第1章 2
この前の続きです。
どうぞ
月明かりに照らされ始めたハンズ大陸のなか、広い平原を駆け抜けてる者が一人いた。その者は何者からか逃げているようだ。
「クソッ、まだ追いやがるのかあいつら……!」
その者の後方にはざっと20体ほどの魔族の群れが不気味な声をあげながら追っていた。
「エモノ…エモノ!オレタチノエモノ……!!」
「コロセェッ…!メシダァッ!!」
魔族の鋭い爪がその者の頭上から振り下ろされる。とっさに鋭い爪を回避し、その先へ駆け抜ける。
「俺は獣人だぞ、この俺がお前たちみたいのに喰われるはずがあるかっ!!そこら辺のちっせぇ虫のほうがうまいと思うぜっ」
獣人は右腕でなぎ払い魔族を消滅させた。
「しかし、この量の敵を俺だけでやれるとは思えねぇ……どこか撒ける場所があればいいが……この左腕も持たねぇな…」
獣人の左腕には少し派手な傷が残っている、どうやら不意打ちを受けたようだ。必死に駆けながら辺りを見回してある一点、小さな村を見つけた。
「村…か、撒くにはちょうど良い場所でもあるが城下町の事もあるが…しかたねぇ、あの村に入って奴等を消滅させてやるか…それしかねぇな」
そして、獣人は一気に村へ駆けていった。
「魔族ども、こっちだ!ついてこぉい!!」
「ジュウジンヲオエェッ…!カナラズクッテヤル……!コロセェッ!!」
「獣人が喰われるはずがあるかってんだ!」
月に照らされた小さい村に獣人が息を潜めた。魔族の隙を付いて消滅させるために静かに待った。そして魔族が現れたところを確認すると一気に飛び掛かった。
「これで終わりだ!魔族ども!!」
ギャッと奇妙な叫び声を立てて2・3体が消滅、続けてなぎ払おうとしたその時1体の魔族が急に鼓膜が破れるほどの声で叫び獣人の動きを止め、鋭い爪を振り上げた。
(…クソッ、これで終わりか…ッ)
思った次の瞬間残り一寸のところで魔族の爪が動きを止めた。
(…?……どうしたんだ?)
魔族達は、あたかも竜を見たかのようにそわそわしはじめた。
「…イル……」
(何がいるってんだ?)
「オソロシイモノガ…チカクニ……イル!!」
相当な程に恐ろしいのか、周りの魔族に急ぐかのように指示を出した。
「コロセ…コロセ、コロセエエェッ!!イマスグ…オソロシイヤツヲ……コロセェッ!!!」
魔族たちは激しい動きで移動を始めた。
「…!ッ…待てッ!!ックソ、逃がすか魔族ども!」
獣人は魔族たちを追跡した。あの城下町のような状況にはしたくないだろう。
「クソ、また人間たちに危害を加えるとは…っ!だが、恐ろしいものって一体何だ?」
今は考えていられまいと、魔族を急いで追った。
ダッケルは、魔族の不気味な声で深い眠りから急速な勢いで飛び起き、辺りを見た、同じ部屋の中キールは隣で起きていた。
「キールッ…」
とっさにキールはダッケルの口をとめた。
「分かってるよダッケル。声は小さく話そう」
「……お、おう…」
キールはニサナを起こしてくるようにダッケルに言った。
「ダッケル!」
キールは護身用の剣を一本、投げ渡した。
「昔はよく平原に出て魔族一体に挑んだものだな」
「あぁ」
ダッケルは静かに急いでニサナの部屋に駆けていった。
「おいっ、ニサナっ」
唐突にニサナを呼び起こした。
「話は後だ。早く外に出ろ!家が崩される可能性が高ぇ」
「まって! 私の本っ」
ニサナは急いであの本を手に取り獣人とダッケルで外にかけて行った。
すると他の魔族がそこら中にいた。
「まだいたのか…… しかもこの量……」
獣人はそうつぶやき、ダッケルは魔族たちを見回して唖然とした。魔族はまだそこらに15対ほどいるだろう。1体がダッケルに襲い掛かったが、ダッケルは難なく避けて魔族を剣で切り裂いた。魔族はその場で倒れ動かなくなった。
「まだやられるかっ」
その次、動かなくなった魔族を利用して5体の魔族が飛び掛かってきた。ダッケルは必死に応戦するが、5対相手では歯が立たず間がつめられるいっぽうだった。そこから、一体の魔族が驚くほどの跳躍力でダッケルを飛び越え、
「オソロシイヤツ…シネェェ!」
ニサナに爪を大きく振り上げ襲いかかったが、
「ちっ!」
「おっおじさん!?」
そこに、ニサナをかばう用にダッケルが飛んで入った。
「がぁああああ!!」
魔族の鋭い爪がダッケルの胸部を貫かれた。
「おじさん!? どうして!?」
「お前を…助ける…ために…決まっ…ている いいから…早く俺…を置いてに…げろ」
大量の血が胸部からドクドクと流れ落ちている。
「いやだ!! おじさんを置いて逃げれないよ!」
「また…何を寝ぼけた事を、俺は…いいから早くに…げろ。そこの…獣人さん
よぉ」
「…なんだ!?おっさん!」
獣人は魔族を止めながら答え、ダッケルは死に間際ながらも話続けた。
「ここの女の子…ニサナを守ってくんねぇか?あの城下町で活躍したんだろう?俺は、もうここで…終わりみてぇだからな」
「……わかった!俺はあんたの代わりにどんな状況でも守り抜いてやるからな!安心していろ!」
そしてダッケルは、ほっと安心した顔を浮かべ、ゆっくり目を閉じ動かなくなった。
「いや……いやだよ……死んじゃやだよ……いや……いやあああああぁぁぁぁ!!」
そのときニサナの左手に履いてあった皮の手袋が消え、その下にある黒い何かが黒く輝きだした。
「なっ! なん何だよアレは!?」
獣人は自分の目を疑った。
そこにはニサナの左手から出る黒い光が奇妙な巨大なもう1つの腕らしき物を作り、ニサナの左肩から出てきた。
「………………」
ニサナはダッケルの横で膝を抱えうずくまって泣いていた。
その間ニサナの左肩から出ている巨大なもう1つの腕は……
「ヤッヤメテクレェエエエエ」
「アアァァァカッカラダガアァ」
残りの魔族を見えない力で消し去っていった。
「き……消えた……魔族全員……」
獣人は呆然と周りを見回している。
月に照らされた小さい村に少し肌寒い風が流れてきた。ニサナたちの周りには、崩れたダッケルの邸宅があり、消滅した魔族の粉塵が舞っていた。
「あれは、なんだったんだ?……まさか今のが魔族どもの言っていた恐ろしいもの…なのか?」
「うっ……おじ……さぁん」
ニサナは死んだダッケルの前でしばらく泣いていた。そこに獣人が歩み寄って。
「すまない、おっさんを守れなくて……」
「うっいいの……私が悪いの」
「お前は何も悪くない……」
「ううん、違うの、私は見えない力で魔族を呼び寄せているから……」
「見えない力?」
獣人はニサナに聞いた。
ニサナはやっと顔を上げ。
「獣人さんも……みたでしょ、私の中から出てきたモノ、あれも私の力なの」
「お前の力?」
それはさっき肩から生えてた、あの腕の事だろうか。
「うん、私の両親は魔族によって殺された、私の力で呼んだ魔族によってね、でもその時も私怖くて、そしたら私の肩から出てきた力で魔族を消してたの。それから私は孤児院に引き取られたの、孤児院でも私の力は知られ知られていた、私は周りから避けられていって、そこにおじさんが手を差しのべてくれたの。 でもまた居なくなっちゃった……何でいつも私の周りに居る人は消えちゃうんだろ……、神様もひどいよね私に幸せをくれないなんて……そういう時何度も思った。私は、壊したくない……家族も、大切なものも、思い出も…何も失いたくないって…いつも平和であって欲しいって……」
「…………」
獣人は黙ってニサナの話を聞いてた。
そして、
「俺も少し分かる気がする、俺達獣人は、元は獣だと人間から避けられる立場から孤独とかそう言うのを何度も味わってきた。人間から大地を奪われ、富をも奪われ、人間の下で生きるようになってしまった。だが、俺たちは今でもあきらめていないだろう。いつか人間達と共に、同じ大地の上で一緒に歩ける日が来るのを信じている……だからお前の気持ちが分かる」
獣人はニサナの話と少し似た話を自分で進んで言った。するとニサナから問われる。
「私の本と同じ……でもどうして獣人さんはそんなにしっかり前を向いて進めるの?」
「どうしてか俺も分からない……、でもきっと認めてもらいたいからだと思う」
「認められるわけないよ……」
「認められないかもしれない、でも少しでもその可能性があるならそっちに賭けた方がいいだろう、だから俺は認められるために前を向いて進めるんだと思う」
「私……まだ遅くないかな?」
「あぁ大丈夫だ。まだ間に合うに決まってる」
獣人は力ずよく頷いた。その仕草が何故だか一筋の希望のようにも見えた。
「お前は旅に興味は無いか?」
「一応興味はあるけど……」
「じゃあ一緒に来い、目的は無いけど旅をしながらだと前を向いて生きていける、そしたら自然と旅の中で目的が見つかるはずだ」
「ありがとう」
「……そういえばお前の名前は?」
「私はニサナ」
「俺はラキスだ、これからよろしく……ニサナ」
こうして彼らは目的を探して旅に出た……ニサナが願う平和へと…ラキスが信じている人間達と共に歩める日をいつか迎えるために…
どうでしたか?
やはりベタでしょうか?
これからもよろしくお願いします。
次回は右手の話です。




