一方ロシアは鉛筆を使った
俺は今組合の厨房で料理を作っている。
焼き鳥はパン焼き釜で大量生産。
ついでにバッファローチキンも作る。
酒はビール沢山とウォッカとテキーラを出した。
両方1.75リットル。
冒険者の食う量が半端ない。
作った先から消えていく。
冷凍食品のポテトやナゲットを油に突っ込んで大量生産。
パン釜ではアメリカンサイズのピザを焼いていく。
鍋ではベーコンと野菜を適当に入れたコンソメスープも同時進行で進み、昔居酒屋のキッチンを1人で回した時を思い出す。
ドリトスを出して時間を稼ぎ、完成したピザを全テーブルに置いていく。
注文される前にテーブルを埋めてしまえばこちらの勝ちだ。
揚げ物も山盛りでケチャップと一緒に提供。スープを出したら味変でバーベキューソースやマスタードも出しておく。
そこからまた焼き鳥を焼き始め、第2陣を攻める。
最後につまめるナッツやスナック類でテーブルを埋めてしまえばお代わりは来ないだろう。
「この量の飯一人で捌いたよ………」
「76人までだったら1人でやったことある」
「パネェ………」
俺たちもこのまま食事にする。
そういえば賞金のこと忘れてたな。
「賞金? 別にいいよどうでも」
「なんなら冒険者の汚名返上してもらって感謝してるぐらいだ」
「この量の飯全員で食ったらそれくらいの料金にはなるはずだ」
「て言うかお前1人で全部作ったの? そっちの方が気になるんだけど」
「俺見てたけどすごい迫力だったぞ」
まあいらないのなら別にいいか。
さっさと飯食って帰りたい。
今日は町で1泊だな。
家に帰るとき縛っておいた奴らを見たらボロボロになっていた。
誰が持ってきたのか拷問器具が増えている。
て言うかハゲの頭にろうそく立ってるんだけどどういうこと?
家に帰り、ジェシカさんに報告、ついでにケビンにも無線で報告しておいた。
懐かしの部屋で睡眠を取る。
教会行こうか迷うがロビン君がステータス見られるのは2年後。
見るとしたらジェイソンとグスタフか………。
別に興味ないな。
翌日、旅人亭のおやっさんの所に顔を出し、引っ越しの予定を聞く。
「お前らだろ昨日暴れたの。うちに泊まってる冒険者が噂してたぞ」
「ボウ…けんしゃ?」
「お前も冒険者だろうに………」
「それで、引っ越しはできそうですか?」
「10日後だな。っていうか予定より早くないか?」
「まあ暇だったんでやっちゃいました」
「お前は暇になると危ないな」
「じゃあ9日後に準備も含めて迎えに来ますね」
「分かった」
ジェシカさんにもその予定で準備を進めてもらう。
っていうか移動はどうするか。
………三輪車でいいか。
子供3人は自転車にリヤカーでもくっ付けて運ぼう。
帰る前に一回ケビンの家を収納、土台を計っておく。
家に帰ったら作らないと。
ということで帰宅。
早速グスタフとジェイソンに土台の建設をお願いする。
冒険者たちはやることが無くなったので渋々帰っていった。
そのうちまた呼んでやるか。
ケビンとシードには畑予定地の伐採をお願いする。
これは切り株を燃やしても根っこが残るので、1つ1つ掘り返さなくてはいけない。
これは子供たちの中から男の子にお願いし、ロビン君に教えてもらっている。
リンダさんと女の子には旅人亭と家の掃除をお願いする。
まあ大きいから少しずつで。
俺とセバスチャンはリヤカーの改造。
リヤカーの傾きを止める金具を切除して足回りをタイヤ2つだけにする。
持ち手を真ん中で切って曲げ、自転車用のベビーカーを固定する金具を溶接。
それを後輪に取り付け完成。
試運転。
やっぱり重いが、速度に乗ってしまえば走れそうだ。
電動マウンテンバイクを購入して設置してみた。
スイスイ走るが充電が足りなくなりそうだ。
帰りだけならなんとかなるかもな。
ジェシカさんとおやっさんには三輪車で頑張ってもらい。
子供を引くのは交代でやろう。
「馬車を使ってはいけないので?」
「………」
「まあこれもいずれ使う機会があるでしょう」
「馬車にここまで運んでもらったらいくらだ?」
「行きと帰りの2日で馬2匹と御者で400fですな」
「………クソぉぉぉぉ!!」
気を取り直してグスタフの手伝いに行く。
ちょうど穴を掘っているようだ。
「そっちはもうええのか?」
「もっと良い解決方法を見つけたからな」
無心で穴を掘っていく。
並び的に道路の終点から家、ケビン宅、旅人亭になる。
土台を掘っている途中で今日は終わり。
久しぶりにカレーでも作ろう。
お湯を沸かしてじゃがいもと人参を先に茹でる。
その間に玉ねぎとニンニク、生姜を炒めて、玉ねぎが飴色になったら牛肉を炒める。
じゃがいも、人参をお湯と一緒に投入。
そこにルーを入れて味を確認。
味に深みを出したいなら出汁を入れて、パンチを利かせたいならスパイスを入れる。
日本なら少し醤油なんかで塩味を強めにしておくとご飯に合いやすい。
俺の好みはクミンパウダー多め。
それを別の鍋に移し、ここに唐辛子などの辛味を入れていく。
少し辛めにして完成。
辛さは両方のカレーの量で直接してもらう。
そのままなら甘口、半分半分で中辛みたいな。
「すごい匂いですね」
「大量のスパイスを使ったからな」
「どんな料理ですか?」
「南の国の煮込み料理だな」
全員に甘口のカレーをよそい、好きに辛くしてもらう。
最初からライスを入れると混ぜづらいので別盛りだ。
パンの人間もいるしね。
「これはまた独特な味ですね」
「辛いから気を付けて食えよ」
「パンにも合いますね」
「スパイスが高級な時代は、貴族が大量のスパイスを使った激辛料理を振る舞って、富を象徴した時代もあったらしいぞ」
「美味しいんですか?」
「貴族じゃないから分からんが、多分食えた物じゃないだろうな」
煮込む時間があればちゃんと作るが、時間がない賄いはじゃがいもと人参はチンしてから入れてたからな。
その分出汁でごまかしてる部分もあるが。
スキルに頼りすぎて視野が狭くなってたな。
少し自力で頑張ってみるか。




