103 覚悟
今回の執筆者はまーりゃんさんです。
「うぅ、う~ん?」
「あ、目が覚めましたか?氏澄さんお体の調子はいかがですか?」
氏澄はに枯れ葉の上で寝かされていた事に気がついた。
「此処は一体?」
辺りを見回せばボロボロの廃墟の中のようだ。
「覚えてませんか?」
コロナの様子を見ると、処刑台の時のままで顔が痩せて今でも倒れそうな状態だった。
「どうやら、目が覚めたようだね」
ボロ小屋の中に入ってきた女性に声を掛けられ、氏澄は咄嗟に動こうにも体が動かなった。
「キミが目が覚めるまでずっと看病をしていただよ、コロナは。キミが倒れた場所からここまで背負ってもね」
「いいんですよワルワラさん。氏澄さんのお陰で今の私達が助かったのですから」
2人は今までの経緯を氏澄に話した。
「そんな事が……確かに夢で見ていたような感覚でござる」
「あの時は自分では無い自分の力…何かの意思が拙者の体に乗り移った」と表現しようにも。説明出来ない事に氏澄は沈黙した。
「調子の方はどう? 三日間も眠りぱっなしだからね。腹減っているだろうけどデメトリオスの追っ手の為食料が手に入らない。あたしもコロナも水しか手に要られない状況でね」
布に水を含ませたワルワラが氏澄の口元で布を絞った。冷たい水が口に入ってくる。
「かたじけないでごさる」
声は出せるが未だに体中に力が入らなく、動かせない。
「あたしら何も無いからこんな事しか出来ない。キミ動けるかい?」
ワルワラの言葉に氏澄は二人の体力が限界なのを感じた。
三日間水だけで2人ははさ迷い、拙者を背負ってまで、ここにたどり着いて気力も体力も尽き果てているのだろう。
顔は痩せこけ、服はボロボロ、足には無数の怪我を覆っている。ここまで2人が持ったのが奇跡の様だ。
今の拙者が動かせられるなら無理をしてでも二人の為に拙者が何かをしなければならない。
そういう云う思いだが、未だに指の一本も動かせないとは情けないと自念に責めていた。
「なんとも情けない限りでござる。今の拙者全く動けないでござる」
「何時見つかるかわからないが、あたしもコロナも限界だ」
ワルワラの言う通り、水を持って来るだけでも気を使い、体力的にも消耗していた。
「私はまだ大丈夫です」と気丈に振る舞うコロナだが、ワルワラは「今見つかれば終わりだね」と覚悟していた。
次回の執筆者は企画者の呉王夫差です。