魔道具発明
「王家で持っている魔道具は、これで全部だ」
「4つか、意外と少ないのだな」
「近隣に比べても弱小国家だからな。貢物もあまり豊富とはいえない」
「まあ装飾は十分豪華だけどな」
朝一で湖を出て、町で将棋を手に入れて王都に乗り込んできた。
長時間の運転なんて喋ることもあまりない。
みんな振動につられて爆睡してるしな。
誰か喋ってこないから居眠りで事故りそうだっだ。
王城で見せてもらった魔道具は4つ。
光るランプ。
風が出る筒。
水が出るタライ。
火が出る箱。
光るランプと風が出る筒は持っているが、一応これも持って帰ろう。
模様の解析と確認だけしたい。
もしかしたら新しい発見があるかもしれない。
「後で家畜は送らせる。 増えるようだったら王都にも卸してくれ」
「もともと湖じゃあ魔物の肉はいっぱいある。 売るために育てるんだ」
鶏は王城でも育てているらしいが、あまり数は多くないので後でまとめて送ってくれるようだ。
王城からじゃなくてほかの町からだし、ある程度時間はかかるだろう。
魔道具を車に積み込んで、出発する。
「じゃあまた来てくれ。 もう見るものもあまりないが」
「いや、ミヤジマ王と喋っているだけでも学ぶことは多い。 また伺わせてもらおう。 その前に跡目争いを終わらせないといけないがな」
「………大変だな。 やっぱり王なんてやるものじゃない」
「やらせるものだったな。 余もそのように動こう」
まあタヌキ以外だったら歓迎しよう。
もうタヌキも大した敵ではなくなったが。
帰りはリーフを収納して交代でナビゲーターを運転して帰る。
これだけでも大分楽になる。
もう肛門が癒着しそうだ。
家に帰って、すぐにでも魔道具の分解をしたい。
俺はファンタジーに飢えてるんだ。
土建屋から魔道具技師にジョブチェンジしたい。
「帰ったら、牧場も作らないとな」
「柵で囲ってありますし、湖で放し飼いでも良いのでは?」
「糞尿の処理がめんどくさい。やるなら牧場で家畜小屋や鶏小屋なんかも用意しておきたい」
車のなかではテレサ・テンのアルバムが流れている。
16歳でテレサ・テンもどうかと思うが、たまに日本の曲が聞きたくなる。
まあ日本人じゃないが………。
湖に到着し、すぐさま家に魔道具を運び込む。
さっそく分解だ。
まずはもう研究が進んでいる2つから。
魔石をはめて、威力を観察する。
光の魔道具は、明かり用で前のものと変わらない刻印。
これも多少威力が弱く設定されているので、そこを直してもとに戻しておいてあげる。
これで普通に道具として利用できるようになっただろう。
風の魔道具も魔石をはめてみよう。
ポンッ‼
小さな風の塊が出てきた。
急いで分解、模様を確認する。
左は風の模様をぐちゃぐちゃにして威力を弱めたもの。
右の模様が今までのものと違うようだ。
模様を2つに分けて、それを光の模様と組み合わせる。
柔らかい光が出てくるが、別に光の塊が出てくるわけではない。
ん?
もしかしてこれ、ヒールじゃないか?
だとしたらさっきの風の塊はウインドボールということになる。
威力は小さいが、そう解釈すれば納得はできる。
針で指を傷つけ、光に当ててみる。
やっぱりヒールだ。
だとしたら………。
電池をコードにつないでみる。
パァァァァァァァァァ‼
下級のヒールでこの威力‼
小型のライトを購入。
電球を外して、ヒールの刻印がされた鉄板を設置する。
電池を入れて、スイッチオン‼
パァァァァァァァ‼
来ましたわぁ。
冒険者にバカ売れですわぁ。
でも電池は消耗品だから出せないので、魔石で使える小型のものでいいか。
電池式は組合で使おう。
やっぱり俺は天才だな。
これだしたらいろいろ敵に回しそうだけど。
水と火の魔道具は、それぞれの属性の模様をゲット。
水の属性は拡大した模様の上に紙を乗せて、ちょろっと魔石に触れさせたら模様が浮かび上がってきた。
火の属性は、模様を描いた鉄板の上でパンケーキ焼いたら跡がついた。
おいしい。
次に、右の模様を観察する。
こっちも弄られてるのだが、光の模様と組み合わせてサングラスで確認したらすぐに改良できた。
ヒールの魔道具と、各種ボールの魔道具。
ボールの魔道具は使えるか分からないが、初期の出すだけの刻印と合わせれば面白い魔道具が作れそうだ。
実験として、外でウォーターボールを飛ばす。
まあ俺が出すのと威力は変わらないな。
次に、電池でウォーターボールを飛ばす。
一抱えもあるようなウォーターボールが発射された。
これも使えるかもな。
とりあえずヒールの魔道具が先決だな。
これで負傷者も減るし、最悪電池式を貸出しにしてもいいかもな。
ハイヒールとかになったらどうなるんだろう?
だれも怪我を怖がらない兵隊が出来上がるかもな。
やっぱり魔石駆動だけ販売で、電池式は組合だけにしておこう。
面倒が増えそうで怖い。




