47 資料室へ
今回の執筆者は、鵠っちさんです。
「ふぅ。ようやくたどり着いたな」
「そのようですね。話には聞いていましたが、ここまで広いとは思いませんでした」
半壊状態の教会。その地下。そこには四人の人影がいた。
「この街はやつらだけのものじゃねえ。俺達だってここに住んでたんだ。暮らしていたんだ……。俺達の街なんだ!」
「それは何度も聞いた。今は急ごう。あの人たちが来る前に脱出しないと」
――これが、この部屋に救世主と呼ばれる少年が現れる、数分前の出来事であった。
狭い通路を抜けると、俺達の前に一段と地味な扉が現れた。
「ここが重要な資料があるはずの部屋だ」
「魔力でロックをはずす扉か~。現物を見るのは初めてだよ。こんな状態でも機能してるんだね~」
「そのおかげでたどり着けたようなもんだしな。プリヘーリヤさまさまだぜ」
結局、ルクレツィオが案内するよりも速く、先行していた何者かの魔力をプリヘーリヤが辿ることで、目的の部屋の前に到達した。
「それじゃあ、派手に乗り込むとするか」
「普通に、そーっと入った方がいいと思うけど……」
俺の言葉にプリヘーリヤも頷き、「しかたねえ」と呟いて扉を開けるルクレツィオ。
扉が開く直前、プリヘーリヤに耳打ちされて、俺は右手を腰の銃に沿わせた。
扉の向こう側で敵が待ち構えていた場合に備えてのことだ。プリヘーリヤも眼前に杖を構え、なにやら呟いている。
「なっ、ルクレツィオ……。お前も反乱軍のメンバーだったな。そっちの少年が噂の救世主か」
「なんでその話を知ってやがる。……ここの資料を渡してはくれないか?」
「ルクレツィオさんといったかな。それはダメだよ。後ろの二人は既に武装している。話し合う気はあるのかい?」
ルクレツィオは、振り返らずに俺達に武装を解くように言い、素直に従うことにした。
すると、四人の中で年長者と思しき人物が、ルクレツィオに親しげに歩み寄ってきた。
「元同僚のよしみで、こちらも武装を解きましょう。ああ、そちらの二人は初めて会うのですかね。彼はルクレツィオ。反乱軍では結構なポストについています」
緊張感に包まれる中、ルクレツィオと、彼の元同僚と言った男を中心として、話し合いが始まった。
次回の執筆者は、企画者の呉王夫差です。