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第2話 長かった一日

「えーと、武器屋はどこだ?」


 広場から出たものの、武器屋の場所がわからずにいた。

 キョロキョロと周りを見ながら歩いていると、声をかけられた。


「おーいそこの兄ちゃん,よかったらうちの商品見ていきな!」


 振り向いてみると、そこには袋の看板が掛けられている店だった。

 

「ここは道具屋、旅に役立つもの結構置いてるよ、それより聞いたかい兄ちゃん、今あんたみたいな冒険者が大量にこの都市に入ってきて、武器や防具、それにヒーリングポーションなんかもすごい売れてるんだってよ。今のうちに買っとかないとすぐに値が上がるぜ」


「おお、それは有力情報だよ、おじさん」


 思わぬところでいい情報を手に入れられた、これはでかい。

 だが、一つ聞きなれない単語があった。


「ん、おじさん今、武器と防具のほかになんていった?」


「ポーションだよ、ポーション、あんたもしかしてしらないのか?」


 道具屋のおじさんに世間知らずのような目で見られている、かなりの常識らしい。


「悪いな、辺境の田舎から来たものだから、そういうものはなかったんだよ」


 今日ここにいきなり連れてこられましたなんて話をして、説明するのが面倒だと思いそう答えた。


「なんだそうなのか、んじゃ教えておいてやるぞ、ヒーリングポーションってのは、飲むと体全体がゆっくり癒され、傷口に直接かければあっという間に治る優れもののアイテムなのさ」


 「へぇ、そいつは便利だな、ポーションの前にヒーリングっていうことは、他にも種類があるのか?」


「あるとも、ディフェンスポーション、アタックポーション、クリティカルポーションなんかだな」


 道具屋のおじさんは、そういってそのポーションを並べて見せた。


「中身が青色のがディフェンス、紫がアタック、黄色がクリティカル赤がヒーリングだ」


「得られる効果によって色が違うわけか、これなら間違えないな」


「おうよ、ささ、今の話を聞いて何を買うんだい?」


「悪いなおじさん、俺もあまり手持ちがなくてね、そうだな……ヒーリングポーション20個、携帯食料になるもの3つ、それに道具を入れる袋かなんか売ってないか?」


「あるぞ、都市の西門から出て、しばらくしたところにある村の付近に生息している『暴食ネズミの胃袋』を加工して作られた無限入る袋、無限袋だ。これは生活の必需品だろう」


 無限袋か……こんなすごい道具が最初の街で売っているといことは、この塔の攻略で最初に手に入れておかなければいけないものなのだろう。

 だが生憎手持ちが少ない。ポーションの数を減らして、道具袋を買うか?

 そんなことを考えていると、ふとおじさんがこちらを観察するように見ているのに気付いた。


「どうした?」


「あんた、ポーション20個も買ってどうするよ」


「俺も一応冒険者なんだよ、次は武器と防具を買いに行くつもりだ」


「あんたも冒険者だったのか! そうか、よしわかった、この無限袋はポーションのおまけにしといてやるよ」


「ほんとにか! でも、いいのかよ今日会ったばかりのやつにそんなことして、破産とかしない?」


「うちの店はそれなりに儲かってる、お代は400cpだ、俺の気が変わる前にとっとともっていきな」


「ありがとう、本当に助かるよ」


 俺は400cpを払い、無限袋にヒーリングポーションを入れてもらい、道具屋を後にした。



   *   *   *   *   *



 道具屋を後にして武器屋を探したが、既にほかの冒険者たちが先に買いつくし、どこも店仕舞いをしてしまっていた。


「これじゃあ武器無しでモンスターと戦えってことなのかよ……」


 あきらめかけていると、路地裏で商売をしている男を見つけ、すぐさま声をかけた。


「な、なぁ、武器って売ってるか?適当なものでいい」


「あるぜ、600cpだ」


「600cpだと? 高くないか?」


「今はどこも武器が大量に売れて店仕舞いしているんだろう? あんたが買わないのなら他のやつに売りつけるさ」


「はぁ~、分かった買うよ……ほい、600cpと」


 俺は刃渡り50cmあるかないかのダガーを手に入れた――――。



     *   *   *   *   *



「ハァァアアッ!」

 

 草木の陰に息を潜め、こちらに気づいていないモンスターを背後から襲い、倒す。

 防具を買うお金が無くなったことに気づいた俺は、仕方なく防具なしの状態でモンスターを狩っていた。

 だが、俺は真正面からモンスターと戦わずに、木陰からいきなり飛び掛かって殺す、という戦い方をしている。つまり防具など必要ないのだ。

 こちらに気づいて襲い掛かってきたら全速力で逃げ、また草木の陰に隠れる。そういう戦闘スタイルだ。


「さ、素材回収素材回収っと」


 俺はさっき倒したモンスターの素材を袋に入れようとすると、目の前の素材が一度1mmサイズにばらばらになると、道具屋のおじさんからもらった無限袋に吸い込まれていった。


「すごいなこの無限袋は、勝手に素材やら道具やらを回収しているんだな、だが、他の冒険者の素材とかの判別はどうなるんだ?」


 回収した素材を見てみると、ばらばらになった素材は再構築され、所有者が誰かわかるようになっていた。


「便利な袋だな、これは……」


 そう呟き、モンスターの狩りを再開した。



     *   *   *   *   *



 ある程度モンスターを倒したところで、俺の体は突然淡い光に包まれた。


「なんだこれ? なんか少しだけ体に力がみなぎってきたな」


 どうしたものかとステータスを確認すると、レベルが2になっている。


「レベルが上がったのか、なるほど今のがレベルアップする感覚か……」


 レベルが上がったことに高揚感を覚えたところで、周りが暗くなってきていることに気づいた。


「やば、もうすぐ夜だな、宿屋も探さないといけないし、そろそろ戻るか」


 俺は手に持っていた武器を腰につけ、街へ戻った。


 都市へ到着し、門をくぐった先に、モンスターの素材をお金に換金してくれる場所があったので、そこで今日とった素材を換金した。


「これ、おねがいします」


「えーと、油断鳥の翼が12個、皮が6個、ですね。130cpになります」


「はい、ありがとうございます」


 内心少ないなと思ったが、油断鳥というのを数匹倒しただけなので仕方ないだろう。


 それから俺は、近くにあった宿屋に100cp払い、部屋に入りベットに横たわった。

 ステータスを出し、いろいろと確認しようとしたところで、急激に眠気が襲う。


「あ、これ無理……」

 

 まだまだやることがあり眠気に抵抗しようとしたが、そう呟いたと同時に俺は意識を手放した――――。


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