96 間一髪
今回の執筆者はまーりゃんさんです。
「先ず拙者が行くでござる。マキナ殿は距離を取って側面からお願いしたい」
「わかった」
「一閃」の掛け声とも魔物に踏み込み鞘から抜刀して魔物を三匹同時に凪ぎ払う氏澄。
「さすがだな」と距離を生かし槍で攻撃するマキナ。
十匹程度の魔物は二人にとって問題なく片付けた。
「ありがとうございました。お二人に怪我は?」
城下に入っているはずのアタナシアは駆け寄り二人を心配していた。
「な~に、コレくらい平気でごさる」
「大抵は氏澄がやったからな。怪我一つもないよ」
無事な姿でほっと安堵したアタナシア。エルネスタもコロナも来て怪我が無いことに喜んでいた。
が――仕留め損なったか、一匹の魔物がエルネスタに襲いかかった。
「エ、エルネスタ!」
咄嗟の出来事に、マキナは今仕方仕留めたと思った最後の魔物がエルネスタに襲いかかるとは、思ってみなかった。
氏澄は刀で確実に斬殺しているが、マキナは槍で数ヶ所刺し殺しているはずだったのに、最後の一匹は致命傷ながらもまだ生きていた。
ズッシャ。
間一髪の所で氏澄が一刀両断して、事なきを得た。
「大丈夫か、エルネスタ、コロナ」
「ええ、無事よ。氏澄さんありがとうございます」
「危ない所でござった。本当によかったでござる」
皆がほっと安堵した。
「それにしても此処まで魔物が襲ってやってくるとは…」
マキナの言葉にアナタシアは何か物言いの顔付きだった。
次回の執筆担当は、企画者の呉王夫差です。