センチュリー
今日も穴掘りです。
昨日はあと少し残して終わってしまった。
それを終わらせれば後は直ぐ終わる。
残った土を掘り出し、そこに砂利を出していく。
皆で袋をひっくり返して砂利を蒔き、平らにならして叩く。
そこに排水パイプを通し、コンクリートをダバダバ出して終了。
後は上に乗せるだけなのだが、引っ越してきてからユニットバスを増設する予定なのでそこにも下水管を通しておく。
グスタフはこの後シード一家の家もお願いしている。
このままその土台作りに行くようだ。
といっても直ぐ脇だが。
ケビンたちの様子も見に行く。
木は切り終わっているようだ。
モンケたちも斧なんかで枝を払って脇に積み上げている。
全部収納に詰めて、シャベルでケビンの手伝いに行く。
「こりゃあ大変だな」
切り株ってスゲー深いのな。
根はチェーンソーやノコギリ、ボルトカッターなんかで切って収納する。
これを全部やらなくちゃいけない。
シャベルで大人がガッツリと掘って、子供たちに小さいスコップで根っこを露出させてもらい、チェーンソーで切断、収納。
1日6本も除去できれば良い方だろう。
冒険者残しとけば良かった。
木の根除去は俺、ジェイソン、ケビン、ポアソン、シードの5人の大人とモンケ、フラン、ピット、ベアの4人の男の子で行う。
グスタフとセバスチャンはシード宅の建設。
この人数でも1日8本ぐらい。
これはおやっさん来るまでには終わらないな。
切り株はまだ後100本以上残っている。
その後8日間切り株の除去とシード宅の建設を行い、シード宅が完成したところで引っ越しの前日になってしまった。
俺とセバスチャンの2人で迎えに行く。
チャリを飛ばして3時間。
昼過ぎに町に到着した。
まずは旅人亭に行って、荷物が入った木箱を収納。
家に向かい、ソーラーパネルやポンプなんかも全部収納して、空にする。
「便利だな」
「手ぶらで引っ越しできますよ」
そこから馬車の手配を行い、明日の朝に来てもらう。
ブロンズ商会で引っ越しすることを伝え、引っ越し先も教えておく。
ジェシカさんたちは家に泊まり、明日の朝家ごと収納する予定だ。
俺たちは旅人亭に泊まり、明日ベッドやらなんやらを収納して出発。
「おやっさん今日の飯は?」
「全部仕舞っちまったからジェシカさんも呼んで外で食べようと思ってたんだが………」
「簡単で良いなら作りますよ」
「おっ!! 久しぶりのお前の料理か!! 楽しみだな」
海賊料理である。
簡単で早く、美味い。
もうほぼインスタントと変わらない。
ジェシカさんとマリーちゃんを呼んできて、皆で手を洗い。
テーブルに着く。
まだテーブルには各種調味料しか置いていない。
「じゃあ料理持ってくるね」
「「はーい!!」」
子供たちはワクワクしているようでキラキラした目でこっちを見てくる。
厨房に戻り、ザルに取った魚介をそのまま大皿に盛り付け、テーブルに持っていく。
セバスチャンはパンをお願い。
「こりゃあ、料理か?」
「うちで面倒臭い時によく出している海賊料理です。ただの塩ゆでですね。好きな調味料で食べてください」
「確かに簡単だが………。なんで海賊なんだ?」
「食べ方ですね」
俺はカニを取り、ナッツクラッカーで殻を割って身を取り出し、レモン汁と醤油で作ったタレにつけて食べる。
子供たちも真似をして、なんとか身を取り出し、思い思いのタレで食べる。
エビや貝、ロブスターまである。
皆手づかみで食べ、テーブルの上のバケツに殻をポイポイ入れていく。
「なるほど、こりゃあ海賊だ」
「酒も進むし、この町だったら誰か思いつきそうなもんですけどね」
「あったかも知れんが、料理として考えてなかったのかもな」
「まあただの塩ゆでですしね。誰か知り合いでやりたい人いたら教えてあげてください」
「そうだな。この町の名物になるかもな」
この宿を引き払う手続きは終わっているようで、明日トイレのスライムなんかの回収に来るらしい。
スライムトイレやってたんだ。
領主も仕事しているようだな。
「じゃあ皆さん、出発しますよー」
「「はーい」」
俺とセバスチャンは自転車、もう面倒臭いので町中から乗っていく。
徒歩で馬車と一緒に外まで走りたくない。
回りにはビックリされたが、そんなのもう気にしていてもしょうがない。
十分暴れすぎた。
これで町に来ることもほとんど無くなるだろう。
のんびり森の開発でもしていこう。
「あれ、アニキじゃね?」
「あんな乗り物乗ってんのはアニキしかいねぇな」
「やっぱぶっ飛んでんな」
見知った顔があった気がしたが、気のせいだろう。
馬車に合わせてゆっくり進み、町を出る。
衛兵がこちらを見てビックリしていたが、俺が出ていくと知って安心していた。
また暴れに来てやろう。
ゆっくりとしたスピードで進み、湖へ着いたのは午後4時頃。
馬車めっちゃおせぇ。
「でけぇな」
「頑張りましたから」
「管理が大変そうだ」
「まだ客も入ってないですよ」
馬車はもう帰れないので、旅人亭の1室を利用して、御者を宿泊させる。
やったなおやっさん、客が入ったぞ。
荷物を食堂に積み上げ、おやっさんにいろいろ説明をしていく。
「このボタンを押すと明かりが点きます。ろうそくなんかよりも明るいですよ」
「おぉ!!」
「でこれがシャワールームですね。水を出して少し待つとお湯が出ます。こっちが冷水でこっちがお湯です」
「すげぇ!!」
「水は川から引いてきているので蛇口を捻れば水は使い放題です。そのまま飲める水ですよ」
「………」
「トイレも水洗なんで使い終わったらここのつまみをひねって流してください」
「………」
「………どうしました?」
「便利すぎねぇか?」
「これでも温水と明かり以外は自然の物を使ってますよ。明かりが消えたりしたら教えてください」
「………分かった」
そのままジェシカさんのところへ行き、ケビン宅を土台の上にだす。
「どうだ?」
「もう一回じゃ!! 西側が少しずれとる!!………完璧じゃ!!」
土台から浮かせているケビン宅はここからまた排水を繋いだりしなくてはならない。
それはグスタフに任せる。
明日もう1つ建物をくっ付けてユニットバスを設置し、トイレと風呂を使えるようにする。
家では歓迎会を含めてみんなで食事。
サラダやシチュー、ステーキなんかを収納から出していく。
この日のために先に作っておいた。
酒も出してみんなで自己紹介していく。
子供が11人、大人が10人。
めっちゃ人増えたな。
ユナ、マリー、リリー、アマンダ。
女の子4人
ロビン、ユマ、モンケ、フラン、ピット、ベア、ウォーター。
男の子7人
4歳のウォーター君だけ年が離れているからか、皆に近寄れないらしい。
子供たちだけをテーブルに集め、アイスケーキを出してやる。
ウォーター君も混ざれるようにロビン君に伝えると、快くウォーター君の面倒を見てくれる。
いいお兄さんだ。
やっぱり女の子は甘いものが好きらしい。
男の子はまたフライドチキンにかぶりついている。
「にぎやかですな」
「いいことじゃ」
「俺も16歳だけどな」
「隠居する16歳が何を言いますか」
「ワシも人間で言ったら30ぐらいじゃ」
「いいから飲もう。また明日から仕事だ」
まだ明日ケビン宅の設置が終われば後は畑だけだ。
皆でやれば早く終わるだろう。
この大所帯だ。そのうち村のようになるかも知れないな。
まあそれも面白そうだしいいか。
そろそろロビン君を連れて森にキャンプにも行かないとな。




