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秋に向けて


パーチュを連れて工務店に顔を出している。

自分で描いた地図を広げ、グスタフと3人で建設予定地と工期を決めるためだ。

牧場と農場は塀の外。

後々を考えて広めに場所を取って南に広げる予定だ。

湖の南西を村として、南に牧場、そのさらに南に農場を作る。

拡張はそのまま東に広げていけばいい。



「取り敢えずは家畜も少ないだろうし、そこまで広さはいらない。 50m四方でいいだろう。 農場はどれくらい必要だ?」


「それに関してじゃが、人数が30人に決まったから後でケビンと相談するわぃ。 今農場で働く予定の人間にはケビンの所で勉強してもらっとるしの」


「そろそろ伐採と抜根を始めてくれ。 家畜もそろそろ到着する予定になっている。 鶏小屋と家畜小屋も頼む。 塀はフェンスでな。 魔物に入られたら困る」


「了解じゃ。 地図だとここからここが牧場じゃな。 間に空間を空けて道も作っておこう」


「後は来年の春までに宿をもう一軒建てておいてくれ。 1人旅人亭で料理も覚えさせてほしい。 これは希望者でかまわない。 居なくてもこっちで探すからこれは後でかまわない」


「あい分かった」



工務店では、ロビン君とユマ、モンケ、フランが他の男の子たちと一緒に作業している。

頑張っているみたいだな。

軍手のサイズが大人用で合っていない。

危ないのでちゃんとサイズを合わせた物を購入した。

みんな結構ガタイ良くなったな。



「どうだ? 筋肉はついたか?」


「みんな結構力つきましたよ。 最近では湖の男の子たちも一緒に授業の後訓練しています」


「木剣とか盾とか足りないだろ。 裏に出しておくからいろんな人に稽古を付けてもらうといい。 ここは皆元冒険者だ。 ある程度は教えられるはずだぞ」


「ありがとうございます!! ほら、みんなもありがとう言って」


「「ありがとうございます!!」」


「今日は昼過ぎからセバスチャンが広場で冒険者に戦闘訓練をする。 そっちも行ってきなさい」



ポアソンも興味深く子供たちを見ている。

まあこの年から訓練とか貴族くらいしかやらないしな。



「みんなしっかりしていますね。 態度も体もあの年では考えられないです」


「あの子たち全員が読み書きと四則演算を覚えている。 昨日は組合で解体を勉強していたみたいだぞ? 聞いてないのか?」


「組合ではそのようなことは聞いてないです。 ていうか全員そこまで勉強できるんですか!?」


「基本だけならすぐに覚えられる。 今は数をこなして慣れている途中だな。 家の子供たちは九九まで全部覚えている。 組合員よりも計算は速いぞ」


「うらやましい………」


「だったら教育に力を入れろ。 組合にもこれから力を付けてもらわないといけない」


「ごもっともです………」



組合に行って、冒険者が集まっているか確認する。

どうやらあと2人足りないみたいだが、取り敢えず8人だけでも説明するか。



スタート地点は森のキャンプ場。

そこから川沿いに砂利を出しながら進んでいってもらう。

魔道具は起動したら砂利が出続けるので、それで大きい石の隙間を埋めて歩きやすくする予定だ。

行きで隙間を埋めてもらい、帰りに凹凸のある部分を平らにしてもらう予定だ。



「なんだこれ!! これが魔道具………。 初めて見た………」


「言っとくけどそれはここで作った物だ」


「作った!? ケンさんすげぇ………」


「もうすぐ魔道具が安く買えるようになるぞ。 これができれば荷物が大分減るはずだ。 冒険者の必需品になるぞ」


「ケンさんパネェ………」


「ケン様、私はそんなこと聞いてないのですが………」


「あれ? 言ってなかった? まあそういうことだからよろしく」


「………………また王都に行かないと」



取り敢えず8人で出発してもらう。

山の近くは強い魔物が出る恐れもあるので、ヒールデラックスパワーサイクロンジェットも一緒に持っていってもらおう。



「やべぇよこれ………。 死ぬ気がしない………」


「さすケン………」



後の2人は後から追ってもらおう。

パーチュを組合に残して、昼食は旅人亭で取る。

今日はこのままおやっさんとベアと料理教室だ。



前回作った調味料の説明をして、それらで作った料理を開発していく。



まずはキャベツをアンチョビと唐辛子で炒めただけの物。

後はトマトと油。

トマトと唐辛子と油。

それにナンプラーを加えた物。



調味料工場の建設も進んでいる。

もうすぐ完成だが、これは女性からの応募がほとんどだった。

こっちも後で講習しないとな。



「この3つの調味料だけでいろいろ作れるな」


「最終的にはニンニクもアンチョビもオイルの瓶に一緒に入れて、1つにまとめる予定です。 瓶1つでいろんな味に変えられる、万能調味料のようにしたいですね」


「たしかにアンチョビもオイル漬けだな。 乾燥ハーブなんかで自分好みの味に変えられる。 どこの家庭にも1つあれば便利だな」


「ナンプラーは別になってしまいますが、塩、ハーブ、オイル漬け、ナンプラーの4種類で家庭の必需品になればと思っています」


「よく考えたものだ。 しかし、醤油や味噌は入れないのか?」


「これは製造が難しいうえにこちらの人間の口にはあまり合わなかったので、こっちを開発しました。 おやっさんも隠し味ぐらいにしか使ってないですよね?」


「たしかにこれを入れれば味は良くなるが、これ単体での味付けはしないな」


「僕は好きです!! 醤油と味噌!!」


「ありがとう。 ナンプラーは醤油の代わりで、トマトを味噌の代わりとして考えたんだ。 これだけでも今より味付けは増えるからね。 ベアも自分の味を見つけるんだ」


「はい!!」



今日はこれから揚げ物を作っていく。

卵が貴重品なので、卵は抜き。

基本は唐揚げや竜田揚げで、小麦粉と片栗粉を使って揚げていく。

油も安い猪のラードだ。



鹿や猪、魚を揚げていろんな調味料で味見する。

ケチャップに少しお酢と唐辛子、砂糖、ナンプラーを入れて、ウスターっぽいソースを作ってみた。

不味くはないが、やっぱウスターを知ってると物足りない。



「これもパンに合いそうだな」


「そうですね!! おいしいです!!」


「まあ不味くはないが、ここで作るとしたらこれが限界だな。 これから作るのは俺がいる間だけ提供できる料理だ」



そこからトンカツ、唐揚げ、天ぷら、を作っていき、それぞれトンカツソース、タルタル、天つゆでいただく。

一応作り方も教えて、将来自分が揚げ物作るときの資料にしてもらおう。



「これは………。 全然違うな」


「はい………。 材料でここまで変わるのですね」


「材料は卸せるから作れるが、俺が生きている間だけだな。 ソースなんかは工夫次第で同じような物が作れると思うが、卵が無いと少し変わってしまうな。 そこはそっちで考えてくれ」


「そうだな。 この料理だけでも新しい調理法は沢山ありそうだ」


「あとは約束の料理本だ。 翻訳してほしい時は俺に言ってくれ」


「わかった」



料理講習はこんなもんか。

ジェイソンも新しいソミュール液の開発してたっけ。

そっちも今度手伝ってやろう。



その日の晩、セバスチャンに調味料工場の人員を集めてもらうようにお願いし、ベアにも参加させる。

いろいろ知っておいた方が後々アレンジしやすいからね。

取り敢えず明後日に講習を開くとして、明日はジェイソンのソミュール液開発を手伝ってやろう。



もう10月に入るし、そろそろかくれんぼ大会もある。

今回は子供たちも増えるので、塀の中での開催。

冒険者に隠れてもらって、家の子供たちにチームを組んで他の子供たちに追跡の方法を教えてもらう。

もちろんシードにも仕事をお休みしてもらって、教官をお願いした。



今年の秋冬も忙しくなりそうだ。

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