安かったら大変な事になるぞ
今日はロビン君と訓練している。
座頭○に感化されたようだ。
一応ケビンとジェシカさんにも拳銃を渡し、使い方を教えた。
いつまた厄介事が起こるか分からない。
エリーちゃんも何かほしいようだったので、小さい自転車をあげた。
補助輪付きだから初めてでも大丈夫。
双子と喧嘩しないようにね。
最悪買うが。
ロビン君の打ち込みは相変わらず鋭いな。
スピードを少しあげてみよう。
「力で振ると遅くなるよ。背中で振る感じ」
「はい!」
いいね。
顔も整ってるし、将来大変かもしれないな。
ロビン君を物語の主人公みたいにして、レベルをガンガン上げて勇者として送り出す。
討伐される魔王は俺かな。
昼御飯を食べてたら、家の扉がノックされる。
うちに正面から来るやつなんていない。て言うかそもそもそんなに繋がりがない。
拳銃を扉に隠しながらドアを開ける。
ジェイソンもドアの裏に待機済みだ。
「どちら様でしょうか?」
「おぉ! 先日はどうも。ギナルでございます。実はお話がございまして」
「お久しぶりです。どうぞ入ってください」
タヌキがまた来た。
王になんか言われたか。
「それで、ご用件とは?」
「実は、王から先日のお話の詳細をお聞きしたいのと、ケン様がお持ちの物で売れるものはないか聞いてほしいと頼まれましてな」
「先日のお話というと、帝国の?」
「その通りでございます。どうなるのか知らなければ対処ができないと」
「なるほど、うちの執事はもともと帝国の貴族に仕えていた人間でして。昔世話になっていた貴族と戦争をやめるように工作するようですよ」
どこから話が漏れるか分からない。こいつがそうかもしれないし。
基本は全然関係無いことを伝えていく。
これで計画がやりづらくなる可能性だってある。
「なるほど。ちなみになんという貴族かはご存知ですか?」
「いえ、聞いてませんが」
「わかりました。それと販売できる品についてはどうですか?」
「お茶、布、故郷の作物の種、石鹸などでしたら販売いたしますよ」
「実は、王女様が前回お土産を包んだ布を大層気に入りまして、それでドレスを発注してしまったのです」
シルクのベッドシーツか。
まあ大きさ的に節約すれば作れないこともないか。
「あの布でしたら販売可能です。ですが高いですよ。あれは私の国でも高級でしたから」
「………いかほどで」
「1mで50000fですね」
1メートル500万で販売します。
仕入れ50fだけど。
「5万f………かしこまりました。色は何色がございますか?」
「今出すので待ってください。………この黄金色なんて見てくださいこの光沢、素晴らしい逸品でしょ?」
「確かに美しい………」
「後は黒なんかも落ち着いていて良いですね」
ブロンズ商会で鍛えたこの話術!
今はケビンかジェイソンに週1で納品行かせてるから関係ないけど。
そこからトマトや唐辛子の種を出して、実際に料理を食べてもらう。
「これは………この地でも育つので?」
「今庭で育てています。ケビン!」
「お呼びで?」
「トマトと唐辛子はこの国で育てられるか?」
「まだ冬を越えていないので分かりませんが、種からでも春に植えれば十分育つと思いますね。しかし他の季節も食べられるか聞かれると分かりません」
「自分の知っている範囲では、トマトは半分にして、塩を振って乾燥させていました。後は半分乾燥させて油に浸けておいたりですかね。唐辛子はそのまま乾燥させれば1年中スパイスとして使えます」
「………素晴らしい」
「ケビンありがとう。もういいぞ」
「食生活が変わりますな」
タヌキは布をサンプルとして1mの物を5種類、乾燥唐辛子とトマトソースのビンをいくつかと、お茶も数種類買っていった。
現在残金73万f。
色々買ったが、拳銃なんて5万もしない。
「ジェイソン、どっか金使う所ないか?」
「女でも買いに行きますか?」
「悪くないが、面倒に巻き込まれそうな匂いがするな」
「それもう気配感知より有能では?」
「安心しろ。問題なんて勝手に向こうからやってくる」
「主様が言うと深いっす」
「買いに行くか」
「主様も男っすね」
その日二人で豪遊、1万f使った。
結局飲み過ぎて買いには行ってないらしい。
1万fなんてどうやって使ったんだ?
「覚えてないんすか? 全員に奢ってましたよ。帰りなんて冒険者8人にアニキって呼ばれてたし」
「………まあ楽しかったから良いよ。畑が落ち着いたら、ケビン一家にも休暇取らせてどこか行かせるか」
「俺も休暇いいですか?」
「いいぞ。今からやるからセバスチャン手伝ってくるか?」
「………また今度にします」
やることが無くなってきたな………
大体こういう場合はいい感じにトラブルに巻き込まれるのだが、俺は全力でスルーして被害を最小に抑えている。
おやっさんの店でも弄るか。
他人の店を勝手にリフォームしようとしている。




