18 回収
今回の執筆者は、鵠っちさんです。
「いったいどうなさったんです?」
後ろから聞こえた声に一斉に振り向くと、トリスタンが今入ってきた扉を閉めて、こちらに向かってきた。
「魔導石が……」
「え? ここにありますよ?」
いったいどういうことだろうか、トリスタンが差し出した袋には、先ほど見た魔導石が入っている。
心の中で部長に謝っておくことにした。
「どうやってやったんですか?」
「回収装置を作動させただけですが」
「おい、聞いてねぇぞそんなの!」
「ええ、初めて使いましたから。いや、成功してよかった」
おずおずと尋ねる恭子に、あっけらかんと返すトリスタン。
驚かされたルクレツィオは思わず声を荒げるが、これにもイタズラが成功した子供のような表情で返す。
少し離れたところにいるオズワルトもしたり顔だ。
そんな大きなドッキリを仕掛けないでください。心臓に悪いです。
そんなちょっとどころではないハプニングがあったものの、無事に魔導石を手に入れることができた。
「これでみんな魔法が使えるようになるのか?」
「大丈夫だと思うわよ。こう見えても恭子は一応、見る目だけはあるから」
一応とかだけとか余計なのよ、とぶつくさ言っている恭子は元凶であるプリヘーリヤに任せ、こっちはこっちで話を進めることにする。
「それで、どうやって魔法を使うんだ?」
「始めは感覚を捉えてもらうしかありませんね。難しい理屈なんてすっ飛ばして、強力な魔法を使うことも可能ではありますから」
そこで何故、みんなして俺を見るんだ。
俺だって、あの前後はよく覚えていないんだ。どうか察してくれ。
「まあ、こいつにそういうのを求めてもしょうがないか。やっぱり恭子みたいな可愛い子に……」
「ルクレツィオさん。そういうのはあなたの領分でしたよね」
「あ、……あぁ」
おい山野。お前、なんか嫌われてないか?
さすがにしつこすぎるんじゃあ……。
「うん、そういうのもいいな……」
おい腐れ縁。さすがに気持ち悪いぞ。
「まあまあ戯れはそれくらいにして、ルクレツィオ。あんまり時間もないからササっと頼むよ」
「へいへい、分かりやしたよ。そんじゃサクッといくからな」
数時間後、俺たちはようやく魔法をなんとなく認識できるようになって、十何回に一回くらいだが小さな現象を起こせるようになっていた。
次回の執筆者は、企画者の呉王夫差です。