50 記憶の中の人相
今回の執筆者は、まーりゃんさんです。
夜分の食事は近場で捕れたのか、見るからにサクサクの衣に包まれた身の厚い白身魚のフライと野菜たっぷりのミルク煮(?)だった。
最初から準備していたらしいが、資料を読み漁っていた為に冷めきっていた。
「冷えているな」
「ああ、俺達の分があるのはいいが完全に冷えきつているな」
「ミルク煮は温め出来るが白身魚のフライはレンジがないと無理だな」
「仕方ない食うか。だけどルクレツィオ、よくレンジなんて知っているな?」
「ああ、こっちの世界でもあるぞ」
「えっ、そうなの、マジ?」
「ここには無いがな」
そんな事も知らず、山野は「このミルク煮美味しいですね。冷めているけど」などおかわりを要求していた。
「ふわぁ~、眠たいですね。食事を取ったら眠くなってきました。夜も遅いしローテーションで仮眠を取りましょう」
トリスタンも眠くなって来ているのか、欠伸をしていた。
「そうだな。二人ずつ仮眠を取った方が良いだろうぜ」
ルクレツィオも賛成し、この場は仮眠をする事になった。最初に氏景とルクレツィオが仮眠をする事になり、部屋を出た。
「それにしても資料の中から重要事項に人捜しかな? これからは」
「そうだな。生きているか、わからない貴族の一族を捜しなきゃならんとは…」
丁度よくプリヘーリヤに出会った。
「皆揃っている?」
「俺達仮眠するところだ」
「なんだ、何かわかったの?」
「いや、ちょっと前に見覚えがあってさ。どこかの馬鹿が昔は貴族だったんだー!ってほざいていた奴いてさ、それを伝えにきた。捜している奴か、わからないけどね」
「どんな人?」
「う~ん、あまり覚えてない。なにせ、見るからに馬鹿っぽく服もボロボロでさっ。周りの連中も無視していたし、あたしも気にも止めなかったからさ」
ルクレツィオはプリヘーリヤの両肩をガシッと掴み「一応聞くがどこで見かけた?」と迫った。
「どこだったかな~? なにせ何年前の記憶だし、今もいるか生きているか、わからないよ」
ルクレツィオは思いっきり肩を揺らし、思い出せとプリヘーリヤを振った。
「ちょっと痛いって」
プリヘーリヤはルクレツィオから離れて昔を思い出していた。
「確かあの時どこかの街で炊き出しをやっていた時の出来事だったような。あたしも炊き出しを貰っていた記憶があるよ」
具材がたっぷりで絶妙な味付けで行列が出来ていた所にその馬鹿がいた記憶を思い出した。
「三、四年前に海岸付近の街……アミリアだったかな? そこで見かけたはず。それを皆に伝えようときた」
「わかった。みんなに伝えてくれ、そいつが例の捜している奴かわからないが貴重な情報かもしれないからな」
氏景はルクレツィオと仮眠出来る部屋に向かった。
次回の執筆者は、企画者の呉王夫差です。