レベルを上げるため
翌日、朝井戸で髭を剃らせ、身体をきれいにする。歯ブラシにも大層驚き、貴族にも売れると太鼓判を押してもらった。
「じゃあ行きますか!」
「旦那様、何を狩られるんですか?」
「金額でいったらレッドボアかな?」
「なるほどかしこまりました」
西門から出て30分ほどで目的地に着く。
前回ここでレッドボアに遭遇したが、いるかわからん。
だがそこでセバスチャンが登場! なんとセバスチャンは気配察知のスキルを持っている。
前職はほぼ執事という名前のボディーガードのようだ。
「あちらに何かいますね」
言われた通りそちらへ向かえば、ゴブリンが3匹いた。
レッドボアではないが、今はなんでも小銭でもほしい。
物陰からストーンボールをかまして、さっさと戦闘に入る。
セバスチャンは俺の実力を見たいようで、手を出さない。
取り敢えず、1匹に槍を突き刺し負傷させる。死ななくても戦線離脱させればいい。
次の1匹は斧の部分で薙ぎ払い、もう1匹の頭を狙って振り下ろす。腕でカバーされたが、斧を食らってまともに戦えない。
足が活きてる最後の1匹を先に仕留め、残りも息の根を止める。
ゴブリンをストレージに仕舞い、セバスチャンと打ち合わせをする。
「堅実な戦い方ですな。負傷を狙って勝ちをもぎ取り、そこから仕留めると」
「ずっとソロだったからね」
「では私が負傷させれば、あとは楽ですな」
「そうだね。できれば剣がほしいけど、高いから槍なんだ。でも2人なら斧の方がいいと思う」
そう言って槍を解体し、最初に買った小さいナイフを仕舞って、両手に斧という蛮族スタイルで行く。これもカッコいいかも。
URAAAAAA!!
中2を発病した俺をよそに、セバスチャンは次の獲物を探す。
次はレッドボアだった、しかも一昨日よりも大きい。
セバスチャンはそのまま突っ込んでくるレッドボアに突っ込んでいき、すれ違い様にお腹と太腿に一太刀ずつ浴びせ、俺もその後ろからついていき斧を首に振り下ろす。
斧はイノシシの背骨を断ちきったのだろう。しばらく走る動作を続けたあと、動かなくなった。
そこからコボルト5匹、レッドボアをもう1匹倒して今日は終わりにする。
ゴブリン3匹 60f
コボルト5匹 175f
レッドボア2匹 1200f
1435f追加で合計1471f
このお金でメタルマッチ20個、ポンチョ5着を仕入れ、残金821f
宿に戻り、追加でセバスチャンに両刃のナイフと最初に買ったナイフを4本追加で買い、俺のやつも渡す。
これで俺は斧2本に短刀1本、セバスチャンはナイフ2本に投げナイフ5本という装備になった。
今日の宿代も合わせて残金606f
今日仕入れた物を明日売れば、1106fになる。
セバスチャンに必要なものも明日買おう。
朝おやっさんに2日分として100f払い、出発する。
ブロンズ商会の入り口で従業員に声をかけ、ロバートさんに商品を渡して料金を受けとる。
全部で1606fあるので、セバスチャンに胸当てを買い、追加でパンツとシャツを買う。
宿に戻り、俺と同じグローブとブーツを買う。
合計195f 残金1161f
二人で宿の裏で訓練をする。
木刀など無いので、刃のところに医療用バンテージを巻いてそこの上からさらにダクトテープを重ねて貼り付け使用する。
もちろん木刀より痛いが、セバスチャンはナイフなので俺の武器が当たればの話だ。
「このナイフは素晴らしい切れ味ですな。しかも安い。できればナイフじゃなくて剣もあればいいのですが…」
「あとレベルを2上げればスキルのレベルが上がるから、買えるかもね」
「なるほど、旦那様を鍛えれば良いのですね」
「……ほどほどでいいぞ」
その日は叫び声で衛兵まで駆けつけ、しこたま怒られた。
俺たちは次の日、朝から組合に来ている。
新しい獲物を決めるためだ。狙い目としてはオークなのだが、いかんせん遠く、初めて行った村の近くにある。
「旦那様、レベルを上げるのであれば、泊まり込みも仕方ないかと」
「そうさな…行くしかないか…」
そうと決まれば話は早く、ブロンズ商会にいってタープ、毛布、皿、カップ、フライパンを買い、市場にて保存が利く小麦粉、豆、干し魚、塩漬け肉、塩、ハーブを買う。
合計880f 残金281f
宿に戻り、おやっさんに泊まり込みで出かけることを伝える。
ユマとユナが悲しい顔をしているのを見ると、行くのをためらってしまう。
「…やっぱり「ダメです」よね…」
その日の晩はおやっさんがサービスで色々着けてくれ、最後の晩餐かのような気分になった。
部屋に戻って2人で必要な物資をまとめ、前サバイバルで使った派手なループテントやポンチョは封印した。
荷物をまとめてバックパックに詰め、毛布やタープは丸めてロープで縛り、バックパックに取り付ける。
食品はまとめて麻袋に詰めてストレージに入れ、セバスチャン用にポンチョをもう1つ買う。
残金231f




