24 復習
今回の執筆者は、鵠っちさんです。
案の定長くなった授業のあと、夕食までの間に少しだけ全員でまた実際に試してみることになった。
なお、ルクレツィオはオズワルトに呼ばれたため、この場にはいない。
なので、臨時の指導役としてプリヘーリヤがやってきた。
「よーし、じゃあ私が好きな魔法を見せてあげよー!」
若干投げやりなのは空腹のためらしい。
そして、投げやりながらも本気で魅せてくれたのは、空中に大量のハートマークを投影する魔法。
特にこれといった効果はないが、昔はごっこ遊びの華として使っていたらしい。
男の子なら星型とか、ワルモノ役ならドクロとか。実にどうでもいい。
「今の魔法も何かの属性が?」
「あー、そうか。魔導石の属性の話だよね。こういうお遊びまで魔導石を使ってたら、大変なことになっちゃうでしょ? 絶対に魔導石を使わなきゃいけないってわけじゃないんだよ。大きな魔法を使うなら、無いとものすごく大変で、普通ならできないけど」
「なるほど。氏景もあのときは持ってなかったしな」
「ああ、聞いてますよ。見たかったな~」
だからなんで、俺のことをそんな目で見るんだよ。
覚えてないって言ってるじゃないか、察してくれ。
っていうか部長。毎回毎回、俺になんか恨みでもあるんですか。
「恨みなどない。ちょっと羨ましいだけだ」
「あれ、声に出しましたか?」
「おう、だだ漏れだったぜ」
な、なんという不覚。部長だけならまだしも山野にまで。
っていうかプリヘーリヤ、笑わないでくれ。
「そうそう、練習はいいんですか? 唱える言葉は『我らに聖なるお力を!』ですよ。忘れてないですよね? とりあえず唱えてみて、感じてみてください」
数分たって、とうとう山野が痺れを切らした。
もうちょっと我慢して頑張れよ……。
「なあ、何度唱えても何も感じないぞ」
「じゃあ、口に出して言ってみるのもいいかもしれませんね」
「我らに聖なるお力を!」
山野の突然の大声にビックリした俺は、体が熱くなったと思うと目も眩むような光を見て……次に目を開けると、恭子の「またか」というような顔に対面した。
どうやらまた、魔力を消耗して気絶していたらしい。
次回の執筆者は、企画者の呉王夫差です。