71 血書
今回の執筆者は、まーりゃんさんです。
「う、う~ん」
意識を取り戻すとミローユの姿がなかった。一瞬の間に喪失感になった。
ガサガサ、ガサガサ
木々の間からミローユの姿を見たらほっとした自分。
よくよく考えてみては自分は今まで誰かに依存してきたかもしれない。皆がご飯や寝床を提供して貰っていた。
「何処に行っていた?」
「ああ、ちょっと用を足しにな。人並みに暮らすにはやっぱ家がいるな。食事や寝る所はどこでも出来るが便所だけは何とかしたいな」
「そ、そうだな」
確かに見知らぬ土地で新たに生きて行くにも最低限の生活水準は欲しいと思う。
「ん、じゃあ、行くか」
ミローユはそのまま森から出ようと動き出した。俺は先程ミローユの話を皆に伝えようとしていたが、今さら戻れないので書き置きになる物を探していた。
「ちょっと待ってくれ」
ポケットにはペンも無ければ書く紙も無かった。
「書く物あるか?」と聞くが、やっぱり持って無いミローユ。以前TVで見た、自分のシャツに自分の血を使って書き置きをしてメッセージを残していた事を思い出して実行してみた。
むちゃくちゃ痛かった。小指を噛みきって血を出して拙い字であったが要点をまとめて書いた。ミローユもビックリしていたが書き終わると手当てをしてくれた。
「直接会って渡せればいいが…」
「仕方ない。顔を知らない兵に渡して届けてもらえばいいな?」
「いいのか?」
「話をしたのは俺だかな。その代わり渡したら出発だ」
ミローユは俺からシャツを受け取ると一人で行ってしまった。今はミローユを信じて待つしかない。
数時間後…
待つも一向に戻って来そうもないミローユ。何かあったのか。不安になるも今動けば二次遭難になりそうで動けなかった。
ギュルル~、ギュルル~
またもお腹が空いてきた。やはり先程の量では足りないみたいだ。森の中で食べられる物なんて知りもしないので考えていた。
(サバイバルって言っても器具も必要だし、この世界でどれが食べられる物かの知識も必要だな)
ミローユがサバイバルをしようと言ってくれたが、やはり街に行き働きながら暮らして…と考えていた。
たが、ミローユは一日経っても戻って来なかった。
ミローユの事も心配になっているし、血書の行方も無事に届いたのか、不安になり自分のお腹の虫も最大限に鳴り響いている。
俺は決心して動こうとした。
次回の執筆者は、企画者の呉王夫差です。