7 荒廃した世界
今回の執筆者は、猫人@白黒猫さんです。
空想世界研究部のメンバーで一番最初に目覚めたのは俺のようだ。恭子は俺の傍らに居て見守っていたのか静かに微笑むと、今度は他の3人の元へと駆け寄っていく。
俺が目覚めて初めに思ったことは、ここは酷く焦げ臭い所だということ。次に思ったのはまるで全ての生き物が動きを止めたかのように、静かで何の物音もしないことだった。
本当に今生きているのは俺達と恭子だけなのではないかという程。
だがそれは間違いだったようで、空想世界研究部の面々が起き出すと俄かに辺りが騒々しくなり、恭子のような白と赤の制服を着た姿の人々が現れた。
手には杖のような“魔導具”らしきものから銃のような武器まで様々だ。
恭子はそんな人々に挨拶すると研究部の面々に向き直る。そして彼らが今回の無謀極まりない計画に協力する『デウス・エクス・マキナ』の生みの親だと言う。
研究者と言うよりは一見軍人のような見た目だが、どうやら彼らが作る武器と魔導石によりこの世界の機械は動くようだ。
ただ、魔導石には魔獣と呼ばれる怪物が多数出現するため、各々戦闘訓練を受けた、いわば“戦う研究員”なのだという。
「それで、俺達は一体何をすればいいんだ?」
「とりあえず、今日は私達のアジトに来てください。計画について詳しく話し、今後の予定を話し合いましょう」
「了解。それで恭子ちゃんは俺達と一緒のへ」
「お前は黙ってろ」
そういって山野の頭をはたくと、流石のお調子者も黙った。木山部長は何やら考え事をしているようで荒廃した未来都市を眺めながら、時たま五十嵐先輩に向かって話しかけている。
そしてそんな俺達を振り向き、満面の笑顔で言い放つ。
「さあ、匡輔、晟、氏景。ここから我ら空想世界研究部は動き出す。しかも今回の依頼はなんと『世界を救うこと』だ。これほどこの部にぴったりな活動もあるまい。それで諸君、世界を救う覚悟はできてるか?」
部長は芝居がかったジェスチャーと台詞を終え部員を見回す。
五十嵐先輩は気合い十分といった表情で指の関節を鳴らし、山野はへらへらと笑いながら、一度大きく頷いた。
一方の俺はというと、頭を掻きながらし渋々といった表情で頷いてみせる。
「では、これから世界を救おうじゃないか!」
木山部長の一言で、部員全員の目にやる気が漲る。
これから俺達の退屈な日常は消え、冒険だらけの人生になるとはこの時誰が予想だにしたのだろうか。
次回の執筆者は、月蝕いくりさんです。