虫嫌い
蟻地獄から1日、前回蛇を倒した場所まで来た。
森の中で何匹か魔物を倒したが、レベルは上がっていない。
だが山に近づくにつれ魔物が強くなっているのは確かで、麓であの大蛇が出たってことは、登っていけばもっと大物が居るかもしれない。
「やっぱり登るか。まあレベルが上がった時点で引き返そう」
「前回の大蛇が1匹いれば、40は普通に超えるでしょうな」
「だな。戦闘にならないのが一番だ」
山の7合目辺りまでは木が生えていた。
所々岩場の場所もあるが、蛇のいた辺りを越えた所でまた森が続く。
山は登って降りてを繰り返しながら標高が上がっているようで、1つ山頂を越えた所で少し下っていく。
セバスチャンが反応を見つけた。
そこまで大きいようではないが、すでにこちらに向かってきているようだ。
「あと50mほどです」
「分かった」
現れたのは、10mはあるかという大きなムカデだ。
また虫か。
取り敢えず撃ってみる。
弾かれた。
銃を5.56NATO弾のルガー製AR556に換える。
山を登るときに買ったルガー製のアサルトライフル。
蛇の強さを考えて買っていて良かった。
ドットサイトとサプレッサーも装着している。
バスン!!
今度は弾かれない。
やっぱり音でかいな。
バスン!! バスン!! バスン!! バスン!!………
30発叩き込んだが、まだ生きている。
ヤベェ………。
「セバスチャン、後退しながら撃ち続けるぞ!!」
「私が足止めします。撃ち続けてください」
セバスチャンが突っ込んでいき、ショットガンで足や関節を破壊しながら器用にムカデの飛び付きを避けている。
バスン!!………バスン!! バスン!!………
セバスチャンに当たらないようにこちらも攻撃を加えるが、装填済みのマガジンが切れた。
俺もショットガンに持ち替え、対角線に入らないポジションに移動して攻撃を加えていく。
スラッグ弾でも食らえ!!
ズガァン!!
「グハッ!! なんちゅう反動だよ!!」
ムカデを見ると、弾が貫通している。
さすがに威力がでかすぎたか。
ムカデの動きが悪くなってきた。
弾を普通のバードショット用に換えて、頭を粉砕。
売却してみたが、魔石のかけらと出た。
魔石も粉砕してしまったようだ。
合計は2万f。
残金61万f。
いろいろ買ったからな………。
ついでにレベルも2つ上がって41。
やっぱり山はおいしいな。
「大丈夫かセバスチャン」
「大丈夫ですが、あんなに硬い魔物は自分も初めてです」
「虫は銃でも苦戦する。やはり痛覚のある魔物の方が扱いやすいな」
「身をもって実感いたしました。それでレベルの方は?」
「上がったぞ。41だ」
早速山を降りて、テントを張る。
恒例のサイト確認だ。
ネットショッピングを開くと、買う、売る、収納の横に新しく給油と出る。
やっとガソリンが使えるようになるのだろう。
価格は1リットル1f。
日本で考えれば安いな。
これで色々使えるようになる。
早速サイトを確認しよう。
使用可能サイト
machineryzone.com
aliexpress.com
machineryzoneは重機専用の販売サイト。
もっと早く欲しかったが、今までの経過を見ると多分その時レベルをあげていたら出てくるサイトも変わってしまっていただろう。
サイトは全部あいつの気まぐれで選ばれるようだ。
死ね。
aliexpressは衣類が比較的walmartよりも充実している。
スーツなんかも豊富なのでこれからタヌキなんかと会うときは使いそうだ。
早速重機でも買って試そうか考えたが、ここで使う用事も無いな。
帰りもオフロードバイクで帰ろうか考えたが、手入れされてない原生林なんて走れない。
獣道だって難しい。
多分10mに一回転ける。
「良い買い物はできそうですかな?」
「今必要な物は無いな。開拓が楽になる道具と衣類が充実しただけだ」
「それも良いですな。あまり便利過ぎても楽しくないものです」
「実際もう十分だな。当分はゆっくりと釣りでもしているか」
「旅人亭も畑もできたばかり、しばらくは楽しめると思いますぞ」
「セバスチャンもやりたいことがあったら教えてくれ。大概はどうにかできると思うぞ」
「ホッホッホ。今で十分楽しゅうございます」
二人で塩焼きを齧りながら熱燗を楽しむ。
俺の楽園作りも一区切りできたし、しばらくは楽園を満喫しよう。
あー、彼女ほしいな。
ヒロインみたいな面倒臭いのじゃなくて普通の人で。
神様お願いします。
2日かけてここまで来たが、帰りは3日ほどかけてゆっくり帰る。
途中広い場所を見つけてセバスチャンとオフロードバイクの練習をした。
walmartに大人用のバイクなんて1種類しか無かった。
250cc聞いたことも無いメーカーのやつ。
昔原付乗っていたので講習は受けたが、マニュアルなんて乗るのも初めてだ。
エンストしまくり。
なんとか乗れるようになり、セバスチャンにも説明して1速でしばらくは慣れる。
そこから1速ー2速を行ったり来たりしながらギアチェンジに慣れ、3速でしばらくツーリングする。
「ハッハッハ!! これはいい自転車ですな!!」
「これは自転車じゃなくてバイクだ」
「これなら町まで行っても直ぐに帰ってこられますな!!」
「もう行く機会も無いと思うけどな!! グハッ!!」
走りだしに失敗してウィリー、背中から地面に落下した。
慣れるまでもうちょっと練習しよう。
開拓村に帰ってきた。
子供たちが一所懸命畑を耕している。
女の子たちは外で洗濯をしていて、シードが木材を薪に変えている。
楽園だな。




