68 名を変えて
今回の執筆者は、まーりゃんさんです。
空腹のあまりに考えるのも正直面倒だった。今さら相手が仲間を裏切り暗殺しようと関係無い。 今ただ無惨にのたれ死ぬよりマシだ。後は利用されようが裏切られても文句なんてない。
「ああ、仲間でもなんでもいい。一人はイヤだ!!」
俺は心情的に一人で死にたくなかった。
「なら、動けるか?ここから誰にも会わずにサバイバルをしよう。二人で自給自足で生きていこう。俺は追われてるかもしれない。救世主は…」
「氏景だ、呼び捨てでいい。何でもいい腹の足しにならるなら何かくれ」
「今は何も持ってないが…、分かった。今腹の足しになる物を探して来てやるよ。待ってろ」
一時間後。
バグバグ、バグバグ、ゴックン。
パンと呼べるか、ナンと呼べるか、とにかく食べられる物を持って来たミクローシュに礼を言った。全然足りなかったが一息つけた。ミクローシュは先程サバイバルしようと言っていたが…。
「なぁ、ミクローシュ。サバイバルの経験あるのか?」
「いや、ない………が」
「じゃあ今までは?」
「……………殺人を犯して今更真っ当に生きて行けなかったから…有る物を盗んだり奪ったりとな……」
「そうか…」
ミクローシュはうつむきそれ以上は語らなかった。多分先程の食べ物はどっちかだろう。
「さて、そろそろ動こうか。これから二人でサバイバルだ」
俺はミクローシュと共に森の中で焚き火になる薪を集めた。火を着けてミクローシュはこれからの事を告げた。
「で、本題なんだが俺は過去の事を捨てる。仲間を殺してこんな事を言えるべきでないが、自由気ままに生きていこうと思っている。エクスの事も自分の名前も捨てて新しく生きて行こうと思う。氏景はどうだ」
「そうだな…。今は何もかも忘れてただひっそりと生きていたい」
俺は救世主を呼ばれ色々と経験してきたが、心のどこかで安息を求めていた。
「お互いに名前を変えよう。そうだな…俺はミローユってどうよ」
ミクローシュ=ミローユはそう言いながら手持ちのナイフで無造作に髪を切り無理矢理髪型を変えた。
俺も心機一転とは言い難いが気持ちはわかったので「俺も名前を変えよう。日本名でなくこっちの世界風の名前で……ノンフーと呼んでくれ」と返した。
ぱっと考え付いた名前は、暢気な風と言う意味でノンフーと言った。
「わかったノンフー。よろしくな」
「こちらこそ、ミローユ」
次回の執筆者は、企画者の呉王夫差です。