49 資料読み開始
今回の執筆者は、鵠っちさんです。
重い紙束を持って地上へと上がってきた俺達。そこへ見計らったかのごとく、山野が駆け寄ってきた。
「おお氏景、戻ったか。で、その束が機密情報か?」
「分からない。ただ、散乱していたものの一部だ」
「まあいい。みんなあっちにいる。早くしろ」
もう集まって待っているのか。そして山野、どうせ来たなら誰かの分を手伝え。
オズワルトたちの下へと戻ると、資料読みを開始しつつ、とりあえず中であったことを報告することにした。
「……そうですか。……彼らが」
「戦闘したら、重要なもんまで消し炭にしそうだったからな……」
「賢明な判断です。それにしてもシュトラウス家ですか。こちらとしても、捜索はやぶさかではありません。ですが……」
「とうに滅んだ国だ。かの戦争が起きた当時、大公の子供は誰も結婚していない。以降、シュトラウスという家名はどんな記録にも存在しない。子孫がいたとして、自分がそうだと教えられていないかもしれない」
ルクレツィオの話を聞き、トリスタンの言を引き継いで問題点をあげるオズワルト。
どうやら問題は山積みらしい。その件についても、この持ち帰ってきた資料の中に、なにかしらの手がかりが埋もれていることを祈るしかない。
「記録が存在しない……。昔に探されてはいるのですね」
「ああ、そうだ。小さい国とはいえ大公。それに、希少な家系でもあるからな」
部長の問いに、ルクレツィオが俺に教えてくれたことを話し出す。
オズワルトからも特に補足事項はないようで、シュトラウス家と聞いて止まっていた者たちも手元の資料の続きを読み始めた。
「みなさん。根をつめすぎると集中力切らしますよ? いい加減に食事にしてください」
夜分、炊き出し担当の隊員達に促されて、資料読みは強制的に中断され、遅い食事を摂ることになった。
次回の執筆者は、まーりゃんさんです。