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はじまりました

作者: さだ 藤

 

「せんせー! ちょっとひでぇよこいつ!!」


 不満たらたらと文句を口にする高野に担任教師は振り返る。


「あー?」


 やる気のないその顔は、面倒事はお断り。そんな文句を掲げていた。


「なんだあ、高野。に、三木か?」


 いつも比較的うるさい高野に、いつも比較的静かな三木の組み合わせ。

 片眉を上げて担任は、高野に指をさされてちくられようとする三木に視線をむける。


「何かやったのか?」

「いや別に」


 担任の問いかけに何でもないですとさらりと流そうとした三木に高野は噛み付いた。


「何でもなくねぇよ!」


 そうして高野は三木に突っ込んでから自分の正しさを主張する。


「先生! 昨日のこいつ、ずる休みだったんすよ!」


 教師としてそんな生徒は見逃せないだろうと、あるべき生徒の姿を見せる高野に担任はそうかと頷いて、


「そうだな、いけねぇな」


 伸ばされた手が向かったのは高野の頭。そしてぽんぽんと高野の頭に手をのせて、えらいえらいと子供を誉めるような応対に出た。


「え、あ、ちょ?」


 目を白黒とさせてそんな応対に混乱している高野をおいて、そうだなと頷きながら担任は背を向け、


「え、ちょ先生! 俺を誉めんじゃなくて、三木をしかってくださいよー!」


 高野の文句に片手をひらひらとさせて、遠ざかっていく。


「……どういう事?」


 眉を寄せ、首を捻る高野に三木はふと尋ねる。


「なあ昨日、先生も休みじゃなかったか?」

「えっ、あっ、おぉ」


 昨日休んでいたはずの三木の言葉に高野は戸惑いながらも頷けば、やっぱりなと三木も頷いた。


「先生は湖のファンだからな」

「っ! あんたもかよっ!!」


 三木の言葉の意味を知り、また、昨日の担任の欠席理由も知ってしまい思わず担任の背中に向かいどなってしまう高野だった。

*湖はチーム名の由来から取っています。

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