飯と罠
うぅぅさびぃ。
いや、12月にしては暖かいほうか。
海の影響かどうか知らんが、ここら辺は真冬でも雪が降るほど寒くならないらしい。
今日の朝食は餃子スープにしよう。
温まるし腹に溜まるしそれがいい。
鶏ガラスープに胡椒をキツめに入れ、切った白菜とほうれん草を入れて完成。
パンも付けておけば大概問題ない。
今日の予定は立てた柱に梁を付ける続きと、できれば床まで付けたい。
立てた柱の金具に梁を固定していく。
風呂場の棒を引っ掻ける感じが近い。
それを固定する感じ。
それが終われば床板を固定する梁をまた並べるのだが、それは俺が収納で出すので問題ない。
皆で並べて固定するだけ。
その上にベニヤを乗っけて天井にまた梁を固定していく。
デカいから思うように進まないな。
まあ急いで怪我しても嫌だしこのまま行くしかないな。
半分も行かずに今日は終了。
一人デッキに赴き、2ヶ所に罠を沈めて帰る。
これでいっぱい入ってくれればいいな。
今日は鍋にしよう。
みんな最近野菜取ってないし。
もつ鍋食いたいな。
キャベツと豚モツを準備、豚モツは一回茹でて臭みを取る。
スープは鶏ガラと鰹出汁で味付けは醤油と塩。
ニンニクと生姜も入れて臭みを取り、キャベツを入れてしんなりしたら豚モツ、もやし、ニラを加えて最後に鷹の爪の代わりに乾燥唐辛子をかけて完成。
「今日はスープだけですか?」
「これは鍋といって好きな食材を入れて食べるスープだ。自分の器によそったらこのごま油をかけて食べてくれ」
「これは?」
「豚モツだな。旨いぞ」
「モツですか。知らない食材かとビックリしました」
この時代、食べ物なんてなんでも食うのが当たり前だ。
地球でもモツは昔から食べられていた。
食べないのは伝統料理を知らない人間だけだ。
「なあ、モツってこんな味だったか?」
「大体腸詰めなんだから味なんてわからんだろ」
「旨いぞ」
「まあアニキの料理だからな」
まあホルモンなんて臭み消してなんぼだからな。
いろいろ方法はあるけど、この国でもなんかしらしてるだろ。
おやっさんの飯を食えば別に調味料が少なくてもどうにかやってるし、無いなら無いなりになんとかしていくもんだ。
俺はもつ鍋にパンを浸しながら食ってみる。
合わなく………はないな。
ただもうちょっと洋風にした方がいいな。
ワインやトマトかなんか加えればいけるか?
締めはおじやにして終了。
なんだかんだ野菜あんまり食ってないな。
翌日、仕事前に罠を引き上げる。
気持ち悪!!
………取れすぎやろ。
よほど警戒心が無いのか、アホみたいな量が取れる。
罠2つで73匹………。
皆に事情を説明して休みにしてもらい、燻製作りに入る。
コンクリートを練る箱を出して血抜きをしていくが、数が多くて直ぐ水が真っ赤になる。
水を湖に捨てて新しい水を入れ、捨てては入れ、捨てては入れを繰り返す。
そのうち血の匂いに誘われたのか、4mは有りそうな巨大なナマズが泳いできた。
「でけぇな。モンスターか?」
魚を一匹エラを切って投入。
直ぐに食いついた。
すかさず拳銃を水面に撃ちまくり、浮いてきたところで釣竿で回収。
収納で確認してみると、キングキャットフィッシュと出る。
売却すると、2万fで売れた。
身が薬になるらしい。
………いらねぇな。
湖で魚の処理を再開する。
ぶっちゃけ俺の燻製の方がいい商売になる気がする。
自画自賛です。
やっと終わった。
ついでに背鰭の処理もしたから時間がかかった。
桃太郎のおばあさんになった気分。
流れてきたのは大きな大きなナマズ。
………撃ち殺したけど。
家に帰り、魚を背開きにしていく。
今日の昼御飯どうしよう?
簡単だしホットドッグでいいかな。
玉ねぎとピクルスを一緒にブンブンチョッパーでみじん切りにし、ソーセージは一回茹でてから胡椒をたっぷり振ったフライパンで焼く。
パンの切り込みにみじん切りにしたピクルスと玉ねぎを敷き、レタスとソーセージを乗せて上にケチャップとスパイシーマスタードをかける。
旨いな。
それを大量に作り、収納へ。
引き続き魚を背開きにする作業に勤しむ。
鱗は小さいので剥がしやすくていいが、水を出しっぱなしにしないと鱗まみれになる。
これも湖でやってくれば良かった。
内臓は次の罠の餌に使うため一つにまとめておく。
少し塩を振ると浸透圧の関係で匂いが広がるから釣りをするならおすすめだ。
背開きにする間に横の鍋でソミュール液を作っておく。
沸かすだけなのだが、冷ますのに時間がかかるため先に作っておかないとあとで面倒だ。
開いた魚を全部投入して今日は終了。
晩御飯に開いたレイクパーチでパーチフライを作って出す。
ソースはタルタルでいいか。
ちょうどホットドッグで使ったピクルスと玉ねぎ余ってるし。
あとはバッファローチキンとバーニャカウダ。
昨日野菜が少なかった分今日食べさせる。
鍋に水を少し張り、野菜を適当に突っ込んで終了。
蓋をしてちょくちょく水を足しながら蒸していく。
今日は洋風だし、ガッツリだ。
野菜も大量に取れるし言うことないな。
「なんだ? 今日は野菜が多いな」
「ここ最近肉ばっかりだったからな」
「バーニャカウダですか。久しぶりですね」
「セバスチャンは食べたなそういえば」
「アニキ、これって旅人亭のメニューじゃ?」
「まあ近所だしな」
「アニキの家ってあの辺だったのか?」
「旅人亭の直ぐ裏だぞ」
なんならバーニャカウダ教えたの俺だけどな。
「この鶏肉もうめぇ」
「これあの魚か!!この食べ方も美味しいな。ソースがいい」
「バーニャカウダはやっぱり野菜に合うな」
「ホッホッホ。老体には野菜は嬉しいですな」
マヨネーズが欲しいが日本のマヨネーズと海外のマヨネーズは味が全然違うのでやめた。
日本のマヨネーズは売ってなかった。
慎吾ママはここじゃあ生きていけないな。
夕食後、今日の作業の進展を聞く。
「まあ梁は終わったな。後は屋根じゃが旦那がいれば直ぐ終わるじゃろう」
「じゃあ明日には壁か?」
「そこまで行けるかどうかじゃな。その前にちゃんと床を張らんといかん」
そういえば床はベニヤを乗っけただけだったな。
あの広さをちゃんと張るとなると時間はかかるな。
まあそれでも早いのだが。




