する。



湖にビールを沈めて冷やしながら、肉を焼いていく。

野菜も色々焼くが、本場ではニラとえのきがよくこのバーベキューで使われている。

スパイスが染みてツマミに最高。



「うめぇ!! なんだこれ!?」


「酒がとまんねぇ!!」



中東料理は意外と受けがいいのもある。

俺も好きだしね。

タンドリー料理とかトルコ料理とか。



肉を細かく切って鉄板で焼いていき、ちょっと醤油と酒、スパイスで焼いていく。

これをトマト、キュウリ、レタスと一緒にパンで挟めば特製ウイグルサンドの完成だ。



ビールがとまんねぇ。

ついでにイカや干し魚もこのスパイスと相性がいい。



「料理が旨いのはいいんだが、1つ聞いていいか?」


「どうした? 後お前は語尾に陛下をつけろ」


「お前の家の前にあるあれはなんだ? 怖くてしょうがないんだが………陛下」


「あれはグスタフといううちの工業大臣が作った魔除けだ。売ってやろうか?」


「いやいい。夢に出てきそうだ陛下」



なんかムカついたので激辛にした肉を勧めてやり、子供たちにデザートを作っていく。

といっても砂糖を振ったリンゴをアルミホイルに包んで焼くだけだけど。

焼き上がったリンゴに串で焼いたマシュマロを乗せて、チョコレートチップを散りばめてあげる。



おっさんたちには、炒ったピーナッツをごま油と塩で味付けしたものを渡しておく。

バーベキューの火を小さくして片側に寄せ、スモークチップを振りかけて肉を燻製にしていく。



後は放置しても大丈夫だろう。



酒を飲みながら将棋を指していく。

本気で指すわけではなく、本を見ながらグスタフとセバスチャンを交えて勉強会だ。

ダメな手や囲いなんかも交えながらどこそこと議論しながら打っていくのが最近のブーム。



大工連中も興味があるようなので、ポアソンやシードに教えてもらい、将棋を覚えている。

まあチェスより覚えやすいからね。



駒の名前が漢字なので、変えれば売れるかも知れないな。

大工連中に1つやるから売ることを打診した。

儲けはいらないから。



上手くいったら上等な木でセットを作ってくれ。

指したときに音がいいやつ。

別に駒が大きいとかそういう意味じゃなくて。



ハンデで飛車角落ちでグスタフと勝負する。

大工連中も覗きにきた。



穴熊で健闘するが、俺に飛車を取られて負けた。

敗因ときっかけ、布石なんかを議論しながら酒をチビチビ飲んでいく。



公園のおじいちゃんみたいだな。



翌日、宿舎の壁を設置して内装工事に入る。

それが終われば家具を入れていき、配管と明かりなどの電気を通して終了だ。



商店も内装まで終わっていたので同じ作業をしてこちらも同日に終了。



大工連中には、大きな依頼が入ったら手伝ってほしいと頼まれたので金額次第では考えると伝えた。



なんだかんだ4月に入る。

俺ももうこっちに来て1年が経った。

隠居も楽じゃない。

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