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君を待たせた風景

作者: Soraきた

君を待たせた時間

僕は遅刻の言い訳を考えることもなく

湾岸道路を車で走らせていた

いつもデートの約束をするときに僕たちは

交互に約束の時間と場所を決めていたのだけど

僕のめんどくさがり屋の性格で

最近は君に決めてもらっている

そんな君は文句ひとつ言わず

嫌な顔もしないでいるので

ついつい僕は君に任せてしまっている


君との会話は、最近は仕事の話ではなく

友達の話

友達の誰々が今度、結婚するとか

子供が生まれるからお祝いは何にしようとか

そんな温かい家庭的な話題が続くのは

ほほえましい事なんだけど

君は僕との結婚とか考えていないのだろうかと

ふと思うようになった


相変わらずの君は、あれが欲しいとか、おねだりをすることもなく

公園で一日過ごそうが、ウインドーショッピングで一日が終わろうとしようが

メールが一日届いていなくても

特に何も言わない

いつも、にっこり微笑んでは僕の横腹をつついて

口を真一文字に結んでニンマリしている

そんないくつもの君の笑顔を思い出すと、なぜだか切なくなってきた


いつも僕に歩調を合わせるように

無理に僕の歩幅に合わせるかのように

僕の食事のタイミングに合わせるかのように

待ち合わせの時間をわざと合わせるかのように

君はひょっとしたら僕に無理をしているのかもしれないと

思うようになった


次の信号が青から黄色に変わるように

君が心変わりするようなら

僕はどうしようと思ってしまった



あなたを待つ時間・・・・

今日も遅刻してごめんねと素直に謝ってくれる

そんなあどけない少年のような顔が私は一番、気に入っている

決して嘘はつかない、つけない性格で

臆病者に見える瞬間もたまにはあるけれど

だけど、一番に私のことを思ってくれている

そんな思いが伝わってくる人だから・・・

今日も遅れると言っていたけど

じつは毎回のデートコースを決めるのは、とても大変なことで・・・

公園やウインドーショッピングで済ませてしまうときもあって

退屈な時間を過ごしていると思われてしまうだろうけど

私はそれで十分

私の歩調に合わせようとする姿や

私の歩幅を見て、ぎこちなく合わせようとするときも

食事の終わる時間を私に無理に合わせようとするバレバレな姿勢も

全部あなたの優しさが伝わってくる


あなたを待つ時間

とても素敵な景色があった

写真に撮ろうと思ってはみたけれど

やっぱりやめることにした

あなたに見せたい景色は

やっぱりあなたと見たいから

だから私はあなたを待つ時間の景色について

何も語らない

あなたと会ったタイミングで

そのときも二人が見た景色に感動してみたい・・・

そんなことを考えていた


最近の友達の結婚話とか聞いてもらっているけれど

あなたには少しプレッシャーだったのかもしれない

私はぜんぜん、そのつもりで言ったわけではないので

安心してと

今日、あなたに会ったら、それとなしに言ってみよう

あなたを待つ時間

そんなことを思っていた








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