25:楽しい。
買ったものを片付け終えて、私は夕食の準備を。セシリオ様はお風呂の準備をすることになりました。
今日は随分と動き回っているので、無理はしないようにとセシリオ様に伝えたのですが、セシリオ様は平気だと言います。
せめて食事は栄養価の高いものに、ということでお肉やニンニクを少し多めに使うことにしました。
「んっ! 美味しい!」
「ありがとうございます」
ニンニクをすりおろして調味料と混ぜたタレに漬け込んだお肉を野菜と一緒に炒めました。
付け合せはマッシュポテトに少しだけチーズを混ぜたもの。パンは少し柔らかめのライ麦パン。
セシリオ様がものの五分もしない内に食べ終わり、おかわりはあるかと確認してきました。
「いっぱい作ったんで、まだ沢山ありますよ」
お皿を受け取り、おかわりをついで渡すと、直ぐにぺろりと食べてしまわれました。
回復期に入ったようで、食べても食べてもお腹が減っている気がするそうです。
再度おかわりをし、モグモグと口を動かすセシリオ様を眺めつつ、明日は何を作ろうかなんて、のんびりと考えていました。
「なんだか楽しそうだね?」
セシリオ様にそう言われ、自分が微笑んでいることに気が付きました。
誰とも関わらないほうが平和だろう、一人で暮らそう、と思っていたのに。人と関わるの、好きなんですよね。お話をしたりはもちろんですが、何も話さずにただ側にいるだけというもの、好きです。
そして、それがセシリオ様だと、幸せさえ感じてしまいます。
――――好き、なんですよね。
セシリオ様の勢いに押されて一緒に住み始めていましたが、拒否できたのに拒否しなかったのは私。
いつかちゃんと言葉にして、セシリオ様に伝えたいなと思いました。
今はまだまだ勇気が出ませんが、いつか。ちゃんと。
先にお風呂に入り、セシリオ様と交代しました。
傷の具合から、短時間であれば湯船に浸かっても大丈夫でしょう。
村の医師に診察してもらいたかったのですが、セシリオ様に傷の治り方が怪しすぎるから止めておいたほうがいい、と言われてしまいました。
「あがったら、服を着ずに出てきて下さいね?」
傷用の軟膏などは買いましたので、浴後に塗布しようと思ってそう伝えると、真顔になられてしまいました。
「……その言い方は襲われるからな?」
――――なぜ!?