ゴミニートから赤ん坊に転生した俺、人生二週目で勝ち組確定~観覧車の上からこの世のニート共を見下す~
やあ、ニートの諸君。元気してる?
俺はお前らとは違って第二の人生を謳歌中さ☆彡
家に閉じこもり、親のすねとPCにかじり続ける生活をしていたある日、気付いたら赤ん坊に転生していた。
それからもう3年になるが、今世の俺はゴミニートの時とは一味違う。
そう、俺は今天才幼児なのだ。
親の幼児教育のおかげか、気が付けば英語がペラペラになっていた。できるのは体操にピアノ、おまけに前世の知識も持ったまま。これは勝ち組確定だな。
「もうすぐお昼だけど、和はおなかすいてない?降りたらご飯食べに行こう」
隣に座る母親が言う。今、俺は家族で観覧車に乗っている。前世は暇だった記憶しかないが、なるほど、なかなかに良い乗り物だ。窓から街を見下ろすのはなかなかに気分がいい。下の人間と俺のステータスを比べて、勝ち誇った気分になれる。一秒でも長くこの爽快さを味わわなければ。食べ物のことなど考えていられない。
「確かに、お父さんも何か食べたいな」
正面に座る父親が言う。こいつの年は前世の俺と似たり寄ったりだが、母親に聞いたところエリートサラリーマンのようだ。前世の俺なら輝かしすぎて顔も見れないだろう。だが、今の俺は天才幼児。下に見える引きこもり共とはレベルが違い、こいつと対等なのだ。そう思うと、窓の外を見るたびに笑みがこぼれる。
観覧車も下がり始め、だんだんニート達の地面に近づいていく。もう少し見下ろす気分を味わいたかったが、それが観覧車の宿命だろう。俺は最後まで顔を張り付け、優越感に浸っていた。
「ぐぅううううーー」
腹の音が鳴る。確か、次は昼ご飯を食べるのか。なにか子供らしい言葉でも言ってやろう。
「おかあさん、おなかすい…」
振り返ると、そこに彼らの姿はなかった。気が付くとドアは開いており、観覧車は止まっていた。
昼ご飯はカレーがいいな♪ いや、ラーメンかな?
そうとも言ってやろうと思っていたが、相手がいない。先に降りたのだろうか。
というか、なんでまた動き出さないのだろう…
そこで、俺は我に返る。ああ、俺は知っていた。
窓に映った自分が、滅茶苦茶ニートであったことを。
俺の2周目は、あの1周の間の妄想であったことを。
観覧車が止まったのは、1周終わっても俺がゴンドラに居座っていたからだということを。
俺は一人観覧車を降り、とぼとぼと自分のフィールドへ帰っていった。