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夢を抱く少年 先達の軌跡 Glorious Feats (再投稿版)  作者: 磯別学園高校『空想世界研究部』なろう支部
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46 フセヴォロドグラートの教会兼研究所

 今回の執筆者は、企画者の呉王夫差です。

 翌日。俺とルクレツィオ、そしてプリヘーリヤの3人は、フセヴォロドグラート近郊の反乱軍の野営地から、一路研究所を目指していた。


「お、救世主。もう片っぽの銃も完成したのか?」


「あ、ああ」


 昨夜、オズワルトたちとの話し合いが終わった直後にオドレイがやってきて、調整が終わったばかりの左手の銃を渡された。

 右手10発、左手10発で発射可能回数は合計20発。

 これを如何に効率的に使うかが、これからの戦いの焦点になるだろう。


「オドレイちゃんの話では、性能実験で川の向こう岸を木端微塵にしたんでしょ~? 威力の調整とか大丈夫?」


「……なんとか、やってみる」


 もう一つの焦点が、正しい使いどころだ。

 場面を誤れば、勝ったとしても被害が大きくなりすぎる。

 仕方ない、フセヴォロドグラートでの仕事が終わったら、威力を制御できるよう訓練だ。


 かつての市街地をしばらく進むと、左半分が爆撃で大きく欠けた教会風の建物の前にたどり着いた。


「ここが、ルクレツィオくんたちが仕事をしてた“研究所”だねっ」


「ちょっと待てプリン。確かに半壊状態だが、これ教会だぞ?」


 一見、科学とは対照的な“宗教”施設である。

 しかしルクレツィオは、「いや、ここで合っているんだ」と言った。


「まあ、デウス・エクス・マキナは研究者や調整員などにとっては機械と言う“道具”だが、それ以外の一般民衆にとってはまさに信仰の対象たる“神”だからな」


「デウス・エクス・マキナを信奉する教団――『マキナ教団』が統括理事会と手を組んでいるからねっ。この教会兼研究所も『マキナ教団』と統括理事会が共同運営しているんだよ」


「でもって、研究所は一般的には“修道院”なんて呼ばれるしな。もっとも禁欲の規則は全くなかったが」


「……? その『マキナ教団』とやらと、統括理事会は別物なのか?」


「ああ。違いとしては、デウス・エクス・マキナを宗教(・・)的視点で管理するのが『マキナ教団』で、科学(・・)的観点から管理するのが統括理事会だ」


 さらにルクレツィオ曰く、マキナ教団は現在この世界では絶大な権威を誇る組織とも紹介された。

 俺達の世界で言えば、カトリック教会の総本山、ローマ教皇庁といったところか。

 

「付け加えとくと、『デウス・エクス・マキナを倒す』という名目上、俺達反乱軍はマキナ教団と統括理事会の両方と敵対していることになるぜ」


「ほんとっ、お偉いさん方がしっかりしていれば、あたしたちも反乱なんて起こさなかったのに……」


 そう言ってプリヘーリヤは、やや俯きかけた。

 生死不明の娘のことを気にかけているのか……。

 

 するとルクレツィオは、いつの間にか俺の視界の中から消えていた。


「さて、立ち話はこれくれえにして、早く地下の重要保管室に行こうぜ」


「おい、置いてくなルクレツィオ」


「ま、待ってよぉ~」


 俺とプリヘーリヤは、先行するルクレツィオの後を追った。



 ◆◆◆◆◆



 重要保管庫に至る階段を探していると、瓦礫の山の一角に不自然に瓦礫が撤去されて出来た穴を発見した。

 しかもその穴の奥には、地下に続くコンクリート製の階段があった。


「どうやら、ここが重要保管庫に通じる階段みてえだが……先客がいるようだぜ」


「本当か?」


「うんっ。だってこの穴、あたしの見立てだとついさっき開けられたものだよ。魔力の残り香だって感じるし……」


 プリヘーリヤに指摘され、俺は周囲の空気を嗅いでみた。

 しかし、何が魔力の残り香かはわからなかった。


「魔力の残り香なんて感じないけど……」


「普通の人間とかには無理だぜ。プリヘーリヤは竜人族の末裔で、魔力の僅かな差を感じ取れる能力があるからわかるんだぜ」


「竜人族……」


「えへへ、オドレイちゃんと同じく少数種族出身で~す。あと、他の種族よりも結構長生きで力持ちなのもいっぱいいるって加えといて~」


 と言うことは、プリヘーリヤが子持ちにもかかわらず少女のような外見をしているのは、彼女が竜人族だからか。

 そしてその遺伝は、『3歳で屈強な男の筋肉にダメージを与えた』娘にもしっかり受け継がれているわけだ。


「話は戻すが、とにかく、先客が反乱軍関係者でないことだけは確実だ。そうじゃなきゃ、リーダーが俺達にこんな指令を与える訳ねえからな」


 じゃあ、俺達より先に保管庫に入っているのは誰なんだ?

 ルクレツィオの言い方じゃ、あまり反乱軍に協力的でないメンツが入室しているって感じだが……。


「行こう……」


 俺達は恐る恐る重要保管庫のある地下へ、足を踏み入れていった。 

 次回の執筆者は、鵠っちさんです。

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