21 朝練
今回の執筆者は、鵠っちさんです。
「おっはよー! 救世主様!」
なんで朝一番で、コイツの声を聞かなければならないんだ。
「……おはよう。いったいどうしたんだ?」
「いやぁー、遅いから起こしにきちゃったよ。で、昨日の話の続きなんだけどさぁ~」
「昨日の話は一旦置いとくとして、遅いってどのくらいだ?」
「うーん、あと二十分ちょっとで朝食の準備が始まるかな? ちなみにあたしが起きたのは二時間以上前だよ」
二十分ちょっとで朝食の準備って、早く見積もってあと一時間は大丈夫だ。
「じゃあまだ時間あるじゃないか。もうちょっと寝るよ」
「うん、ダメ。どっちにしろ、朝練やるって匡輔さんかのお達しだよ」
それなら、先にそっちを言ってほしかった。
「遅くなりました!」
「いや、お前が一番なんだが……」
意外や意外、プリヘーリヤは俺が遅れて怒られるのを楽しむのかと思ったが、善意だったらしい。
疑って悪かった。
「肝心の指導役がまだ来ていないが、ただ待っているのも無駄だ。お前も一緒に筋トレでもしてみるか」
その後、続々と集まって筋トレを始めたメンバーに指導役のルクレツィオの姿を見つけたころには、とうに朝食の時間になっていたのだった。
「ああ、運動の後の飯は美味しいな。なあ氏景」
「ルクレツィオさんも、なんでこっそりと筋トレに混ざってるんですか。ちゃんとアピールしてくれないと……」
「俺だって体を鍛えたいんだよ。どーせこの後にでもがっつり教えるんだからいいだろ」
「そうだぞ。ちゃんと鍛えておかないと、いざというときに咄嗟に動けないからな」
なんだろう。こういうのを四面楚歌っていうんだっけか? こんなことなら山野の話に乗っておくんだった。
「で、救世主様? 恭子ちゃんのことはどう思ってるの?」
「しつこいな。それに本人が近くにいるところでする話題じゃないだろ」
ルクレツィオの指導の後のこと。誰かプリンを引き取ってくれ。
次回の執筆者は、企画者の呉王夫差です。