表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
必要なのはAIと愛と  作者: 転生新語


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/5

日常版・魔法少女だとかマジか

 江戸(えど)時代(じだい)西部(せいぶ)(げき)堪能(たんのう)して、現代(げんだい)日本(にほん)へと私は(もど)った。作業(さぎょう)スペースの椅子(いす)(すわ)っていて、まだ時刻(じこく)(ひる)である。(ひさ)しぶりに散歩(さんぽ)でもしようと(おも)い、私は自宅(じたく)から(そと)へと()た。うん、いい天気(てんき)だ。


 この現代(げんだい)日本(にほん)でも、私は未来(みらい)技術(ぎじゅつ)使(つか)えるのだろうか。それとも(すべ)ては、私の妄想(もうそう)()ぎないのか。(まち)なかの人間(にんげん)()(ころ)しても仕方(しかた)ないので、21世紀(せいき)の私は(おだ)やかに()ごしている。────とはいえ、襲撃者(しゅうげきしゃ)()れば(はなし)(べつ)だ。


 道端(みちばた)(ある)いていたとき、時空(じくう)()()わる感覚(かんかく)があった。瞬時(しゅんじ)()(かえ)って、背後(はいご)(てき)へ私は日本(にほん)(とう)による一撃(いちげき)(あた)える。この時空(じくう)なら、(べつ)世界(せかい)から未来(みらい)技術(ぎじゅつ)のアイテムを出現(しゅつげん)させられることは確認(かくにん)()みだ。未来(みらい)(つく)られた(かたな)(かる)く、それでいて(てつ)をも両断(りょうだん)できる(すぐ)れものなのだが。


無駄(むだ)無駄(むだ)物理(ぶつり)攻撃(こうげき)は私に()たらないわよぉ」


 (くろ)のゴスロリ衣装(いしょう)()(つつ)んだ少女(しょうじょ)が、にっと(わら)う。(かたな)手放(てばな)して、私は背後(はいご)()退(すさ)距離(きょり)をとった。手放(てばな)した(かたな)は、少女(しょうじょ)頭上(ずじょう)空中(くうちゅう)固定(こてい)されている。私の周囲(しゅうい)にいた通行(つうこう)(にん)()えていた。


 景色(けしき)()わってなくて、それでいて時空(じくう)というのか次元(じげん)がズレた世界(せかい)に私と彼女(かのじょ)だけがいる。この日常(にちじょう)世界(せかい)で、私を()(ねら)襲撃者(しゅうげきしゃ)()るとき、()まって()こる現象(げんしょう)だった。(ろく)連発(れんぱつ)拳銃(けんじゅう)()()し、全弾(ぜんだん)少女(しょうじょ)へと発砲(はっぽう)する。


 私が()った六発(ろくはつ)(たま)は、やはり彼女(かのじょ)前面(ぜんめん)にある空間(くうかん)固定(こてい)されていた。()()らせば球体(きゅうたい)のバリアがあって、その(なか)少女(しょうじょ)がいるのがわかる。少女(しょうじょ)手袋(てぶくろ)をつけた()で、(ちゅう)弾丸(だんがん)をつまんで道路(どうろ)()()てた。


(たい)したカラクリね。どういう原理(げんり)(おし)えてくれる?」


「もう、カラクリだなんて。魔法(まほう)少女(しょうじょ)使(つか)うのは魔法(まほう)()まってるでしょ。貴女(あなた)みたいなテクノロジーとは(ちが)うんだから。私は親切(しんせつ)だから(おし)えてあげる。これは私の周囲(しゅうい)()れたものの、スピードを減速(げんそく)させる魔法(まほう)なの。一万(いちまん)(ぶん)(いち)以下(いか)速度(そくど)にね」


「まあ、すごい。その魔法(まほう)で、私を()()りにしようっていうわけ?」


(はなし)(はや)くて(たす)かるわぁ、そういうことよ。このバリアで貴女(あなた)()れれば(かん)(たん)(つか)まえられるわ。貴女(あなた)()えないバリアを利用(りよう)してて、攻撃(こうげき)()(なが)せるのは()っているわよ。でも、この魔法(まほう)(ふせ)げないんじゃないかな。(ため)してみましょ?」


 たぶん、彼女(かのじょ)()うとおりなのだろう。(かたな)手放(てばな)すのが(おそ)かったら、私自身(じしん)(うご)けなくなっていたという(いや)手応(てごた)えがあった。(べつ)世界(せかい)では、私は一方(いっぽう)通行(つうこう)のバリアを使用(しよう)していて無敵(むてき)だったのだが。(てき)からの弾丸(だんがん)防御(ぼうぎょ)できて、私が()弾丸(だんがん)(てき)()たる仕様(しよう)だ。そして(いま)は、私が一方的(いっぽうてき)()られる寸前(すんぜん)である。


(うご)けなくなる(まえ)に、ちょっとお(しゃべ)りしましょうか。私は(やさ)しいからね。貴女(あなた)(つか)まえようとして、同僚(どうりょう)魔法(まほう)少女(しょうじょ)がずいぶん(ころ)されちゃったわ。それは(べつ)にいいの。貴女(あなた)(つか)まえて実験(じっけん)材料(ざいりょう)として提供(ていきょう)できれば、魔法(まほう)協会(きょうかい)から私にすっごい報酬(ほうしゅう)(あた)えられるんだから。史上(しじょう)最高(さいこう)賞金首(しょうきんくび)よ、貴女(あなた)(ほこ)りに(おも)っていいわ」


「お(かね)(ひと)()めしたくて、貴女(あなた)一人(ひとり)()かってきたと。そういうことね。逆襲(ぎゃくしゅう)されて()んでも()らないわよ?」


「もう、(つよ)がっちゃって。ここは(べつ)時空(じくう)なんだから、いくら(たす)けを()んでも無駄(むだ)よ。私は魔法(まほう)高速(こうそく)飛行(ひこう)ができる。でも貴女(あなた)は、そこまでの高速(こうそく)移動(いどう)はできない。(はし)って()げても無駄(むだ)なんだから」


 よく調(しら)べている。そのとおりで、私は自動(じどう)(しゃ)免許(めんきょ)()っていない。未来(みらい)高速(こうそく)移動(いどう)アイテムなどは使(つか)いこなせないのだ。(べつ)世界(せかい)宇宙(うちゅう)(せん)はあるけど、あれは自動(じどう)操縦(そうじゅう)だから(はなし)にならない。忍者(にんじゃ)スーツで高速(こうそく)移動(いどう)をしても、()こうの飛行(ひこう)速度(そくど)には(かな)わないだろう。


貴女(あなた)が、パラレルワールドっていうのかな、(べつ)世界(せかい)()()んだら厄介(やっかい)なんだけどね。それをされると、私たちには()いかける手段(しゅだん)がないから。でも、そうされたら私たちは貴女(あなた)(いえ)()くわよ。それは(いや)なんでしょう? 大切(たいせつ)場所(ばしょ)なんだものね」


「……それも調査(ちょうさ)()み? やったら(ゆる)さないわよ」


「しない、しない。この世界(せかい)への(こだわ)りがなくなったら、貴女(あなた)(べつ)世界(せかい)()きこもっちゃう。だから()()さないであげてるのよ、感謝(かんしゃ)してよね。ねぇ、(べつ)世界(せかい)ってどんな(かん)じ? 私たちは貴女(あなた)(べつ)世界(せかい)移動(いどう)したことを観測(かんそく)できるだけで、そこでなにが()きているかまではわからないのよ。貴女(あなた)はテクノロジーによってか、もしくは不思議(ふしぎ)能力(のうりょく)によってか、(こと)なる世界(せかい)移動(いどう)できる。それも自在(じざい)に、瞬間的(しゅんかんてき)に。最高(さいこう)興味(きょうみ)(ぶか)存在(そんざい)だわ」


()りたいのなら、平和的(へいわてき)()けば()かったじゃない。問答(もんどう)無用(むよう)(おそ)ってきたから、私は貴女(あなた)たちに対処(たいしょ)しただけよ」


「そりゃあ、ねぇ。私たちの組織(そしき)は、テクノロジーや能力(のうりょく)平和(へいわ)利用(りよう)なんか(かんが)えてないもの。貴女(あなた)()きたまま解剖(かいぼう)して、能力(のうりょく)調(しら)べあげて。それから数百年(すうひゃくねん)()(つづ)けるんじゃないかな。貴重(きちょう)なモルモット第一号(だいいちごう)としてね。そうなったらマトモな会話(かいわ)なんかできないから、私は事前(じぜん)貴女(あなた)(はな)したかったの」


 (あたま)がおかしい集団(しゅうだん)なのだろう。私が(べつ)世界(せかい)()けるようになって、しばらくしてから彼女(かのじょ)たち(魔法(まほう)少女(しょうじょ)自称(じしょう)している)が(あらわ)れ、定期的(ていきてき)日常(にちじょう)世界(せかい)でこうやって(おそ)いかかってくるようになった。私を(つか)まえたがっていて、それでいて私に()かった賞金(しょうきん)独占(どくせん)するべく、一人(ひとり)ずつしか(あらわ)れない。統制(とうせい)がまったく()れてなくて、それが(ぎゃく)不気味(ぶきみ)でもあった。


「お生憎(あいにく)さま。私は貴女(あなた)(はな)すことなんかないの。さっさと()かってきなさい」


「つれないなぁ。でも(ゆる)してあげる、私は寛容(かんよう)だから。手足(てあし)一本(いっぽん)()()ばせば、きっと(かんが)えも()わるでしょ。(なみだ)(なが)しながら私と会話(かいわ)(つづ)けなさいな」


 魔法(まほう)少女(しょうじょ)が、頭上(ずじょう)空間(くうかん)固定(こてい)されていた、私の日本(にほん)(とう)右手(みぎて)()る。にっと(わら)って、黒衣(こくい)死神(しにがみ)のように、刃物(はもの)片手(かたて)()げた彼女(かのじょ)高速(こうそく)飛行(ひこう)直進(ちょくしん)してきて────私からの一撃(いちげき)胴体(どうたい)(つらぬ)かれた。23世紀(せいき)宇宙(うちゅう)船内(せんない)で、使(つか)機会(きかい)もなく放置(ほうち)されていた自衛用(じえいよう)武器(ぶき)である。


「レーザー(じゅう)攻撃(こうげき)充分(じゅうぶん)減速(げんそく)するには、貴女(あなた)魔法(まほう)(ちから)不足(ぶそく)だったみたいね。まっすぐ()てくれたから()てやすかったわ」


 (ひかり)秒速(びょうそく)30(まん)キロだったか。遠慮(えんりょ)なく私は最大(さいだい)出力(しゅつりょく)()たせてもらった。宇宙(うちゅう)船内(せんない)使(つか)えば内側(うちがわ)から(かべ)貫通(かんつう)するほどの威力(いりょく)だ。(こう)都合(つごう)なことに、この時空(じくう)ではどれほど(あば)れようとも、日常(にちじょう)世界(せかい)(きず)つくことはない。魔法(まほう)少女(しょうじょ)今回(こんかい)も私に(やぶ)れて、(ひと)()れず、その姿(すがた)()していく。


 即死(そくし)して道路(どうろ)(うえ)にあった少女(しょうじょ)遺体(いたい)が、すっと()えた。時空(じくう)(もと)(もど)って、周囲(しゅうい)通行(つうこう)(にん)姿(すがた)(あらわ)す。(みな)普通(ふつう)()ごしていて、私も中断(ちゅうだん)していた散歩(さんぽ)再開(さいかい)すべく、(ある)()していった。


 レーザー(じゅう)宇宙(うちゅう)船内(せんない)へ、未来(みらい)技術(ぎじゅつ)日本(にほん)(とう)江戸(えど)時代(じだい)っぽい世界(せかい)へ、(ろく)連発(れんぱつ)拳銃(けんじゅう)西部(せいぶ)(げき)っぽい世界(せかい)へと(すで)(もど)している。まるで(なに)もなかったかのように、日常(にちじょう)世界(せかい)(つづ)いていて。(さき)ほどの戦闘(せんとう)もその(ほか)も、すべては私の妄想(もうそう)なのかもしれなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ