初秋風
夏の終わりを感じさせるような
印象的な音が鳴った
一陣の風が吹き抜けて行き
秋の気配に照らされる
誰かが爪弾いたピアノの音
黄金色の校舎に響き渡る
この世界にまるで私たちだけ
そんな気持ちになった
私たちが暮らす街は
虫たちのコーラスがよく聞こえる
金木犀のような色をした夕焼けが
ゆっくりと街を染めていく
横並び歩く二人
赤黒く沈んでいく太陽
あなたは少し遠くを見て目を伏せる
日焼け止めの香りをさせながら
あなたの後ろ姿が苦しい
呼吸が辛いほどに
見上げた空は西へ沈む
夏の終わりが眩しく見えた
暮れなずんでいくこの街で
あなたの秘密になってみたい
想い続けるこの気持ちは
淡いため息となり溶けていく
雲平線に向かい
駆け出していく
秋の風は手紙のよう
美しい音色を運ぶ