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夢を抱く少年 先達の軌跡 Glorious Feats (再投稿版)  作者: 磯別学園高校『空想世界研究部』なろう支部
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169 救世主、反乱軍を助ける

 今回の執筆者は企画者の呉王夫差です。

「氏景、やっぱり考え直した方がいい。"救世主"が反乱軍を辞めたとあっては、僕達は間違いなく瓦解する。そうなればこれまで奪回した地域の治安も悪くなるし、機械兵から世界の民を守れなくなる」


「クロちゃんとイオちゃんをこれ以上裏切りたくねえのはわかるけどよ。あの2人のために70万人の兵や何千万人もの住民を見捨てるのはいただけねえぜ」


 部員からは当然ながら俺を引き留める言葉がかけられた。

 部員としては俺がみんなと行動を共にするのは当たり前であり、俺が欠けると調子が狂うと考えているだろう。

 

 俺もその点は正直不安だ。だが皆の前で宣言した以上、もう引き下がることは出来ない。

 アッキーに殴られて目が覚めるとか、そういうレベルの問題じゃない。


「皆の心配はありがたいけど……これは俺が決めたことなんだ。だから、引き留めないでほしい」


 すると部長はある意外な提案をした。


「――じゃあ、氏景には2つほど要求を呑んでもらおうかねえ」


「2つ?」


「1つは"救世主"の脱退は内密にすること。他の大多数の構成員にとっては"救世主"が辞めたことはまだ知らないからねえ。瓦解を防ぐためにもこの要求は呑んでもらいたい」


「……わかりました。反乱軍にはこれからも頑張ってもらいたいですから。2つ目は?」


「2つ目は……僕達『空想世界研究部』も反乱軍を脱退し、氏景と行動を共にする。さすがに君1人を孤立して戦わせるわけにはいかないからねえ。知識もまだまだ必要になるだろうし、どうだい?」


「……!?」


 部長の提案、それはつまり部長と五十嵐先輩、そして山野も反乱軍を辞めるという選択だ。

 確かに俺1人では機械兵との戦闘に不安がある。だが、わざわざ3人に辞めてもらうわけにもいかない。

 彼らとて"救世主"として俺と一緒にこの世界に呼ばれた身。彼らが抜けること、それこそ『"救世主"が辞めた』ことにはならないだろうか?


「ちなみにさっきトリスタンさんやサライさんとも話して、反乱軍は辞める形だけど彼らから支援を受けられるようにしたんだ。さすがに4人だけで戦場には立てないからねえ」


「なんでそこまで……」


「僕達は同じ部の仲間だ。仲間を1人置いて機械の神と戦うマネはしたくない」


「俺達は一蓮托生! 仲間外れにはさせねえぜ!」


「――そうです。仲間外れになんてさせません」


「きょ、恭子……?」


 部員の後ろから、恭子が姿を見せる。


「氏景さんを反乱軍に呼んだのは私の責任です。なのに私は、あなたの脱退の兆候に気づかず2度も止められなかった。悔しい限りです」


「そんな……恭子のせいなんかじゃない! 俺が、俺が情けないから、こんな結果に……」


「ですから反乱軍の皆さんと話して、非公式の形ではありますが『救世主支援隊』を結成しました。プリヘーリヤさんやアリスさんも参加します。同じ空の下、最後まで一緒に戦います!」


 そこまで皆を心配させてしまったか。皆が怒るのも覚悟の上だったが、ここまで手回しさせてしまうのは申し訳ない。

 俺、結構皆に大切にされていたんだな……。


「……うん、よろしく頼むよ」


「はい。サポートはお任せください」


 こうして、『空想世界研究部』は部員全員が反乱軍を脱退。形の上では仲間ではなくなったが、俺達と反乱軍の共闘はこれからも続くこととなった。



 ◆◆◆◆◆



 俺達が反乱軍を脱退してからも、皆が知恵を絞って編み出された支援策により、大きな混乱もなく進軍は続いた。

 大津波により樹々や建物が消え失せ、無人の土漠と化したペトラスポリスの西側を進むのは大変ではあったが、散兵戦術を活用して犠牲を減らしながら迫りくる機械兵を潰していく。

 

 そして俺達は反乱軍に紛れ、要所要所で機械兵を強大な魔力で一網打尽にする。


「よし! これで100機を一気に撃墜だ!」


「さすが氏景さん、やりますね! この半年間で見違えるほどの戦闘技術が向上しましたね」


「ま、まあ……さすがにいつまでも役立たずとか言ってられないしな」


 恭子に褒められると、やはりどこかこそばゆい。何しろ俺が片思いする女の子だからな。

 ……ただ、聖光真聖会での巫女とのハーレム生活を問い詰められたら言い訳できない。その点を追及されないことを祈るばかりだ。


 それはそうと、進軍するうちに機械兵の抵抗は強くなりつつあった。本拠地の死守を念頭に置いているのか、機械兵の数はキストリッツに近づくごとに段々と増え、さすがに進軍スピードも落ちつつあった。


 そしてキストリッツ東側のヴァレイダムーーに近づいたところで、俺達は機械兵の大軍に当たった。


「うおわっ! 地平線を機械兵が埋め尽くしているぜ……」


「これは大規模会戦を意識してるねえ」


「左右は急斜面の高い山。これだけ深い渓谷だとダムも造りやすいし、地の利を活かした防衛もしやすい」


「理事会側の兵力は200万機。正面突破は難しそうですね……」


 反乱軍は主力部隊を結集させ会戦に備える。が、恭子の言う通り正面突破できるほど俺達の人数はいないため、一旦持久戦に持ち込んで機械兵の数を減らす作戦を展開した。

 そして俺達は、側面から攻撃して機械兵の数を一気に減らすことにした。


(ここを崩せば、機械の化け物に近づく! 耐えるんだ、今は耐えるんだ!)


 会戦は2カ月続き、反乱軍は20万人強の死者行方不明者を出しながら、機械兵の大軍を殲滅。

 理事会の最終防衛ラインとも言うべきヴァレイダムを乗り越え、キストリッツの目前に迫った。


 戦勝に沸く反乱軍。その様子を俺達は遠目から暖かく見守った。

 だが、最終決戦を間近に控えた俺達にある悲報が届くこととなる――

 次回の執筆者も企画者の呉王夫差です。

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