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クローフィッシュ

今日は仕事をお休みして釣りに来ている。



まあいつもただの趣味で、ちゃんと働いているわけではないのだが。

釣竿の貸し出しを始めた。

盗まれてもいいように木の棒に糸と針を付けただけのもの。



ここではこれでも十分釣れる。

一回、遊びでオモチャの虫を付けたのだが、それでも釣れた。

ここのレイクパーチは地球の外来魚みたいな生態をしているようだ。



冒険者も水筒に酒を入れて釣りを楽しんでる。

狩りで何泊かした後はゆっくりしたいのだろう。



「ケンさんだ!!」


「こっちこっち!!」



子供たちが、湖のそばで何かしているようだ。

見に行ってこよう。



「なにやってるんだ?」


「へんな魚釣れた!!」



またウォーター君が何かを釣り上げたらしい。

持ってるね君。



「………ザリガニだね。魚じゃないよ。海老とかカニの仲間だ」


「エビ!! おいしいの?」


「………たしかアメリカじゃあ食べたよな」



何で釣ったのか聞いてみると、普通にミミズで釣れたらしい。

罠ではかからなかったけど、冬眠してたのか?



念のため鑑定してみると、アメリカザリガニと出る。

………アメリカねぇよ。



取りすぎて封印していた罠を引っ張り出して、匂いが強そうな青魚を刻んで餌にする。

それを浅瀬に2箇所沈めて、みんなは授業に行く。

俺は一人でザリガニ釣りだ。



釣れはするが、ザリガニが捕まる前にレイクパーチが食いついてしまう。

罠のほうもレイクパーチでいっぱいだ。



ザリガニは2カゴで6匹。

釣ったのを合わせても11匹しかいない。



ザリガニ用の罠を買い、新たに設置する。

普通の罠2つとザリガニ用2つ。



そこからまた釣りを始め、今度は流れが緩やかなデッキの入り口周辺を狙う。



多少は釣れたが、やはり人の往来がある分数はそんなにいない。

子供たちが帰ってきたので、みんなとザリガニ釣りを再開する。



それから川に行ってみたりもしたが、流れが緩いところでは釣れるが、そもそも隠れられる場所が無いところでは釣れない。



湖に戻って罠を回収。

合わせて47匹になった。



家に帰って流水につけ、泥抜きをする。

食べるのは明日だ。



翌日、海賊料理用の大きな鍋でとうもろこしとジャガイモ、大量のレモンを入れるようだ。

そこに辛さをプラスするか決めるのだが、今回はいらないだろう。



ザリガニを入れて茹でていき、5分加熱してから火を止め、15から25分放置と書いてある。



完成したものをザルにあけ、外のテーブルに新聞紙を広げてそこに直にザリガニを広げる。

アメリカではこうやって食べていた。



「うまそー!!」


「海賊みたーい!!」



子供たちにザリガニの剥き方を教えて、食べてみる。

少しピリ辛だけど子供たちにはこれくらいで丁度いいかもな。



「辛いけどうまい!!」


「ケンさん美味しいよ!!」



子供たちにレモネードを出して、みんなを見守る。

意外と身が小さかった、子供たちも1人4匹じゃあお腹いっぱいにはならないな。

俺は味見だけで我慢しよう。



追加であのスープで海老とか茹でてくるか。

一回出汁が出ているかと飲んでみたが、辛すぎて飲めなかった。

完全に味付け用のようだ。



海老の場合は3分で良いらしい。

そこからまた15~25分ほど置いておくが、火を消してからなので手間はかからない。

ちなみにカニは10分茹でるようだ。



丁度子供たちがザリガニを食べ終わる頃に海老が茹で終わった。

テーブルに追加でドバーっと海老を広げる。



「海賊だー!!」


「だー!!」



双子は俺んちでご飯を食べることがあまり無いからな。

海賊を食べる機会も少ないのだろう。



食事を終えて、授業の時間なのでみんな我が家に向かう。

罠を増やせば、冒険者に売れるかな?

増やしたところで量が足りないか。



たまに出すぐらいで丁度いいだろう。



道路作りをしているグスタフの様子を見に行く。

道が山を縫うように進んでいて、起伏は緩やかだ。

伐採された木や草が道の脇に山積みにされているので回収しながら進む。

3kmほど進んだところで、轟音を立てながらノの字に進んでは木を横に捨てるグスタフが乗った重機が見えた。

トランシーバーで一回止めてもらうよう伝える。



「どうだ? 調子は」


「どうもこうも1週間ほどでここまで来たからな。早すぎるというほかないわい」


「それは結構。別に急いでないから安全にな」


「これがあれば普通にやるより全然安全じゃわい」



ダートバイクで帰るが、まだ道がボコボコで走れた物じゃない。

こっちが何kmあるのかもそのうち把握しないとな。

馬車で1日で町に行けない可能性の方が高い。



家に戻り、子供たちに剣術を教えているセバスチャンのもとへ向かう。

今日は、防御練習をしているらしい。



「剣が傷むので、相手の攻撃は避けるのが一番、往なすのが二番、受けるのは本当に最後です。振り抜くつもりの剣を受ければ刃こぼれし、それが深ければ戦いの途中で折れてしまうこともございます。いいですね?」


「はーい!!」


「ではまず上からの攻撃の避け方について説明致します」



ちゃんと授業してるな。

セバスチャンのことだから


「今日ちょっと皆さんに殺し合いをしてもらいます」


とか言ってるかと思った。

一応たけし風に再生されています。



ジェイソンも助手として参加、木剣をセバスチャンに打ち込む。

セバスチャンの足さばきがエグいな。

子供たちにできるだろうか?



それを横目にケビンの農場も見に行く。

畑の種まきも終わって、今は微かに芽が出ているか出ていないかというところ。

トマトも唐辛子も時期的にはこの時期に植えれば上手くいくはずだ。

後は栽培が楽な葉物とカボチャやニンジンなどの根菜なんかも植えるようだ。



自分の畑が広がって嬉しそうだ。

まあ引っ越しの理由も畑が最初だったしな。

25m×25mを4等分した畑。

野菜のみの畑なのでこの大きさだ。

もう少ししたらこれでも1人じゃ大変だろう。



今日は午後から冒険者組合と打ち合わせが入っている。

どうやら組合の拡張とそれに伴う宿舎と商店の設置のお願いのようだ。



俺もここを発展させたいが、あまり人が増えすぎるのも嫌だ。

優雅なリゾートが観光地過ぎてお祭りみたいになってほしくない。

ちょっとそこら辺も組合と相談しよう。



「あら、組合長だったんですね」


「お久しぶりでございます。陛下」


「止めてください。前と同じで結構です。人口だって100人いないんですから」


「そう? 助かるわ」


「それで、拡張でしたよね? 拡張は構いませんが、宿が足りませんよ?」


「それもダニエルと相談するつもりよ。まずは素材の加工をここでやってしまいたいの。塩漬けだとどうしても値段が下がっちゃうのよ」


「今あるここにある組合はどうするんです?」


「解体はしないで、宿直室と倉庫の壁を取って受付のみにするわ」



どうやら組合の倉庫を横に増設して加工も中でやるようだ。

宿舎を組合の裏に新しく建て、組合の横には装備や日用品を売る商店を呼んでくるらしい。



「商店はもう決まってるんですか?」


「ブロンズ商会にお願いするつもりよ。知り合いだって言ってたし。それで税金のことなんだけど………」


「いらないですよ? 元々管理するつもりで引っ越してきたわけではないんで。ただ将来人が増えすぎるのも今の湖の雰囲気が台無しになりそうで嫌なんですよね。何かいい案は無いですか?」


「いらないの!? 組合にとっては嬉しいけれど………。組合の従業員以外の居住を禁止にしたら? そうすれば来るのは旅行か冒険者、商人だけに絞れるでしょ?」


「まあ引っ越しを許可制にしたりはできますけど………」


「あなたはどうやって儲けるつもりなの?」


「まあ、卸業ですかね?」



今でも生計はそれに頼ってるしな。

毎月みんなの食費以外に道具を買う程度しかお金は使っていない。

みんなの給料だって使う場所が無いから必要な物を買う時以外いらないっていうし。

おやっさんは食材を原価で卸してるだけで後は使ってないみたいだし。



というわけで、組合の拡張とブロンズ商会の設置が決まりました。

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