39 山野の勘が告げる!
今回の執筆者は、まーりゃんさんです。
山野は言いづらそうな顔で氏景を呼んだ。
「氏景……ちょいといいか?」
「ん、良いけど」
山野の表情からすると先程の話しの事だろうか。
だが、様子がおかしい。先程の話しの冒頭だと嬉しさのあまり喜んでいるはず。
山野は人目を気にして小屋の裏で話しをした。
「やべぇ、どうしよう氏景。俺はナンパはするけど…初対面でいきなり告白された。最初は誰かと間違えだと思って話しをしたんだが『俺の事を一目惚れした。これからずっと一緒にいたい』と言って来るんだ」
「え? ……良かったじゃん、やったな山野」
「ああ、ありがと。だけど、なんかひっかかるだよ。俺の才能は確かに女の子に超絶モテモテになるんたが……」
山野はゴクンと間を置いて再び話しをした。
「あの人は男なんかじゃないかな~と思ってさ」
「え、あの女性騎士がか? 確かに中性的な顔に体型もスレンダーだけど、それはないだろう」
オドレイ・ロシュフォールの身長は160cmくらいでスレンダーな体だ。
女性特有の膨らみのある鎧を着ている。声も少し特徴的な高い声だ。
だが、山野の勘は男だと告げている。
「確かにボーイシュな感じの女の子で俺の好みであるんだが、手が出ないだよ。普段ならスキンシップで女の子に触ろうとしているだが、どうもオドレイに触っては後戻りが出来ない気がするんだ」
山野はオドレイの告白を保留にして考える時間を貰っている。
「それで氏景にオドレイが本当に女性なのか、調べてほしい」
山野は手を合わせ頭を下げた。
「マジ? いや、それはなんでも酷いと思うぞ。人の性別を疑うのは」
「好意は嬉しい。が素直に喜べないんだ。最初に会った時『お、お前のことが好きになってしまった。だから私と……付き合ってくれ』と言われてその後に『俺と…じゃなくて私はお前に一目惚れしたんだ』と言っていたんだ。俺と…とって言っているしな~と思ってさ。だから頼む!この通り」
山野はまたも手を合わせ頭を下げている。
「ルクレツィオなら知っているんじゃないか? 聞いてみれば」
「いや、俺が直接聞くのはちょっとな」
「わかった。けど期待するなよ。どんな人か聞くだけだからな」
「ああ、頼む」
そこで山野と別れ、ルクレツィオのもとに行った。
そこには五十嵐先輩とオドレイも一緒にいた。
「何やっているの?」
「ああ、魔導石の加工して武器に付けているんだ」
オドレイは二つのバックラー(鉄製の楯なのか、分からないが?)に鉤爪と刃のついている攻防一帯の武器に魔導石を取り付けている最中だと言う。
「いやー、凄くいいよ。僕の理想な武器になっている」
五十嵐先輩は凄く喜んでいる。
顔から喜びのあまりニコニコしている。
オドレイの作業をじっと見ている。
「両腕には楯が着いているし、武器には鉤爪と刃が着いている。僕にピッタリの武具だよ」
「え、オドレイさんって鍛冶士的な、なんですか?」
するとルクレツィオは「ああ、まだ言ってなかったな」といってオドレイは加工技師だと言った。
「これから皆に合う武器に魔導石を付けてあげようと、此方に来たんで要望を聞いて加工しているのだ。だからこれが終わったらどんな武器がいいのか、考えていてくれると助かる」
オドレイはそう言って作業をしていた。
氏景はルクレツィオの袖口を引っ張って二人から離れた。
氏景は直接的に聞くのは不審がられると思い、少しずつオドレイの情報を聞き出した。
「オドレイさんって加工技師って聞いたけど?」
「ああ、オドレイは魔導石を加工出来るんだ。俺達反乱軍の武器を見たろ、それらには魔導石を着けられるように加工しているから加工技師としているんだ。幹部の中でオドレイの腕は1、2を争うほどさ」
「へぇ~、凄いね」
「ああ、だから救世主はどんな武器に魔導石を着けるか考えた方がいいぞ」
「わかった。そうだな、考えとくよ」
氏景はそろそろ本題を聞きたいがどうしても聞きづらい。
「なぁ、ルクレツィオ。オドレイさんって中性的な顔だから男か女か、わからなくなる時ない?」
「……………」
ルクレツィオは何か言いたそうな顔になっているが「悪い、俺には何も言えない。ただ幹部で加工技師だとしか言えない。悪いな」と言ってその場を逃げた。
氏景はルクレツィオの態度が粗か様に変だと思ったが後ろを振り向くとオドレイがいた。
「救世主はどんな武器に魔導石を着けたいか、考えたかい?」
オドレイは笑顔で聞いている。がそれ以上に氏景は尋ねられなかった。
「ああ、俺は銃タイプがいいな~と思っている。一つは連発式でもう一つは拡散式みたいな銃がいいな~と考えていたんだ」
「うん、いいね。二丁拳銃か、わかった。早速加工してくるよ」
氏景は内心ヒャッとした。
流石に本人に性別はどちらですか?なんて聞けない雰囲気だった。
次回の執筆者は、企画者の呉王夫差です。