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燻製って美味しいよね

キャンピングチェアに座って釣糸を垂らす。

椅子の両方の肘掛けについている穴には灰皿と瓶ビール。



至福である。

魚がかかりすぎて忙しいが。



「たまにはこういうのもええもんじゃ」


「そうですね。私も釣りは好きでございます」


「ちょっと釣れすぎだがな」



デッキの上にはセバスチャンとグスタフ、俺の3人。

誘ったらおっさんしか来なかった。



「それで、この魚はどういたしますか?」


「開いて燻製にでもするか?」


「それも旨そうじゃの」


「開いて浸けて干して燻製で3日ぐらいか」


「明日からはワシがいればなんとかなる。好きにすればええ」


「そうだな。もう道作りも覚えたしな」


「あれも画期的じゃな」


「石灰に粘土、水でもたしか似たようなの作れたぞ。強度はコンクリートよりも低いがな」


「それだけでもいいこと知れたわい。そのうちドワーフ王国から使者が来るじゃろうて、その時にでも教えとく」


「詳しい配合は知らんからいろいろ試してくれ」




今日朝イチで道路を自転車で往復したが、1時間ちょっとで帰ってこられた。

下手したら町まで日帰りできるかもな。



村から町までは時間的に30kmぐらいだろう。

4時間もあれば行けるかな。




家に帰り、今日釣った魚を塩焼きにする。

この時お腹のなかにも塩を振っておくと、焼けたときに身に味が染み込んで美味い。



味噌汁は、味噌以外にちょっと醤油や酒を入れると深みが出る。



今日は普通の和食にしてみた。

漬物もきゅうりのヨーグルト漬けだ。

塩とヨーグルトだけだが、乳酸菌で糠漬けっぽい味に仕上がる。

小鉢には肉じゃが、脇にほうれん草の煮浸し。



やっぱり和食を挟まないと生きていけないな。

味噌汁を飲むと体が喜ぶ感じ。




「今日は旦那様の故郷の料理ですか。私にはこちらの方が合いますね」


「俺もたまに挟んでおかないと落ち着かないからな」


「このスープに入っている白いものは?」


「豆から作った煮こごりのようなものだ」



みんな不思議な味に戸惑いながらも普通に食している。

苦手ということは無いのだろう。



「明日から建築に入るが、俺はちょっと抜ける。といっても昼からは参加するぞ」


「何をするんですか?」


「干し魚作りだな。まあつまみだ」



夕食後、魚の処理に入る。

収納のではレイクパーチと出たのでイエローパーチなんかと一緒だろう。



血抜きはしてあるので、大きい背鰭をハサミで切り落とす。

背開きにして内臓とエラ、血合いを取り除いて醤油、塩、唐辛子、胡椒、水で作った液につけておく。



今日はそのまま就寝。




翌日、朝食後に水に晒して塩抜きし、日陰に干して建築の手伝いに向かう。



ちょうど土台の枠ができたところのようで、コンクリートを流し込む。

みんなはそのまま屋根を先に作るようだ。

まあ俺が収納に入れて設置するだけだし時間を有効に使うにはいいか。



一回干物を見に行くが、まだ水分が多いのでもう少し放置。



その間に燻製器も作る。

既製品は小さすぎて入らない。



木製の用具入れを購入し、組み立てる。

全部形になっているので、板を張り合わせるだけで2時間もしないで完成した。

中に網を8段設置し、落ちた水分がしたの食材につかないようお盆も付ける。

煙さえ通れば問題ない。

小さい煙突と温度計を上と下に設置すれば完成。



魚を触ってみるといい感じに乾いてきたので、早速燻製にする。

低い温度の冷燻もいいが、時間が2週間以上かかるため、今回は温燻。

温度はたんぱく質が固まらない70度以下で明日まで。

できれば40~50度でやっていきたい。



一応空気を取り込む穴は4箇所開けてあるが温度を見ながら安定するまで開けたり塞いだりすることになるだろう。



六角形の網の中にペレットを敷き詰め、着火して燻製器の一番下に置いておく。

燃えないように下にお盆も敷いておく。



入り口を締め、煙が漏れている箇所を木工用ボンドで埋めていき、吸気口と排気口以外を閉め切る。



少し温度の上がりが早いので吸気口を一つガムテープで塞ぐ。

48度で止まったのでこのまま放置、ちょこちょこ見に来よう。

最低でも4時間持つと言っていたが、温度が低いので6時間ほどは行けるはずだ。



夕食時、燻製器にかけないで干しただけの魚を食べてみたが、塩辛いこともなくいい感じだ。

夕食後にペレットを敷き詰め直し、穴をもう一つふさいで温度を下げたまま燻製にする。これで起きるまで切れていることは無いだろう。

温度が35度で止まったのを見届け、就寝する。




翌日、朝食前に確認してペレットを補充。

ガムテープも1枚はがす。



朝食後も50度以下だったのでこのまま皆の手伝いに行く。

柱になる木を立てているところだったので、柱に木材を打ち付けて固定する。

全部の柱が立った所で燻製器を確認。

ペレットが切れていたので一度魚を取り出して味見。



「………クソウメェな」




そのまま全部の魚を回収。

スキップしながら手伝いに戻った。



今回は柱を立てる前に金具を固定しているので、後はネジで止めるだけ。

14人もいるが重い梁を支えるので人を取られ、半分の柱に梁を渡したところで終了した。



今日の晩御飯は煮込みハンバーグと塩焼きチキン。

煮込みハンバーグのソースがマッシュポテトに絡んでパンによく合う。



「グスタフ、セバスチャン、燻製が完成したぞ」



そういって小さいグリルを取り出し、キッチンから炭を持ってきて魚を炙る。

味を知っている俺は匂いだけでヨダレがとまらない。

皮がいい感じに焼けたのでひっくり返し、少し焼く。

皆無言だ。

冒険者たちなんかこっちのテーブルまで来て魚が焼けるのを睨んでいる。



「グスタフ、セバスチャン食ってみろ。俺も焼いたのはまだ食ってない」


「旨そうな匂いだな。………あの魚ってこんな旨いのか」


「では私も。………燻製もそうですが、醤油が良いですね。こんな干し魚そうそう食べられるものじゃないでしょう」


「そのまんまでも旨かったからな。………やっぱりうめぇな」


「アニキ………俺にも一口………」


「いっぱい作ったから安心しろ」



そう言って2枚取り出し焼いていく。

俺たちは先にウイスキーとレイクパーチでしっぽりやる。



「こんなもん一生酒飲めるぞ」


「確かに合いますね」


「多めに作ったけどもう少しあっても良いかもな。一応そのままでも食えるぞ」



燻製しただけの物も出す。



「焼かなくてもこの味か。魚の味が濃くてこれはこれでいけるな」


「だろ?30枚ぐらい作ったけど飲んでたら無くなりそうだな」


「簡単に釣れますし、また釣りに行くのも良いですな」


「そうだな。っと焼けたぞー」



冒険者とケビンたちに1枚ずつ渡し、また焼き始める。



「うまっ」


「干し魚より断然うまいな」


「もうここを拠点にしようよ」


「悪くない」



いやいや、ここを拠点にどうやって依頼受けんだよ。

冒険しろ。



「ケン様の作る食事は初めて食べるものばかりですが、どれも美味しいですね」


「美味しいです」



シードとポアソンも気に入ってくれたようだ。

そのうちベーコンとかも作りたいな。




もう12月も終わりそうだな。

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