表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/42

26:治療行為です。

 



 抜けすぎている、警戒が足りない、危機管理能力を発揮しろなどなど、セシリオ様に怒られつつ軟膏塗布。

 袈裟斬りになっている胸元の傷をそっと撫でると、胸筋もとい雄っぱいがピクリと動きました。


「わっ! 痛かったですか!?」

「…………いや、気にしないでくれ」


 気にしなくて良いのならと塗布を再開しましたが、またもやピクリ。八個くらいに割れている腹筋もピクリピクリ。


「こそばゆいですかね?」

「っ……気にするな……続けてくれ」

「でも。あ! 自分で塗り――――」

「いやだ。塗ってくれ」


 被せながらに嫌だと言われてしまいました。

 こそばゆいのなら自分で塗れば解決なのでは? あ、でも、傷口を自分で触るのは怖いと思う人もいますし、怖いんですね? そうですよね、怖いですよね。


「怖くはない」

「じゃあ、ご自分でどう――――」

「オリビアに触られたいんだよ!」

「……へ?」


 ――――ん? んん?


 ちょっと意味がわからない言葉が聞こえてきました。上手く噛み砕けなくて、首を傾げていると、セシリオ様が両手で顔を覆ってしまいました。


「あの……?」

「っ……何も言うな」


 セシリオ様の手の隙間から見えるお顔が真っ赤です。お耳も真っ赤です。

 あれ? これ、売り言葉に買い言葉のノリではなくて、本音?

 これは治療行為ですよね?

 あれ? あ、でも好きな人から肌に触れられるのって…………え? ちょっと嬉しい?

 

「「……」」


 無言でセシリオ様の腹部に軟膏を塗り続けていたのですが、全身が熱いと言いますか、顔から火が出そうと言いますか…………。

 とりあえず無言で塗布し終え、ガーゼで保護して包帯を巻きました。

 昨日までは一切に気ならなかったのですが、セシリオ様の胸に抱き着くようにして包帯を巻いていたのだと気付いてしまいました。

 変に焦ってしまい、何度も何度も巻き直しになりました。


「オリ――――」

「おおおおおやすみなさいっ!」


 一切眠くはないのですが、軟膏類をバタバタと片付けて寝室へ飛び込みました。

 クスクスと楽しそうに笑いながら、セシリオ様が声を掛けてきました。


「ん、おやすみ。私も直ぐ行く」

「っ…………はひ」


 どのみち、同じ部屋なのですよね。

 今夜はちょっと直ぐには眠れないかもしれません。




 …………ほぼ眠れませんでした。

 窓の外が明るいです。

 

「んっ…………ふぁ。おはよう、オリビア」

「……おはようございます」

「顔色が悪いな? どうしたんだ?」


 ――――誰のせいですかっ!

 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

◇◆◇ 書籍化情報 ◇◆◇


「お前を愛することはない」と言われたので「そうなの?私もよ」と言い返しておきました。 〜氷の貴公子様と紡ぐ溺愛結婚生活〜
書籍表紙


美麗すぎてヨダレものの表紙絵を描いてくださったのは、『シラノ』様っ!
脳内妄想だった氷たちが、こんなにも美しく再現されるとか、運使い果たしたかもしれない……

あ! この作品も、もりもりに加筆しています。(笛路比)
おデートとか諸々ね。ラブなストーリーを主に。コミックシーモア様は限定SSもあるよ☆
ぜひぜひ、お手元に迎えていただけると幸いです。

各種電子書籍サイトで販売されていますので、一例としてリンクボタンも置いておきます。


▷▶▷ コミックシーモア

▷▶▷ honto

▷▶▷ Amazon

▷▶▷ BOOK☆WALKER

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ