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ひとなで



俺は今夜もテロ活動に忙しい。

やっぱり塀の警備が厳重になっている。

これをばれずに乗り越えていくのは難しそうだ。

諦めて塀の破壊に入る。



セバスチャンにバイクを運転させて、俺は後ろに乗る。

そのまま帝都を1周しながら、手に持ったライトを塀に向けて全属性ボールをばらまいていく。



ズガァァァン!!

ズガァァァン!!

ズガァァァン!!

ズガァァァン!!

ズガァァァン!!



何周かバイクで回りながら、塀をただの瓦礫に錬成して帰る。

門だけは住民が出るので残してきた。

仕事も終わったし、じゃあ寝ますか。



「すみませーん!!」


またか。


「今度はなんですかー!?」


「夜に攻撃するのは卑怯でーす!!」


「すみませーん!! 寝相が悪いんでーす!!」


「寝相!?」



そのまま寝袋に入って眠るが、帝都の方がうるさくて眠れない。

ハイラックスを出してシートで寝る。

これでようやく眠れる。



翌朝起きると、ぞろぞろと人間が荷物を持って帝都から逃げ出していた。

まあ塀が無くなって剥き出しになれば、そりゃあ逃げるわな。



住民が逃げる方ではなくこちらの門側にはぞろぞろと兵が出てきている。

結構いるな。



「セバスチャン」


「5000といったところですな。 まだ増えそうですぞ」


「なんで嬉しそうなんだよ」



取り敢えずミンサーで近づいていって話を聞いてみる。



「何時からですかー!?」


「あと2時間ぐらい待ってくださーい!!」


「分かりましたー!!」



ジェイソン2号も慣れてきてるな。

みんながジェイソン2号を異質な目で見ていた。

全員緊張している中で、1人だけあの調子だったらそりゃあ引くよな。



取り敢えずミンサーはそのままに荷台の屋根の上で朝食を取り始める。

テーブルと椅子を出して、パンにベーコンエッグ、味噌汁。

セバスチャンも俺にコーヒーを入れてから横で朝食を取り始めた。

全員に見える位置での優雅な朝食。

シュール。



「結構増えたな」


「8000はいるかと」


「運転は任せた。 多少驚かせれば逃げるだろ」


「かしこまりました」



朝食を取り終わって、セバスチャンは運転席に入る。

俺は催したので屋根から小便中。

見ないでよ恥ずかしい。



「もーいーかーい!!」


「もう大丈夫でーす!!」


「じゃあもう口上はいいからかかってこーい!!」



俺は荷台の左翼にハーネスで体を固定して、ミンサーが発進するのを待つ。



ガン!! ガコン!!


先に向こうから撃ってきたみたいだ。

それに合わせてミンサーが発進する。

俺も荷台から敵のど真ん中に向かって、全属性ボールを撃っていく。



グシャ、グキャ、バキバキ。

ズドォォォォン!!

ズドォォォォン!!



あー。

耳栓持ってくれば良かった。

1なぞりで500はいけたな。



「セバスチャン、一回離れてくれ」


「かしこまりました」



一回離れて、敵の動きを観察する。

大分動揺しているようで、いろんな人間があっちこっちに動き回っている。

俺は屋根に上がって偉そうな人間を50口径のM82で狙撃していき、さっさと敗走するようにしむけた。

50口径って人に向けちゃダメだね。

後ろにいた人間まで貫通している。



「逃げていきますな」


「じゃあ一回戻るか。 明日から整地だ」


「かしこまりました」



コンテナに戻って、日本酒を飲みながら将棋を指す。

なぜか横にはジェイソン2号。

和睦の条件を聞きに来たのだが、そのまま酒に誘った。



「美味しいお酒ですね」


「国が潰れそうなのに酒なんて飲んでていいのか? 後で怒られるぞ?」


「自分は田舎の出身で帝都でも昇進できませんから。 じゃなかったらこんな仕事やらされませんよ」


「名前は?」


「ドビーです」


「ポッターでもしたっぱだな」


「え?」


「なんでもない。 戦争終わったらうち来るか? のんびりしてる場所だぞ?」


「いいんですか? 職場も無くなりそうですし、ありがたいお話ではありますが………」


「じゃあ決定な」



ジェイソン2号改めドビーが仲間に加わった。

根性据わってるしポアソンと一緒にすればいいかもしれない。

ポアソンも真面目過ぎるし、横にこういうのがいた方がいいだろ。



和睦の条件として帝都の引き渡し、魔道具を残して全員帝都から出るように伝えた。

残っていたら命の保証はしない。



ドビーは顔を洗って酒を抜いてから帝都に戻っていった。

ついでに夕食まで取っていき、大満足のようだ。

やっぱり面白い、てかちょっとぶっ壊れてるな。



「明日城の上から全属性ボールをばらまく。 城もただのオブジェに変える」


「どのようにするのですか?」


「屋上にソーラーパネルと魔道具をいくつか設置して、水を出し続けさせる。 そのうち帝都も水に沈むだろ」


「湖にするのですな」


「ソーラーパネルが生きているうちは水が出続けるだろうな。 排出量よりも充電量の方が多い」


「電気で起動させては誰も入れませんな」


「水の都だな」



俺の帝都ベネチア化計画は、1つ問題がある。

起動したあとどうやって逃げてくるかまだ決まっていないことだ。

最後にソーラーパネルを設置して屋根からロープで降りてくるか、ピタゴラスイッチみたいな方法で起動させるか。

ロープで降りてきたほうが現実的だな。



「セバスチャン。 次はどこが攻めてくると思う?」


「どこでもいいですが、骨のあるところがいいですな」


「いや、希望の話じゃなくて」


「本当なら魔道具を持っているこの国が一番だと言われていたのですが、今回はボール系魔道具しか出してきていません」


「たしかにちょっと弱すぎるな。 スピアー系やウォール系があってもいいはずだ」


「どこかに取られた可能性もありますな」


「………………面倒臭いな」



ろくな魔道具はないかもしれないな。



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