表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/42

最終話:聖女にざまぁは難しいので。

 



 結局のところ、私は逃げたのです。

 正面切って争うことも、力を使うことも。


「教皇のように、延々と苦しませたくないからだろう?」

「っ…………はい」

「ありがとう」

「え?」


 セシリオ様にお礼を言われて、意味がわからずにきょとんとしていると、セシリオ様がまたキスをしてこられました。


「君が逃げてくれたから、本当のことを知れた。本当の君が知れた。力を使わずにいてくれたから、失わずに済んだ――――」


 小さな声で「よかった」と言われました。


「嫌わないのですか?」

「なんで? 嫌うわけがないだろう? 余計に好きになってるのにどうやって嫌えと言うんだ?」

「っ……」


 セシリオ様の攻撃力が尋常じゃありません。全身は熱いし、心臓は締め付けられるし、息が苦しいです。


「そういえば、ざまぁはしないんだよね?」

「はい、聖女にざまぁは難しいですから」

「ふふっ。それなら、ずっとここで二人で暮らそう?」

「本当に良いんですか?」

「あぁ。君と二人で……いや、いつか、三人、四人になってもここで暮らそう」


 セシリオ様がくすりと笑いながら、真実を見抜く聖女は未来も見るらしいよ? と私のお腹を撫でながら言いました。そして、国王陛下が数年後に怪我するらしいが、助けに行かせないからね、とも。

 セシリオ様はいったい王都で何をしてきたのでしょうか?


「ん? 秘密。ただ、オリビアを幸せにできるのは私だけだと確信したよ。さて、ちょっとベッドに行かないか? 寝不足もあって、君を抱きしめて眠りたいんだよ」

「っ! 長旅でしたのに! 気が回らずにすみません。直ぐにベッドの用意をしますね」

「あ、いや、そうじゃなくて――――」

「セシリオ様はゆっくりと休まれてください。私は洗濯途中でしたので、そちらを済ませますね」

 

 お風呂場に向かう途中で色々と思い出しました。セシリオ様は馬を小屋に繋ぎに行かれましたが、かなり早く戻られていました。


「あ、馬たちにご飯は?」

「水はやったが……」

「ではそちらも私がしておきますので!」

「いや、だから、一緒に……」

「私はわりとしっかりと寝たので眠くないんですよ」

「…………くっ、相手にされてない!」

「いま話してますが?」


 セシリオ様がちょっといじけつつ、寝室に向かわれました。


「洗濯終わらせたら、私もベッドに行きますね」

「っ、寝ずに待ってる!」


 聖女にざまぁは難しいので、これからもここでセシリオ様とのんびり生きていきたいです。




 ―― fin ――




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

◇◆◇ 書籍化情報 ◇◆◇


「お前を愛することはない」と言われたので「そうなの?私もよ」と言い返しておきました。 〜氷の貴公子様と紡ぐ溺愛結婚生活〜
書籍表紙


美麗すぎてヨダレものの表紙絵を描いてくださったのは、『シラノ』様っ!
脳内妄想だった氷たちが、こんなにも美しく再現されるとか、運使い果たしたかもしれない……

あ! この作品も、もりもりに加筆しています。(笛路比)
おデートとか諸々ね。ラブなストーリーを主に。コミックシーモア様は限定SSもあるよ☆
ぜひぜひ、お手元に迎えていただけると幸いです。

各種電子書籍サイトで販売されていますので、一例としてリンクボタンも置いておきます。


▷▶▷ コミックシーモア

▷▶▷ honto

▷▶▷ Amazon

▷▶▷ BOOK☆WALKER

― 新着の感想 ―
[一言] いつまでも天然オリビアに振り回されつつ、2人で幸せに過ごして欲しいなぁ、いえ、幸せな未来しか見えないですよね。 完結おめでとうございます&お疲れ様でした!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ