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みんなの成長

ここ最近、湖に来る冒険者が凄い勢いで増えている。



どうやらバズったらしい。

今では毎朝2つの馬車で荷物や冒険者を運んでいる。

凄いときには旅人亭の部屋が足りず、横にテントを張って活動するものまでいる。



今はおやっさんの要望で離れの増設中だ。

と言っても、冒険者を詰め込むだけのタコ部屋のようなものなのだが。



帰ってきてから4日、もうすでに完成間近だ。

旅人亭のすぐ裏を開拓、土台を作って柱を立て、板を張っていくだけ。

部屋は分けず、小上がりを作ってパーテーションで仕切りを設ける予定だ。



「外装はどうする?」


「旦那の好きにしたらええ。中の保温材やら小上がりは作っとく」



外装はコンクリートと木でいいか。

壁の上側に木製の壁材を釘で固定していく。

下には煉瓦模様のパネルをセメントと釘で張っていく。



中は母屋から電気を引いて明かりを設ける。

こっちにはトイレだけ2つ付けた。



入ってすぐ左側にトイレが2つと流し台、右側に貴重品を入れるためのロッカー。

真ん中は長い通路になっていて両側には畳を敷き詰めている。

そのままフローリングだと痛いからな。

畳は1畳半の幅にして、荷物を枕元に置いても縦に並んで寝られるようにした。



カーテンを付けようかとも考えたが、天井に取り付けるのが大変なのとどこで分ければ良いのか分からないのでやめた。



渡り廊下は一応少し高くはしてあるが屋根が有るだけで、そこから外に出られるようにしてある。

学校と体育館の間みたいな感じ。



「なあ、建築ってこんなに早いものだったか?」


「そんなんじゃあここでやっていけないぞ。ここの王は10人足らずの大人だけでここを作ったらしいからな」


「たまに走ってる鉄の馬といい、怖ぇよ」


「でも王はいいやつだぞ。昨日も一緒に酒飲んだし」


「王様だよな?」



冒険者の疑問は俺の耳に届かない。

変人奇人か、魑魅魍魎だとでも言われそうな噂が絶えない王様なのである。

ドカタ万歳。



離れが完成、外の空き地でキャンプしている奴らには1泊15fで提供する。

しかも飯付き。

おやっさんからするとそれでも酒の注文なんかで利益は出ているらしい。

出ても使う場所が無いのが問題だが。



組合は現在、依頼がたくさん貼られバブルの様相である。

猫車も増やした。

受付も2人に増えており、馬車も予約が取れなくて歩いてくる者までいる。



旅人亭の従業員が足りなくなってきたな。

町に行って求人でも出すか。

奴隷を買ってもいいが、さすがに奴隷は多すぎるかな。

一応両方確認するか。



おやっさんの要望では、後二人ぐらい欲しいようだ。

あと双子と仲良くできる人。

ということで双子も連れていく。



人選に関してはセバスチャンに敵わない。

4人でリーフに乗り込み、早速町に出かける。



「はやーい!!」


「すごーい!!」



そういえば湖から車で出ないからこのスピードも初めてか。

ものの30分ほどで町に到着。

衛兵も慣れたもので敬礼で通してくれる。



なんか素通りできるのってVIP感あって気持ちいいよね。



街中をゆっくりと走りながら奴隷商会に到着。

双子を連れて中に入り、給仕や家事ができる者を呼んでもらう。

奴隷商会は人を扱う以上キレイにしてあり、子供でも怖く感じないようにできている。



並んでいるのは女性が多い。

先に仕事の内容を伝え、希望者に自己紹介をしてもらった。

そこから双子と少し話してもらい、ユーナとセリンという30手前ぐらいの二人の女性を購入。

セバスチャンから見ても問題無いということでその場で解放して連れて帰る。



二人で5万fほど。

最近車買ったりなんだりで110万fしか残っていない。

2000万円もなんに使ったんだろ。

ナビゲーターが高いのは分かるが、後はなんだ?



怖がる二人を後ろに乗せ、商業組合はよらずに帰る。

求人を出したところで日数がかかるからな。

もう一回面接に来ないといけないし。



旅人亭に帰り、おやっさんに二人を紹介する。

早速明日から女性陣に加わって仕事を覚えるようだ。

リンダさんに聞いて、必要そうな物や消耗品を買っていく。

二人とも恐縮していたが、うちの標準装備だ。



やっと大人の方が増えた。

子供たちも手伝ってくれるが、最近は勉強に忙しい。

大人たちが先生となって、1日2時間ほど勉強を教えている。

グスタフは工作、ポアソンは数学、セバスチャンは戦闘みたいな感じにそれぞれ思い思いのことを教えている。

俺はその日その日で変わる特別授業。

料理を教えたり、でんじろうしてみたり。



夢がひろがりんぐ。



王都から帰ってきてから始まったので、まだ1回しか授業していない。

初回に字を教えただけだ。

表音文字なので、1回目に教えて、後は独学でも覚えられる。



次のグスタフは絵を教えていた。

工作は絵から教えるつもりのようだ。



みんなそれぞれ宿題を考えてきていて、空いた時間は手伝いをしたり宿題をしたり。

クラスは我が家の食堂。

テーブルもあるしホワイトボードだけ設置すれば利用できる。



子供たちもみんなで何かするのが楽しいようで、授業は好評だ。



シードはここ最近、これからのために湖の道路周辺を開拓してもらっている。

グスタフは重機で道路作りを行う予定だ。

家の裏から西へ森を抜ける道路。

この重機が中古で7万fぐらいした。木を伐採しながら掴むことができるもので、藪でも木でも1日500mぐらい進むことができる。



ケビンもそろそろ種まきを始めるようで、肥料を混ぜていた土や埋めていた木片を掘り起こして土を柔らかくしている。



冬が明けてみんなが動き始めた。

暇なのは俺とポアソンとセバスチャンだ。



やることも無いので、タイター村に視察に行くことにした。

国で唯一の村。

まだ行ってなかったからな。



「久しぶりだな。今日も泊まりか?」


「いえ、ちょっと村の様子を見に来ました」


「上の村に行く途中か?」



あれ?

話通ってなかった?



「上の村は自分の家ですが………」


「湖に引っ越したってのはお前か!!」


「そうですよ? 聞いてませんでした?」


「聞くも何もいつの間にか街道ができてるし、誰も教えてくれなかったぞ」



どうやら何も聞いていないらしい。

詳しい話をしに村長の家にいく。



「先日はオークの討伐を助けていただきありがとうございますじゃ」


「それは良いのですが………。この村と湖が独立したのはご存知で?」


「………へっ?」



やっぱり知らなかったか。

俺がトカゲのしっぽでレイナード王国から独立してミヤジマ支国を建国し、この村がそれに入っていることを伝える。



「………は?」



まあそりゃそうなるか。

とりあえずこれから税金は払わなくていいことと、問題があったら湖に来るよう伝えた。




家に帰り、みんなで食事にする。

最近はジェシカさんも食事の腕をあげてきている。

俺が作るいろんな料理を食べてアレンジしているようだ。



夕食後、セバスチャンと将棋を打ちながら酒を飲む。

セバスチャンも将棋が上手くなってきたな。

たまに危ないときもある。



俺も成長しないとな。

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