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必要なのはAIと愛と  作者: 転生新語


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エピローグ 必要なのはAIと愛と

 まあ、すべてが私の妄想(もうそう)ではないとすれば。まず(すこ)し、()(わけ)をしておきたい。私は(べつ)世界(せかい)での暗殺(あんさつ)稼業(かぎょう)を、最初(さいしょ)から(もと)めていたわけではないのだ。私が(べつ)世界(せかい)宇宙(うちゅう)(せん)に、(はじ)めて()()んでから、しばらくして日常(にちじょう)世界(せかい)で私は魔法(まほう)少女(しょうじょ)からの襲撃(しゅうげき)()けた。


 とっさに武器(ぶき)(べつ)世界(せかい)から()()して(たお)せたけれど、そんなことができるとは(かんが)えたこともなかった。危機的(ききてき)状況(じょうきょう)が私の能力(のうりょく)(しん)()させたのだが、いわば偶然(ぐうぜん)勝利(しょうり)で、いつまでも幸運(こううん)期待(きたい)するわけにもいかない。また魔法(まほう)少女(しょうじょ)が私を(ねら)ってくるのは確実(かくじつ)だったのだ。


 自宅(じたく)がある、(いま)日常(にちじょう)世界(せかい)から()()るつもりはなかった。(つよ)くならなければならない。私は修行(しゅぎょう)()(もと)めて、物騒(ぶっそう)(べつ)世界(せかい)戦闘(せんとう)経験(けいけん)()んでいった。……(いま)では(べつ)世界(せかい)での(うら)稼業(かぎょう)が、すっかり()馴染(なじ)んでしまったが。そうならざるを()ない環境(かんきょう)があったのだ。(いま)や私は、日常(にちじょう)世界(せかい)(すみ)()いやられている、おヤクザな方々(かたがた)へも同情(どうじょう)してしまう。


 そんな私の日常(にちじょう)世界(せかい)は、(じつ)は23世紀(せいき)の私が()ている(ゆめ)仮想(かそう)現実(げんじつ)である、という可能(かのう)(せい)もある。宇宙(うちゅう)(せん)による、(なが)拘束(こうそく)時間(じかん)運送業(うんそうぎょう)()きて、冷凍(コールド)睡眠(スリープ)している私が自由(じゆう)(もと)めて()()(ゆめ)()ているとか……。


 (かんが)()すと()りがない。自分(じぶん)正気(しょうき)(うたが)いだせば際限(さいげん)がないのだ。ほどほどに狂気(きょうき)()()いをつけて()きていく。それが(たの)しい人生(じんせい)(おく)るコツだと私は(おも)うのだが、如何(いかが)だろうか。


 (いま)時代(じだい)AI(エーアイ)(あい)人生(じんせい)において、ほぼ必需品(ひつじゅひん)なのだと私は(おも)う。私が(ひと)(もと)めるのは(せい)(あい)だが、それも(あい)(ひと)つだ。あとの優先(ゆうせん)順位(じゅんい)(ひと)によって(ちが)うのだろう。私の優先(ゆうせん)順位(じゅんい)は、もう()まっている。




 (くら)くなる(まえ)散歩(さんぽ)()()げ、自宅(じたく)へと(もど)る。自営業(じえいぎょう)として独立(どくりつ)する(まえ)IT(アイティー)企業(きぎょう)(つと)めていて、高給(こうきゅう)()りだったので、こうして()()()てられたというわけだ。


 職場(しょくば)の、というかそれ以外(いがい)人間(にんげん)関係(かんけい)(ふく)めて、私は(ひと)との(つな)がりが苦痛(くつう)(たま)らなかった。自宅(じたく)立方体(りっぽうたい)(ちか)箱型(はこがた)で、日常(にちじょう)世界(せかい)人間(にんげん)関係(かんけい)()った私は、自己(じこ)完結(かんけつ)した生活(せいかつ)(おく)っている。それなりに性欲(せいよく)はあるから、(べつ)世界(せかい)では色々(いろいろ)発散(はっさん)させてもらってるけど。


「にゃーん」


「ただいまー。いい()にしてたー? おやつをあげるからねー」


 ペットの(しろ)(ねこ)が、私を出迎(でむか)えてくれる。(むかし)から、(ねこ)一緒(いっしょ)(なが)時間(じかん)()ごすのが私の(ゆめ)だった。この自宅(じたく)も、いかに(ねこ)(たの)しませるかという(かんが)えのもと設計(せっけい)されてて、今日(きょう)みたいに()れた()にはいつも屋上(おくじょう)テラスで(ねこ)(はし)(まわ)っている。


 ひょっとしたら、と私は(おも)う。この世界(せかい)は、この(ねこ)()ている(ゆめ)なのではないか、と。シュレディンガーの(ねこ)という思考(しこう)実験(じっけん)があって、(はこ)(なか)(ねこ)()けてみるまで生死(せいし)がわからないとか(なん)とか。そういう(はなし)で、そして、この(いえ)立方体(りっぽうたい)(はこ)(じょう)だ。


 つまり私と(ねこ)ちゃんは、一緒(いっしょ)()(つづ)けていて。そして(いえ)から、つまり(はこ)から()るたびに、世界(せかい)(ほう)変化(へんか)しているのである。()きているシュレディンガーの(ねこ)が、(はこ)(なか)から外側(そとがわ)(かん)(さつ)すれば、そういうことも()えるのではないか。


 ()運命(うんめい)回避(かいひ)(つづ)ける、(ねこ)()(ゆめ)。ありそうな(はなし)(おも)えた。あの、うっとうしい魔法(まほう)少女(しょうじょ)たちが、(けっ)して自宅(じたく)攻撃(こうげき)してこないのは本当(ほんとう)偶然(ぐうぜん)なのか。(はこ)(なか)(ねこ)()ねば、彼女(かのじょ)たちも()えてしまうのではないだろうか。


「すごいねー。おまえ、ひょっとしてスーパー(ねこ)ちゃん? これからもよろしくねー」


「にゃーん」


 私が(べつ)世界(せかい)()けるようになったのは、この(ねこ)()(はじ)めてからだ。この()()くなるときは、世界(せかい)全体(ぜんたい)()えるのかもしれない。どうなるかわからないので、(ねこ)ちゃんと末永(すえなが)()らし(つづ)けて、世界(せかい)変化(へんか)()(とど)けていこうと私は(おも)った。

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