ep18・初体験。
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「端的に言って、ストーカーの犯人は浅間さんの周りの男子を洗えばすぐに出てくるだろうね」
詩織がポツリと漏らした言葉。
まぁ、そりゃそうか。
この手紙の内容と投函された時期からして、犯人はマヤちゃんに好意を寄せていて、比較的近くに居る男子と言う事になる。
マヤちゃんに目を向けると、彼女は不機嫌そうな目で封筒を見ていた。
「……」
「えっと、マヤちゃん?」
「あっ、えっとごめんね。ちょっと考え事してた……でも、大丈夫だよ。犯人の目星は無いわけじゃないから」
何と、マヤちゃん的にはもうすでにおおよその見当がついているらしい。
なんと心強い。
これならば、特に焦ることもなくすべてが片付きそうだ。
「それって誰なの?」
「……一人だけ、告白されたけど返事がまだだった人がいるの。すぐに断ろうと思ってたけど全然聞いてくれなくて……」
「それでその『待ち』の間にコウと付き合い始めたってこと……? 浅間さんって最低だね」
「本当に、全然場を持ってくれなかったんです」
「でも一緒じゃん」
「……」
俯いてしまうマヤちゃん。
しかしさすがにこればっかりは俺も肩を持つことはできない。
恨まれても仕方ないと思ってしまう。
だからと言ってストーカーして脅迫文を出していい理由にはならないが。
「何はともあれ、相手がわかったんだ。明日にでも話をしに行こう」
「で、でも……コウくん以外の男の人と話したくない……」
意気込む俺の腰を掴んでそんなことを口にするマヤちゃん。
「マヤちゃん、さすがにそれは駄目だ。これはマヤちゃんの責任だから、マヤちゃんは我儘を言っちゃいけない」
「……うん」
渋々と言ったふうに頷く彼女の頭を撫でる。
「別にそれくらいで嫌いになったりしないから、安心して」
「うん……わかった」
それから三人で飯を食い、ファミレスの前で詩織と別れた。
†
さすがに、この状況で事を致すのは本望ではない。
それ故にマヤちゃんには本日はお帰り願おうと思ったのだが――。
「やぁ……今日が、いい……」
と、まるで子供の様に縋り付いてきた。
俺だってしたい。
以前と違い、今の俺には愛情がある。
俺の力になると言ってくれたマヤちゃんを好きだと言うのに躊躇いは無い。
正直、今回はマヤちゃんの撒いた種と言えなくもないが、詩織を救うと言う分不相応な俺の願望を手伝ってくれたことに変わりはない。
俺は悩んだ。
ファミレスの前で云々と頭を捻った。
――結果、自室で彼女と向かい合っていた。
心臓の鼓動が五月蠅い。
何故緊張すると心拍は早くなるのか。
汗が噴き出して仕方がなかった。
先ほどまで飲んでいたコーヒーカップを片づける。
折り畳み式のテーブルを壁へ寄せたところで、マヤちゃんが後ろから抱きついてきた。
「こ、コウくんっ!」
彼女の細い腕が、身体を弄る。
慌てて振り返ると、目の前に荒く息を吐くマヤちゃんの姿があった。
長い黒髪は僅かに乱れ、愁いを帯びた瞳と視線が合う。
マヤちゃんは俺の学ランに手をかけてボタンをはずしていく。
こそばゆくて、信じられないくらい恥ずかしかった。
「コウくん! コウくん! い、いいんだよね?」
「……」
声が出なくて、何とか首を縦に動かす。
そして――俺は童貞を卒業した。
†
チュンチュンと雀の声で目が覚める。
窓から差し込む陽光がまぶしかった。
妙な脱力感が体中を支配して、しかし不快感は無い。
むしろ満足感だけが胸中を埋め尽くしていた。
ふと、自身の状況を確認する。
いつ敷いたかわからない布団の中で、俺は全裸であった。
やはり昨日のは夢でも妄想でもなく――ゴソ。
思考を遮るように、隣で何かが動いた。
最初に目に飛び込んできたのは乱れた黒髪。
次いで絹のような肌と、愛くるしい顔。
首筋から鎖骨にかけて妙な艶やかさがある。
さらに視線を落とすと、形の良い乳房が惜しげもなく晒し出されていた。
平均より大きいと思われるそれは、俺の腕に絡みつくように押し付けられ、その柔らかさを表すかのごとく形を変えていた。
この美少女と、俺は……。
そう思うと、下腹部に血流が流れていく。
昨日はぶっ倒れるまでハッスルしたと言うのに、どこにそんな元気があったのか。
我が愚息が元気に起立していらっしゃる。
その変貌ぶりはまさに如意棒だ。
「ん、んむぁ……」
と、観察していた少女――マヤちゃんが眠たげに眼を擦り、意識を覚醒させる。
ぼんやりとした目のまま、あたりを見渡して、次に俺を見つめる。
数十秒程見つめ合っていると、何の前触れもなく抱きついてきた。
そのままマヤちゃんが俺の上で四つん這いになる。
布団に隠れていた彼女の身体が、視線を下ろすとすべてあらわになる。
緊張と興奮で至高が停止している俺に対し、マヤちゃんは耳元に口を近づけて一言。
「おはよう、コウくん」
そう言ってから、昨夜の続きを敢行した。
†
結論から言うと遅刻した。
しかも一時間目どころか二時間目も完全にぶっちである。
猿のように盛りあった結果だ。
一年中発情期なのはウサギだけではなかったらしい。
早足で学校へと向かう道中彼女はお腹を押さえながらこちらを向く。
「なんか、まだ感覚残ってる」
「い、痛いなら今日は休む?」
心配して提案するも、彼女は首を振る。
「ううん、大丈夫。……でも、これで私はコウくんの物だね」
そのセリフが余計に生々しく聞こえて……答えを窮しつつ、俺達は学校へと向かった。
正直、もっと描写しようかと思いましたが、これ以上はダメそうなので本番はノクターンで描きます。投稿する時は報告致しますので、よろしければお願いします。
次→2、3日後の夜。
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