86 は、鼻血が……
今回の執筆者は、まーりゃんさんです。
「ようこそ、お出でくださいました氏景殿。長く険しい道のりお疲れ様でした。今日はゆっくりとお休みになられて明日お話をしましょう」
教会の本殿と思われる社の中で巫女長に会い、部屋で寛いでいた。和室のような部屋で部屋にはアヤノがお茶を用意してくれた。
「良かったら、このあと温泉でも浸かったらいかがですか? ご案内しますよ」
「え、温泉があるんですか?」
「はい、この地は温泉地として有名ですから……勿論案内する場所は一般人は入れない温泉ですから、ゆっくりと入れますよ」
「そう、そうですね。ここまで来るのに結構歩き疲れましたし、汗だくになっているので案内お願いします」
氏景はお茶を飲み、アヤノに案内されて温泉まで行った。外の景色が見える露天風呂だった。更衣室で衣類を脱ぎ、温泉の熱さを計るとガラガラと誰かが入ってきた。
「お背中流します」
見るとアヤノがバスタオル一枚で入ってきた。当然期待していた訳ではないが、アヤノからの好意は多少わかっていたが、まさか本当に来るとは思っても無かった。以前『沢山期待して……いいですから、ね?』と言っていたのを思い出した。
「いいです。一人で出来ますから……」
嬉しさあるけど恥ずかしさもある。一瞬恭子の顔が浮かんだ。
(俺は心に決めた恭子が……)
だがチラッと興味本位でバスタオル姿のアヤノを見ると、破壊的な体型で片方から鼻血がツーと垂れてきた。ヤバい、流石に同年代の女子のバスタオル姿に免疫なんてある訳ない。
いかんいかんと思いつつ、振り向きアヤノを背にすると「では頭から洗いますね」とアヤノの指が髪に触れた。
「何処か痒い所ありますか?」
「いや、無いで……ス」
お決まりなのか、狙ってやっているのか、気付かないのか、バスタオル越しにマスクメロン級の双丘が背中に当たっている。
ツー、ともう片方からも鼻血が垂れてきた。こういうときは目を瞑り円周率を数えて気を剃らすのが定番だが、先程のバスタオル姿が目に浮かび、メロンの双丘とのセットでそれどころでは無かった。
いかんいかん! 煩悩退散! 煩悩退散!
目を瞑れば別の神経が研ぎ澄ませられると聞いていたが、まさかこんな形で全神経が背中に集中するなんて思いもしなかった。
まさか、これ程までに全神経に集中力を持っていかれるとは……恐るべしメロン双丘。
アヤノが髪を流すと背中の感触が消えてホッとした。半分勿体ないと思うも難とか鼻血がバレないように誤魔化し流す。
次はゴシゴシとスポンジを泡立てるアヤノ。そして背を洗ってくれている。
「登頂している時には気付きませんでしたが、広い背中で結構鍛えてありますね。流石ですね」
「いや。そ、それほど……な……いですよ」
「では、前も洗いますね」
いや、流石にこれ以上はマズイ。慌ててスポンジを取り自分で洗った。体を流し、湯船に入るとアヤノも一緒に入ってきた。湯船は悠々に4、5人入れる幅だ。当然のように寄り添ってきた。
う、う、本当にヤバい。温泉には俺とアヤノのしかいない。露天風呂に入って間もないのに、あっという間に逆上せられた。
「あの私の事は嫌いですか? やっぱりはしたない女と思われますか?」
「いや、そうは思わないよ。流石にこれ以上はちょっとね…」
「良かったです。でも氏景様は誰か思う人がおありですね。私は二番……いえ、何番でも構いません。いつかご寵愛くだされば」
ご寵愛って、ええーーー!
マズイね。狙われている俺の貞操。
でも、本当に俺が好きなのか、それとも優秀の遺伝子が欲しいのか。見目つかないが何とか話題を変えた。
「明日会うアリス・エンダーグってどんな人?」
次回の執筆者は、企画者の呉王夫差です。