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デッキと海賊と新人

今日は湖にデッキを作ろう。

毎日同じ仕事じゃ飽きる。




昨日ホームデポで見つけたキットで作るから簡単に終るはずだ。



まずアルミのフレームを組み立て、中に浮遊する箱を設置する。

水着に着替え、水中にポールを設置してデッキを装着するのだが、水深が変わっても良いようにポールとデッキは固定せず金具でポールにくっつけている。

浮きがついているので場所さえ変わらなければ問題ない。




深い場所でもデッキに乗りながら作業をすれば問題ない。

完成したデッキの上に椅子を置いて、皆で釣りを始める。

もちろん酒も飲みながら。



「浮くデッキなんてスゴいですね。雨で増水しても使えます」


「流されなければだけどね」


「景色がいいのぉ。酒がうまく感じるわい」


「そのうち焼き台でも持ってきて魚でも焼くか」


「でも釣れませんね………」


「今日はデッキを設置したりしたから逃げたんだろう。まあ釣りは雰囲気を楽しめばいいさ」



タバコを吸いながら、釣竿を垂らし、景色と同化していく。

結局釣れたのは1匹だけだったが、皆のんびりできたのでよかった。



その日の夜は手抜きで蟹やら海老やらをまとめて塩ゆでにし、皆で手掴みで食べる。

横にバケツを置いといて、殻入れする。



味付けはテーブルの上に置いたレモンや醤油なんかを使って各々好みで食べる。



「かぁー!! 蟹とウイスキーは最高じゃ!!」


「エビマヨも美味しいよ!! グスタフおじさん!!」


「この食べ方は楽しくて良いですね。手が汚れますが、これしか食べないのであれば気になりません。パンも手掴みで食べられますし、お酒が止まりません」


「まあ海賊料理みたいなもんだな」


「海賊料理か!! 面白い名前じゃな!! 野蛮だが贅沢で食べ方も面白い。流行りそうじゃな」


「町の港でやれば儲かるかもな」




みんな倒れるほど食べ、バカみたいに飲んだ。

楽しい晩飯だったし、調理も簡単だ。

この世界でも全然できる料理だし、また皆でやりたいな。




翌日からまた木を切るのだが、皆リフレッシュしたのか効率が上がっている。

このペースなら1日の遅れなど直ぐに取り戻せるだろう。

なんだかんだ同じことばかりでは飽きるわな。



それから3日、セバスチャンとジェイソンが8人ほど引き連れて帰ってきた。



「アニキー!!」


「………?」




どうやら俺がベロベロになったときに奢ってやった冒険者らしい。

仲間と一緒にやってきたようだ。



「ただいま戻りました。奴隷2人と6人パーティーの冒険者1組です」


「分かった。家で荷物をおろしてきてから詳しい話を聞く」


「かしこまりました」




新人は皆一旦家に戻っていったので、作業再開。

1時間もあれば戻ってくるだろう。



「こちらが新しい奴隷のシード殿とポアソン殿です。シード殿は元木こり兼猟師で、ポアソン殿は元商人です。最初から解放してきましたがよろしいですか?」


「人格を一番にセバスチャンが選べば問題ないだろう。ここの主のケンだ。よろしく頼む」




シードは寡黙なハンターといった感じ、タッパもあるし力仕事には使えそうだ。

ポアソンはガキが主と聞いて一瞬ビックリしていたが、直ぐに笑顔に戻った。いい商人だったようだ。



冒険者のほうは男6人。

全員覚えていないが、皆俺のことを知っているようだ。

俺をアニキと呼んでいるのはリーダーだそうで、あの晩皆でトランプをしながら飲ませまくったパーティーを率いている下級冒険者だ。

ジェイソンを覚えていたらしく、その場で契約してきたようだ。

覚えていないって怖いな。




「ケン様、あの木を切っている道具はなんですか?」


「チェーンソーだ。ケビン! 新人に道具の使い方を教えてくれ」


「かしこまりました!!」




一気に男14人。

むさ苦しいが、速さは倍以上。

切り株の処理を除けば3日4日で開通するだろう。




「ケン様、このような道具初めて見るのですが………」


「気にすんな。後で教える。ポアソンも後で教えてやるから今は魔道具ってことで納得しておいてくれ」


「………かしこまりました」





「アニキ! この魔道具すげぇな! 国でもこんなの持ってないだろ!」


「俺しか魔力の補充ができないからな! リーダーもあんまりこのことは喋んないでくれよ! 給料と酒は弾むから!」


「さすがアニキ!!」




冒険者の奴らも悪い奴じゃなさそうだ。

だがグスタフのように酒で釣ったり、ケビンのように家族で買った恩があるわけでもない。

銃に関してはもう少し先になるだろうな。



ケビンたちの信用を恩で考えるなんて、俺もいい人間ではないな。





その日の夜、昨日と同じ海賊料理で晩飯を済ませ、セバスチャンと一緒にシードとポアソンに異世界から来たこととスキルを説明する。



「見たことない道具だと思いましたが、異世界の道具とは………」


「これがあればこんな田舎を開拓して住まなくても遊んで暮らせるのでは?」


「貴族やらなんやらがめんどくさいだけだ。今までもいろいろあったが安心しろ。うちの家族だけでも国と戦争できるくらいには準備している」


「………そこまで話してしまっても良いので?」


「セバスチャンの人選は信用している。それよりお前たちのことも教えてくれ」




シードは村の木こり兼猟師だったが、猟の途中で負傷。治療費のために奴隷になったようだ。

ポアソンは南の町で普通に商売していたが、商売敵と貴族が癒着してありもしない借金を背負わされ奴隷になったようだ。



取り敢えず、銃ではないがシードに斧と鉈、コンパウンドボウを渡し、ポアソンにはナイフと剣、ついでに算盤を渡しておく。



「似たような数え石は有りますが、これは素晴らしいですね」


「これを使いなれてくると、頭に算盤が想像できて暗算も楽になるそうだぞ」


「こんな技術が異世界に………」


「もっといいものもあるが、それはポアソンに異世界の数字を教えてからだな」




喜んでくれたようだ。

シードは弓をとても気に入ってくれ、これなら50m先でも狙ったところに当てられると言っていた。

銃を渡したら逆に悲しむかもな。



そこからいろいろ今後の予定なんかも話し合い、これから就寝というところでジェシカさんから連絡が入ったようだ。



どうやらギナルが来るようだ。

罠でも張ってやろうかな。

飛行機の中で見たホビットが面白かった。

あんな世界観憧れる。

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