94 文化交流
今回の執筆者はまーりゃんさんです。
「む…む…そうにござるな。当分の間、この村に滞在させて貰えればありがたい」
コロナからの意外な提案で氏澄はこの村に住み着いた。
マキナの家の近くに倉庫になっている掘っ建て小屋をある程度住めるよう補修中して氏澄が住むようになった。
マキナ夫妻は念入れに補修や家具など色々用意したが、氏澄は帰る目処が付いたらいつでも出ていけるようにとマキナに言っていた。
だが意外に氏澄はこの村を気に入り『このままでも良きかな』と思い、自分の知っている知識で役に立てればとマキナと意見をし様々な物を作っていた。
氏澄の国――日本の料理の作り方など農作業にも力を入れた。
◆◆◆◆◆
「ほら、飛んだでござろう」
氏澄はマキナの娘エルネスタに竹トンボを作って飛ばしていた。
「見事な物ですね。まさか回転して宙を舞うとは…」
氏澄は他にもでんでん太鼓や風車などの遊び物を作ってくれた。村の子供達の遊び道具として人気になっている。
「まぁ、こんな物は子供の玩具に過ぎぬが、拙者の国にからくりと言う機械仕掛けがあってな。ゼンマイ仕掛けで自動に動く物もある」
「ゼンマイ…からくり…」
マキナはゼンマイとからくりの事ははわからないが勝手に動くと言う物に興味津々だった。
「バネと言って伸縮を利用した物や、歯車により動くからくり人形などが国には一寸した人気にござった」
「氏澄さん……そう言った物は此処でも作れるでしょうか?」
「残念ながら歯車程度なら作れるかもしれぬが、拙者も詳しくは…わからん。申し訳ない」
「そうですか。無理言ってすいません」
「何か考えている事が?」
マキナはコロナのために少しでも楽をさせてやりたいと氏澄と相談した。
その後、マキナと氏澄は試行錯誤しながら生活の為になるような様々な物を作った。
二人が作った物の歯車を見ているマキナ。
『ソウ、コノ歯車コソガデウス・エクス・マキナノ最初ノ動力。常二平均シテ回リ続ケル構造二、マキナハ世界中ガコレト同ジヨウニ人モ力ガ平均二ナレバ、争イガ無クナルト願カッタ』
(だけど……)
氏景はそれは無理だと思った。
次回の執筆者は、企画者の呉王夫差です。