53 津波
今回の執筆者は、まーりゃんさんです。
「それにしてもこの魚は旨い」と山野は誉める。
部長もルクレツィオも賛同するがやはりおかしいと懸念している。
「どうやら潮流のせいだけでないような気がする」
「ああ、俺も同感だ。何かの前触れか、もしくは……」
「嵐の前触れって奴か、だとしたらこの場所だと津波か?」
「地震が起きれば可能性が大だが、今の状態ではなんとも言えない。
「もしも……いや、警戒といつでも避難出来るようにはした方がいいかもしれない」
俺も以前似たような事を聞いたことがある。このまま、ここにいては何か起こると心が早く逃げろと告げている。
「なぁ、このままここにいてはいけない気がするんだ。一度安全な距離まで避難した方がいい。それも急いだ方がいいような……」
俺が忠告している最中にズゴゴゴ、ゴゴゴゴと地面が揺れた。
それを気に部長もルクレツィオも懸念していた通り、遠くの海面からは大きな津波が見えた。部長や恭子も大声を出し皆を避難させるべく指示をだした。
「高台に逃げろー!」
「距離を取れ!」
「避難が先だー!」
俺達はオズワルト率いる3000の兵とともに、その場から避難した。
俺は全速力でその場を離れ高台に上がり惨状を見るも、近くにいたのは恭子と数百人の兵達だった。
「ハァハァ、ハァハァ、みんなは?」
俺は恭子にまさかとは思っていないが尋ねてみた。
部長やルクレツィオは指示を出していた為、その分遅れているだろうが安否不明の状態だった。
「わからない。まさか津波が押し寄せてくるなんて思いもしなかった」
誰が予想出来るであろうか、確かに潮流が変わり魚が流され、嫌な予感はしていたがまさかの津波。
「津波が収まるまでは迂闊に動かないように」と兵達に指示する恭子。
俺も仲間や他の人達の事が気になり、至ってもいられなかった。たぶん恭子も同じ気持ちだろう。
数分もしないうちに津波は収まりかけの時にあちこちと兵達が流されてきた。中には津波の影響で溺れたのか、動かない兵達。
バシャッバシャッ、バシャッバシャッ
流されいる人達の中にまだ生き延びている人達もいた。津波が引いているうちに生存者を助けるべく動く。部長やルクレツィオをに山野…と思いきや、オドレイと山野を発見。
駆け寄り「無事か?」と声をかけるも山野の本意なのか、オドレイの狙いなのか、わからないがキスをしていた。
二人とも無事なようなのでとりあえず無視した。
後は部長やルクレツィオ達だ。
「おーーーい、誰かーー返事しろーーー!」
バシャッバシャッ、バシャッバシャッ。
「プッァハァ、死ぬかと思ったぞ」
なんと山野とオドレイの下敷きになっていた部長。
「二人を助けていたのに下敷きされるとは…」
部長が無事で安堵するもまだ不明な人達がいる。山野もハッとオドレイから離れるも知らぬふりをしてやった。後で尋問しよう。
それからも月や星の灯り、松明で生存者を助けるべく動く。一人、また一人と助けていった。兵達の三分の二は助かったものの逃げ切れなかった人達は残念だった。
その後も生存者の捜索や手当てで気が早まる一方でルクレツィオが見つかった。命には問題ないが津波の中、何かに当たり負傷しているので安静が必要との事だ。
その後プリヘーリヤも見つかった。全身ずぶ濡れだが一人の男性と二人の子供を連れていた。
次回の執筆者は、企画者の呉王夫差です。