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今回の執筆者は、鵠っちさんです。
額から伝わる温かさに、思わず眠たくなってきそうだけれど、部長の問いに答えなければなるまいまい。
とにかく、頭を働かさなければ。
「あの、1ついいですか」
「なんでしょうか」
「ここは……あれからどうなったんですか?」
ここがどこだか訊いても、そもそも分かるはずもない。
今は自分の状況を把握することにしよう。
「あなたが倒れてから、魔法でスペースを確保しました。あまり移動はしていません」
「そうですか……」
魔法って便利なもんだよな。まあ、俺はどうやら、その魔法のせいで倒れたが。
もう少し詳しく聞いていくと、どうやら俺が倒れてから3時間ほど経ったらしい。
本来なら、一分一秒だって惜しいはずなのに。
「そんなに暗い顔をしないでください。あなたのお陰で。ここにいる皆は助かったのですから」
その声につられて、ふと恭子を見ると、少しばかり涙の跡が窺える。
共に戦ってきた仲間がいなくなったのだ、その心の内をわざわざ掘り返すこともない。
「もう大分、顔色も良くなったようだな氏景。どうだ、答えはわかったか」
部長の問いの内容は、『神に対抗するには何になればよい』だったはず。
「神に対抗するには……“神になる”でしょうか?」
「くくっ、ははははははは。お前、本気でそんなことを言ってるのか?」
周りからも笑い声が聞こえる。
どうやら皆に笑われてしまったようだが、冷めた笑いではないようだ。
「もう1回聞く。神に対抗するには何になればよい?」
「え……」
「くくくっ、氏景さん。あなたはどうやって神になるというのですか?」
「あ……」
確かに、神になるにはどうすれば良いのだろうか。
神話なんかでは、凄い人が天に上げられるなんて話があった気もするが、俺はそんな人間じゃない。
「最終回答の時間だ氏景。『機械仕掛けの神に対抗するには、何になればよい』」
「機械、仕掛け……。技術者、ですか?」
「さっきとどっこいだな、氏景」
スッと額に感じていた温かさがなくなると、顔を背ける恭子を観察してみた。
……肩が揺れている。さっきのを失笑とすると、今度のは苦笑だろう。そう感じた。
それにしても、俺が気を失っている間に色々話していたのか。
山野まで知っているとなると、なぜだか悔しい。
俺が動けるようになったので、魔法で作ったというスペースを解体してから、さらに進む。
解体は、あっという間の出来事だった。
また森の中を歩くと思いきや、どこかの地下施設へと入っていく。
聞けば、ここは近道なのだそうだ。まさに地下道。
山野が言うかと思ったが残念だ。……言えよ腐れ縁。
「……あそこです」
地上と地下を行き来しつつ、ようやくたどり着いたのは高い崖の下。
指差されたのは、途中にぽっかりと開いた大穴。
え、俺フリークライミングなんか、やったことないんですけど…………。
次回の執筆者は、企画者の呉王夫差です。