表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/42

33:二頭立ての馬車。




 ガラガラと馬車の車輪の音、馬の蹄の音と嘶き。

 夕食の仕度を途中で放りだし、家の外に駆け出しました。

 早朝から馬と馬車を取りに出掛けていたセシリオ様が、やっと帰って来ました。


「おかえりなさい!」

「ん、ただいま」


 玄関を出ると、二頭立ての馬車からセシリオ様がひらりと下りるところでした。

 鹿毛と芦毛の馬だと聞いていたのですが、芦毛の馬は濃い灰色に白い斑模様のような不思議な柄でした。


「鹿毛がウェイドで、芦毛がゴルジュだ」

「ウェイドとゴルジュですね。よろしくね」


 ウェイドの鼻筋に手を伸ばし撫でようとしていたら、右肩にドンと何かが突進してきたような衝撃。どうやらゴルジュが鼻で突いて来たようです。

 どうしたのかとゴルジュを見ると、ブルブルと頭を振りながら文句を言っているようでした。


「怒ってる?」

「はははは。ゴルジュは体力はものすごいが、ちょっとわがままなようでね……」


 セシリオ様が経緯を説明してくださったのですが、ゴルジュはウェイドがいないと精神が落ち着かないのだとか。その割には自分を先に撫でないと怒るのだとか。


「嫉妬ですか?」

「そ。自分のほうが兄貴だって思ってるらしい」


 血縁関係はないそうですが、幼い頃から一緒に過ごしていたので、とても仲良しなのだそうです。馬主さんも他に馬を飼う予定がなく、二頭同時に買い取ってくれる人を探していたのだとか。


「これ以上は増やす気はないし、丁度いいかと思ってな」


 セシリオ様がゴルジュの鼻筋をデシデシと叩いていました。そんなに雑で怒られないのかと思いましたが、ゴルジュはなんだかんだ嬉しそうです。

 私も、はやく二頭と仲良くなりたいものです。


「いい匂いがする」

「もうすぐ夕食が出来ますよ」

「ん、二頭を小屋に繋いでくるよ」


 馬と馬車を購入することに決めてから、セシリオ様と二人で裏手にあった小屋を馬小屋にリフォームしました。

 素人がやったわりには、かなり上手にできていると思います。

 

「どうでした?」


 二頭を繋いで戻ってきたセシリオ様に様子を聞くと、初めにウェイドがスッと入ってくれたそうです。ゴルジュが暫くゴネたものの、ウェイドが嘶き声を上げるとゴルジュが仕方なさそうに入ってくれたのだとか。


「あはは。なんだか、本当に幼い兄弟みたいな二頭ですね」


 ちょっと気難しいお兄ちゃんと、実はしっかり者の弟のように思えて、笑い声が漏れ出てしまいました。

 セシリオ様がクスクスと笑いながら、実はウェイドの方が精神的にとても大人なんだよと教えてくださいました。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

◇◆◇ 書籍化情報 ◇◆◇


「お前を愛することはない」と言われたので「そうなの?私もよ」と言い返しておきました。 〜氷の貴公子様と紡ぐ溺愛結婚生活〜
書籍表紙


美麗すぎてヨダレものの表紙絵を描いてくださったのは、『シラノ』様っ!
脳内妄想だった氷たちが、こんなにも美しく再現されるとか、運使い果たしたかもしれない……

あ! この作品も、もりもりに加筆しています。(笛路比)
おデートとか諸々ね。ラブなストーリーを主に。コミックシーモア様は限定SSもあるよ☆
ぜひぜひ、お手元に迎えていただけると幸いです。

各種電子書籍サイトで販売されていますので、一例としてリンクボタンも置いておきます。


▷▶▷ コミックシーモア

▷▶▷ honto

▷▶▷ Amazon

▷▶▷ BOOK☆WALKER

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ