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【二章開始】狂信者は今日も刈り取る~畜生以下の存在には最期に夢を魅せましょう~  作者: いさな
1章.廃棄少年は神からの救いを経て信徒となる

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第15話 異形の身体で開く道

 本日二話投稿です 

=============


 メタルスチームウルフを狩ることを宣言してから一日が経ち、次の目標を決めたことで落ち着いた朝を迎えた俺は、いつも通り川に水を取りに行きながらこれからの育成方針について考えていた。


 水を汲む際に川に反射した原型の無くなってきている自分の姿を見つめながら、変質した箇所を眺める。


「身体の構造上、変質出来る部位には限界がある。もし、すでに変質している部位と同じ鉱魔獣を取り込めんだ場合は上書きするのか、それとも混ざるのか」


 これまで狩って食べて来た鉱魔獣たちは運よく手に入る魔鉱石の部位が被る場所は無かった。ただ、このまま部位が被らないなんてあり得ない。


 このまま何も知ろうとせずに、ただ楽観的に捉えていては駄目だ。


 上書きされたことで魔鉱石の力が失われれば、俺が力のために吸収したした鉱魔獣にも申し訳が立たないしな。


 力が混ざれば全てを継承することで俺の最期まで糧にした鉱魔獣も連れていけるだろう。自己満足だとわかっている。それでも、魂まで吸い取った以上、最期まで共に居る方法を探すことが俺の責任だ。


 だからこそ、安易に試して力が消えてしまったときには取り返しのつかない事態に陥ってしまう。


「偽善でも見当違いでもいい。俺が成長するための決意の証としてもここだけは譲っては駄目だ」


 幸いなことにまだ時間はある。諦めて力を取り込むよりも試す余地はあるはずだ。


「例えば自力で鉱魔獣同士の力を融合する方法を探す......か。結局、鉱魔獣たちの魔鉱石は解体出来ていないし、それで色々実験してみるとしよう」


 今すぐに試せれば一番良かったのだが、持っているスキルを見てもそれは難しいだろう。必要なのは魔力操作と俺から生えている鉱魔獣の部位の効果を引き出すこと、そして魂を感知し魔力と混ぜることだ。


 魔力操作と部位の力を引き出すことについては多分どうにかなりそうだが、魂の感知に関しては全く分からないのが現状。


 可能性としては同じ鉱魔獣を狩り続け、魂が身体に蓄積される感覚を覚えていくとかかな。


 時間感覚を失わないように、洞窟の壁に刻んでいた跡を指でなぞる。


「俺が人減らしされた時が誕生日から一ヶ月後、そして森に入ってから今日で三ヶ月が経っている。なら、残り八か月でこの目標を達成してみせる」


 まずは魔力操作からだ。練習方法はいつも通り、限界を超えるとしよう。


 ◇◆◇◆


 それから俺は、これまで通り夜に洞窟の近くにいる鉱魔獣を狩りながら、他の時間で魔力操作の練習を進めていた。


 これまで感覚で使っていた魔力操作をどのような過程でアーツとして変換しているか、魔力の流れはアーツごとに違うのか、属性ごとに魔力の形は違うのかを意識するところから始める。


 今、俺の体内には元々の魔力と複数の種類の魔力が存在している状態だ。そこで俺は、元々の魔力の形だけを変形させて鉱魔獣の魔力と分別する方法を試した。


 自らの形成した魔力と鉱魔獣の魔鉱石を比較し、魔力の流れや性質などの違いを検証する。


 その試みは正しく機能したようで、体内に流れる鉱魔獣の魔力を認識することに成功した。


「ただ、動かすにはまだ魔力操作のレベルが足りない。いくら意識しても俺の意思で操作することが難しいようだ」


 ではどうするか。決まっている。


「外部放出・魔力形成」


 右手に形を変えた俺の魔力を外に出して、一つの立方体を作り出した。じっくりと構造を確認したあと、空中に軽く投げる。


 立方体は地面には落ちずに、俺の周りに浮いていた。


「これを量産する。どこで限界がくるかな」


 立方体は俺との接続が切れてない。スキルの同時発動は集中力と技術が求められるものだ。これを大量に作り、動かせば自ずとレベルは上がるだろう。


「外部放出・魔力形成、外部放出・魔力形成、外部放出・魔力形成......」


 これまでと変わらない。ただ、無心で立方体を作り周囲に浮かせる作業。


 20個の立方体が俺の囲むように浮いたところで、鋭い痛みが頭に伝わる。


「が、外部放出・魔力形、成」


 そして、21個目の立方体が手のひらに形成されたことで目から血が滴り落ちて、地面へと垂れた。


 限界を一歩超えた先にいると判断した俺は、真っ赤で何も見えない視界の中で少しずつ浮いている立方体を右回転させる。速度は一定ではなく、全てを少しづつ変えて。


 細かい操作が続き、苛立ちが湧いてくる。


「落ち着け、痛みはとっくに慣れている。全てを均等に、同じ速度で回転させるだけだ」


 深い深呼吸をしてから、再び立方体へと意識を集中させる。長い時間をかけて訓練を続けていくと、次第に回転が安定してきた。


 次は左回転、その次は上下移動、最後に周囲を移動させることに成功する。


 そのまま洞窟の壁ギリギリを縦横無尽に動かしながら、立方体から三角、丸、ひし形など本で見たことのある図形に変えて動かすことも出来た。


 限界を超えれば更に数を増やし、動作を細分化する工程を繰り返す。


 何度も何度も何度も何度も何度も......


 気が狂いそうなほどの時間が経ち、目から溢れていた血は固まり、目も開けることの出来ない俺の脳内に待ち望んでいた声が響いた。


『魔力操作の習熟を確認。限界を超えたため、魔力操作Ⅹと特殊スキル魔力創造を獲得しました。また、魔力操作がⅩまで到達したことで特殊スキルへと進化が可能です』


 声の内容を確認した俺は、ライトヒーリングとリフレッシュで身体を治してからステータスを確認する。


【種族】魔力操作Ⅹ

 ・ 体内の魔力を思いのまま操ることが出来る

 ◆進化先〈高度魔力操作or混沌魔力操作〉


【特殊】魔力創造

 ・ 体内の魔力を操作することで新しい魔力を作り出せる

 ・外部魔力を取り込んだものにのみ発現する


 魔力創造は色々吸収した俺だからこそ現れたスキルということだろう。これで鉱魔獣の魔力と混ぜることが出来るようになるかも。


 あとスキルは一定値まで育つと進化するんだな、それも選択肢付きか。


「どっちが俺にとって幸せな選択肢かな」


【特殊】高度魔力操作

 ・より精密に魔力を操作することが出来る

 ・他者の魔力も操作可能になる


【特殊】混沌魔力操作

 ・体内の全ての種類の魔力を操作することが出来る

 ・理の外にある魔力も操作可能になる


 高度魔力操作が正統進化で、混沌魔力操作が完全に邪道って感じだな。混沌魔力操作に関しては、俺みたいな不思議人間状態になっていなければそもそも選択肢が出てこなかった可能性が高い。


 それに比べて高度魔力操作は王道という感じだな。他者の魔力操作は対人戦では使う機会が多そうだ。


 ただ、今の俺には王道は眩しすぎる。


「正道を歩む者には、シャーマ様の力は不要。こんな日陰者になった俺にも手を差し伸べてくれたシャーマ様に報いるためにも邪道を選ぶ」


『魔力操作Ⅹは混沌魔力操作へと進化しました。異例の進化先が選ばれたため、必要知識を脳内へ刻み込みます』


 その声のあとに、魔力操作のときとは比較にならないほどの痛みを感じる。


 直接脳を焼かれるような痛みに耐えられなかった俺は洞窟の硬い地面へと倒れ、そのまま意識を失った。



 ========


【作者からお願い】


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